振動

monna88882015-05-16

これまで、オールステンレス、最大まで広げたら簡単に外せて丸洗い可能なキッチンばさみを使っていましたが、乾物の袋を開けようとしても、届いた荷物のガムテープに切れ目を入れようとしても、いつでも持ち上げるだけで分解されて片方の刃が落ちては床に突き刺さったり、足をかすめたりしていたこと、さらにはどういう仕組みか指の肉がどこかに挟まって「イテッ!(怒)」となることに耐えかねて、キッチンばさみを買い替えました。早速あちこち、ちょきちょきしてみます。いい感じ、薄いものから厚いものまでよく切れるし、これでジャンジャンお魚をさばいたりしたい。


それより何より、今日は映画を2本観ました。その貴重な時間。

ザ・トライブ。何日も前からTPが行きたいというので早起きしてたどり着いた映画館。ポスターを見て、あら?トライブってTPが前から観たいって言いよった映画やん!と言うと、「お前、何の映画観るかもわからんでここまで来たと?」と驚いている様子。タイトルも詳細も知らずにおつきあいで来たかのような映画は全編が手話、字幕無しという大胆さ、期待は高まります。ファーストシーンの実感。そして登場人物の可愛いこと!この世界ではあたしだって従順になるし、弱肉強食こそが一番の安全。全寮制の聴覚障害児のための学校は、落書きだらけの無法地帯です。だからと言って無慈悲の暴力があるわけではない、彼らの中のルールがあると安心して映画を観ながら、映画らしい映画の文法の中で酔いしれて、いくつものシーンに驚いて想像をして、映画って本当に視覚だけでいいんだと実感しました。


WHIPLASH

WHIPLASH

セッション。原題はWhiplash。1本観ただけで十分に満足していたのに、TPがもう1本観ようと言うのに何だか対抗心が芽生えて、観ると言ってしまった自分にも腹が立って、映画館で席の予約までしてもなお、あまりの混雑ぶりに「あたしはセッションなんかちっとも観たくない!観たいと思ったことすらない!」などとふてくされていたのに、映画が始まった瞬間。手のひらを返したように。その緊張した世界に入り込んで。燃えて、涙ぐんで、息を飲んで、最後は立ち上がって拍手をしたいのをぐっとこらえました。サディスティックな教師をどうとらえるか、子どもの頃を思い返しながら、大人たちの暴力性に対応してきたことや自分の中の暴力性も後押しをするかのよう。あたし、この映画のお陰で完全にひとつ階段を上がって強くなった、そう思いました。メラメラしながら帰って、ドラムの練習を始めるのでした。よくできたいい映画、やっぱり映画って音が重要なんだ、そう思いました。

音を奪われた世界と、音だけが自分を表現する世界、そのどちらも体験できるってことは本当に有り難いことなんだ。この偶然の組み合わせで観た映画で得た世界をもっと味わいたくて、フラカンを大音量で流しながら踊って、ひとりで盛り上がって。TPは今日は珍しく職場の飲み会に渋々出かけて行きました。It's freedom、目を閉じたり、耳を塞いだりして、両方の映画に敬意を表して、まだまだ両方の世界を行ったり来たりしています。さては、振動だけが本物なんだな!