真面目

monna88882012-05-06

大根を水でゆでて、塩を少し入れただけのスープ・・・読書をしながらあからさまに影響を受けて、即、鍋を火にかけました。「雪と珊瑚と」梨木香歩新作、スープが心を癒すだなんて何とありきたりな!と驚きながら梨木香歩なら何かあると本屋で買って帰って夢中になって読みました。


雪と珊瑚と

雪と珊瑚と

玄米、が出て来ると堅苦しい小説に思えますが、本当にこれは特別なものでした。読みながら脳の回路が開く感覚。ニッコリと微笑んでいる心の底に滂沱の涙がすけて見えるかのようです。砂金のように残った言葉の連なりは、ハッとさせられっぱなし、死ぬまでに6回は読み返すだろうと思いました。くららさんという女性の、ひとりの中の信仰心は誰かを誘い込むようなものでは無いからこそ、輝くものだと教わった氣がします。あ、くららさんのスープは大根のゆで汁だけ、そこに塩を入れたものです。


それに引きかえ・・・紀伊国屋書店で、笑顔の素敵なおじさんから声をかけられたと思ったら、宗教の勧誘でした。ノーメークでぶらぶらしているからって、何でよりによってあたしに声をかけたんだろう。ピンポンを押して尋ねて来る人を断るときと同じ、じっとりと悔しく悲しい氣持ち。今生において過去も未来も、自分は何らかの宗教に属することはないとハッキリ感じている人が何かに対してどんな畏怖を抱いているかどうかなんて、所属クラブの有無だけで決められたくは無い!そして、こんなことくらいで?苦しくなる自分は一体、何者なんだろう?本屋で本に囲まれていると、世の中は真面目な人であふれ返って沸騰しそうになっているんだな、真面目に考えてそう思いました。