一日仕事

朝6時に起きて、ホテルでタクシーを呼んでもらって(また受付のひとの個人スマホアプリで)、空港まで。朝日が上ってきました。バイバイ。

空港の食堂でお粥を食べていると、他の席もガラガラなのに威張った旅行者がどかんと隣りに座ってくるので、やだなと思います。威張りん坊は中国語で店員を呼びつけて大声で水がぬるいから取り替えろとか、あれ持ってこい、これ持ってこいと威張っています。出国ゲート、中国人とそれ以外と別れているので「そんなにたくさんの中国人が旅行に来るんですか?」と係の男性に尋ねると、大きく頷いています。驚いた。だから中国語で喋りかけていたんだな。

出国検査で日本人は見てみないようなもの、他の国のひとたちは靴まで脱がされて荷物も開けられているのに私は靴のまま素通り状態です。まだ時間があるので、出発ゲートの近く、誰もいないところをお掃除していた女性に「ここにゴザしいていいですか?」と聞いてどうぞどうぞとのことだったので、安心してゴザを敷いて寝転がってパソコンしたりします。ちょっとトイレ。ゴザを半分にして置きっぱなしでトイレに向かうと、出国ゲートに職場の同僚がもう入って行っています。あれ?あと30分はあるでしょう。もう一度Eチケットを見ると、乗り込むのは1時間前と書いてあって慌ててゴザを取りに戻って汗だらけで機内に乗り込みます。何人かの同僚に合って、荷物増えましたねとか言われてゴザ買ったんですとか見せて、へーとか言われて、他のひとたちは支店のひととサッカーをしたり、みんなでワゴンを借りてビーチに行ったとか教えてもらいます。数週間前、ビーチ一緒に行きますか?と熱心ではなく誘ってはくれたけれど、断っても誰も残念そうじゃない、そういう関係性。

機内に乗り込むと、咳が止まらなくなって困り果てます。乾燥しているからかな。恥ずかしくなって、一番後ろが3席とも空いていたので、キャビンアテンダントさんに言って快く移って良いとの答えをもらって、荷物を移動させようとすると臨席の日本人男性が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれました。はい、風邪がひどいので後ろの空いているところに移りますと言うと、荷物を持とうとしてくれる親切さ、お礼を言って、どうぞこの席使ってくださいと頭を下げて移動します。何て優しい日本人男性なんだ。


移動先では、手すりを全部上げて3席を独り占め、横になってくつろぎます。

献灯使 (講談社文庫)

献灯使 (講談社文庫)

献灯使。行きに成田で買った多和田葉子の文庫を読みます。やばい、泣いちゃう。

ぐうぐうぐう。寝たり起きたり。機内誌を読んだり。ステキなおばあさんが紹介されていたので写真に撮ります。6時に起きたのに、時計を進めたら到着は夜の7時。一日仕事です。もう飛行機は絶対に到着しないだろうとあきらめた頃、ようやく着陸。日本に着くと、同僚同士、誰も目を合わせずに淡々と散って行きます。くたびれ果てて。

リムジンバスに乗っていつもの街に戻ります。社内は海外からの旅行者でいっぱい、誰もが夜景やら東京タワーやらに喜んで、キャッキャとしているので何だかじーんとします。そうか、誰かにとって旅行したい場所に私は帰ってきているんだ。新宿駅で降りると、中国の男性二人組が道に迷って、リムジンバスの荷物係のひとに道を尋ねて「あっち!」と怒鳴り返されています。声をかけると、リムジンバスを予約したけれど乗り場がわからないと言うので3人でスマホの画面を見ながらあれこれ、どこだろうと悩みます。しばらくすると「バスタ」と言うので、バスタ?バスタなら知ってますよ、こっちですよ、そう言って歩き出すと、どうやらリムジンバスの荷物係の男性が「あっち」と言ったところと方向が違うのでさっきの男性に嘘を教えられたと落ち込んでいるよう、違うんです、あっち(モザイク通り)からも行けるには行けるんです、さっきのひとは忙しかったんでしょう、ごめんなさいと謝ると、いえいえ、それならいいんですとしばし国際間の摩擦解消に尽力してみます。あれがバスタ、あそこからエスカレーターに乗って、そう伝えて別れます。とても喜んでもらえた、無事に帰ってくれますよう。

いつものアパートに戻ると、TPはコンビニで買った弁当を食べています。私が帰ったことを喜んでくれ、お土産のTシャツも可愛いとうれしそう。洗濯物が畳んであります。出発の朝、遅刻しそうで放り出していた燃えるゴミ4袋も、ちゃんと捨ててあります。「何それ?」と最初に言われたのはゴザ。ゴザよ、良かろう?新宿御苑行こう、部屋の中で敷いてもいいしね、そう言って広げると、早速寝転んで当たり前のようにしています。またいつもの生活に戻りました。明日は有給休暇をもらっているので、安心して眠ります。