祖母いわく、京城、現在のソウルから私の父を抱えて一緒に引き揚げてきたという、親戚のみちこさんという方が書いた自費出版の本を、福岡の母が送ってくれました。みちこさんとは久我山に住んでいたときに一度お宅へお邪魔したり、我が家へも突然尋ねて来られたりした方です。私が産まれた時にはすでに亡くなっていた祖父のことが書かれてあったのが嬉しかった、食べかたがキレイな人だったとのこと、長い象牙の箸を上手に使って口を濡らさずに食べる姿や、ひいお婆ちゃんについても、遊びに行くと帰りにチョコレートを1枚ずつくれたとあります。
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父からも伯父からも、早くに亡くなったおじいちゃんのことは、あまり聞かされていなかったので、ひとつでもエピソードがあることは幸せなことです。引き揚げのときの話しを尋ねても祖母は、そりゃぁ大変な混みようで命からがらだったよー、みちこさんのお知り合いの将校さんが、こちらは赤ん坊を抱えとってのを見兼ねて、船に乗せてくれたけぇねぇとよく言っていたっけ。引き揚げ船の順番を待つ間、みちこさんのトランクに生後わずかな赤ん坊の父を寝かせて野宿したことが描かれていました。トランクの中の人からあたしは産まれたんだな、祖母は京城で何不自由無く暮らした夢のような生活を語ってばかりだけれど、みちこさんは持ち帰れない大切なお雛様を飾って引き揚げたこと、その後の暮らしをちゃんと書いてくれていました。