被害届2

monna88882015-06-13

「私は、午後0時15分、散髪を終えて◯◯荘に帰って来ました。その際、道路に落ちている落ち葉が気になったので、◯◯荘の外階段の下から4段目に肩掛け鞄を置き、1階にある清掃道具を使って道路の落ち葉の清掃を始めました。
午後0時20分、2階廊下の清掃を行うために階段を上がり、清掃を始めました。その時には肩掛け鞄が同じ位置にある事を確認しています。
午後0時25分、2階廊下の清掃を終え、肩掛け鞄を取りに戻ると、置いてあったはずの場所に肩掛け鞄はありませんでした。」
若いおまわりさんが、私に成り代わって、被害届を書いてくれています。つい先日、自転車の盗難届を出したばかりの交番で、同じ椅子のまた私は座っています。新人のおまわりさんが「被害届の書き方」みたいな手帖を一所懸命調べながら書いてくれている書類、もうかれこれ1時間以上経っています。

今朝、起きたら私の機嫌がとても悪い日でした。何を見ても腹が立つ!TPが「お腹減ったね」と言うだけでもカチンと来る。こんな日は髪を切るに限ります。すっきり短くカットしてもらってご機嫌で帰ると、下の階のGさんとバッタリ、「自転車出てきた?買わないの?ドンキが安いよ」「本当よねぇ、不便。買おうかな。でも歩くのも結構、氣に入って来た」などと世間話しをして、ふとアパート前に落ち葉を掃除しようといつものようにお茶と英語の本を入れているラオスで買ったズタ袋を階段に置いて、ブリキのちりとりと、古いホウキで掃除を始めます。そうだ、2階の廊下が結構汚れてたんだった、あたしっていい奥さんだな〜と鼻歌を歌いながら、ウキウキと掃除をしていると、アパート奥のドン君のおともだちが出て来ました。「おはよう!」「おっはよごじゃいます」挨拶をして、先日ここにハクビシンという大きな恐ろしい動物が来て、ドン君たちの部屋の前のゴミ袋を齧ってたよ、怖いよ〜と言うと、ひぃ、怖いですね、氣をつけます、とちゃんと玄関前のゴミ袋を持って下の共同ポリバケツに入れていました。「学校がんばってねー」そう見送って、下の階に行くと…あたしの、ズタ袋が…こつ然と姿を消していました。


そこからはお隣りのマンションのお喋り好きな管理人さんに、こんなバッグを持った人を見かけませんでしたか?と尋ねて、バッグが消えたと言うと、すぐ警察に行った方がいいよ、とのことで歩いて交番へ行って、おまわりさんが現場を一度見ましょうと一緒に歩いて戻って、監視カメラが近くにないかなど調べてもらって、被害届を書いてもらってハンコ押して、落ち込んで家に戻ったという顛末です。幸いにして、財布はお尻のポケットに入れてあったけれど、ラオスで買った手提げ袋、何より毎日勉強している英語の本が、やっともうすぐ中学3年生レベルに行けそうだったのに。

あまりにも落ち込みが激しく、このご近所さんの誰も信用できないと夕方から、ひとりで地下鉄に乗って私のパワースポット、新宿南口の紀伊国屋書店へ行きました。ふと、すごく売れている本に手をのばしてパラパラめくると、電流が走ったように元氣が出たので買って帰って、読み耽ります。

一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い

一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い

一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い。「私は生涯一人身で家庭を持ちませんでした」とある文章は、彼女がスケジュールを立てず生きてきたこと、予定や目標を好まず自然のなりゆきにまかせて生きていること、そして知人の自殺に悩む若い友人に「私は、納得しようとするのは、あなたの思い上がりです、と言いました」とあります。人というのは自分たちの知恵ではわからないことの方がずっと多いと…

晩ご飯はプリプリの鮭塩焼き。おいしい。ラオスのズタ袋が盗まれたってことは、納得しようと思ってもどうしようもないこと。あさはかな私には思い至らない何かがあるんだ、そう思って元氣を出して、眠りました。