大逆転

monna88882016-06-29

昨日、たっぷりと母と話せたのでようやく安心しました。朝風呂にとっぷり。別部屋に用意してもらった朝ごはんを大人4人で食べます。何だか照れる。父と母はあっと言う間に食べ終わって、先に部屋に戻ると言います。そうそう、これこれ。子どもの頃から焼肉屋へ行っても、ちゃんぽんでも定食屋でも、私がひとり食べるのが遅いものだから「先に出とくね。ゆっくり食べていいよ」とひとり残されていたのでした。TPはそんなことをしないので残ってくれて、ゆっくりと食べ終わって、朝食部屋を出ます。私は父が最近観始めたという朝ドラに、母とTPは朝風呂に。ミッチーが戦場へ行くと言うのでもう帰って来ないだろうねなどと言い合いながら観ます。

母は旅館で少しヒビが入っているという鉢を買いました。ひと抱えもある大きさ、たったの500円です。夕べ玄関にあったのを見た瞬間から、母はきっとこれを買うだろうと思っていたけれどやっぱり。

元来た道を戻って下関へ。母方の祖母を再び見舞います。ぐうぐう寝ていて全然起きないものだから、あきらめて去ろうとするとき、パチッとばあちゃんは目を開けて「あんた誰かね」と言います。じっと私の顔を見て「あんたかーん、年取ったね〜」と言います。やっぱりいくら年を重ねて今にもあの世へ行きそうになっていても、私が年を取ったことはバレるんだな、そう思いました。母は私が祖母と話しているのを見るだけで涙がちょちょ切れると病室を出て行ってしまいます。「TP君」TPのことはすぐに判るのが不思議。顔が濃いからかな?ばあちゃんは昨日から私の指輪を見て「かわいい〜」と誉めてくれるので、何かかわいいものをあげたくて、新宿駅で買ったポーチをあげました。黄色い紬でできた、俵型の化粧ポーチ。ファスナーがガバッと開くのでとても使いやすそう、ばあちゃんにあげたくて買ったものです。ひと目見て「いいねぇ、かわいい〜。いいわぁ。忘れんように持って帰らんといけんね」と腰骨を骨折して寝たきり状態で、アルツハイマーも入っていて、お医者さんからはもう退院できないと言われているのに、まだまだ退院して家に帰るつもりでいるばあちゃんです。「川棚温泉どうやった?」と言うので「とっても良かったよ〜、遊んでばかりでごめんね」と言うと「うんと遊ばせてもらい〜」ばあちゃんは私が生まれてすぐ台所のシンクの洗い桶でお風呂に入れてくれている頃から、この子は風呂が好きだと判って、宮崎、熊本、大分、長崎、山口、島根、鳥取と何十回もの温泉ドライブ旅行に連れ回してくれました。今は一緒に行けないけれど、もう1回くらい一緒に行けると、それは夢のようなことです。


お次は本当に棺桶に片足を入れている父方の祖母、おばあちゃんのお見舞いに。汗をびっしょりかいて眠っているので、介護士さんにお願いして下着から替えてもらいます。それでもぐうぐう眠っています。おばあちゃん、ありがとう!私と親友になってくれて嬉しいよ。お喋りを重ねて、親友になったね。あとどれくらいで天国へ行くのかな?喋れたら聞いてみたい。70代のおわり頃からそろそろお迎えが近いと言うから、全部が遺言だと思って長電話もしてきたけれど、今は95歳なんだね。あと2年くらい生きてくれたら、またお喋りができたらと夢を見ます。


福岡へ。高速道路を走りながら、大分のお母さんにも東京に遊びに来て欲しいと言ったら、お父さん(TPパパ)が上の方に上がったら行くと答えてくれた話しをすると門パパと門ママは大笑いしています。TPパパが上に上がるときには、天使の輪をプレゼントせな、などと言いながら。「私もお父さんに天使の輪をあげて、東京に行こう!」張り切る門ママは、スマップのコンサートに申し込んだから、当たったら東京に行くとも言っています。

飼い犬のダンの話しも出ます。私が「ダンは犬なのに人間みたいやった。人間みたいに私の話しがよくわかった」と言うと父がプッと吹き出して「お前が犬に近いから、そう感じたっちゃないと?犬は犬やもん」と言います。ダンは、本当に人間に近い犬だったけれど、私も人間より犬に近いような氣もしているから、さすが親子だなと思います。

1時間半ほどで野芥へ。父がまたしても連れて行きたいと言う天ぷらひらおでお昼ごはんです。先に食べ終わった父と母は、自分たちが食べ残した天ぷらを包んでもらってすぐに出て行きます。カウンターでゆっくり食べ終わって、家に戻ります。

それぞれお昼寝。今日は福岡ドームへ野球を観に行くことになりました。仙台の弟が手配してくれたらしい。昼寝を終えて、TPと少しだけ散歩に出ます。

やっぱり室見川。あたしの室見川だーっと心で思いながら、Mちゃんと洋服を着たまんまこの川に浮かんで、ひとつ先の橋まで流れて行ったことがあったなと思い出します。たっぷり1キロほど流されてびしょびしょで川から上がったときに通りすがりのお爺さんがギョッとしていたっけ。また流されて遊びたい。

散歩から帰ると、待ち構えていた母と一緒に車で福岡ドームへ。駐車場に車を止めて、少しだけバスに乗ります。


母は本多のTシャツを着ています。「これ良かろう?」ぱつぱつではち切れそうなのに、堂々と着こなしている姿はメキシコかブラジルの人のようです。


本多Tシャツでグイグイと歩いて行く母。人混みではその色がなかなか目立って探しやすいです。ファンクラブの会員カードを出してピンバッジをもらっている母。「何ねこれ、バリオスか」などとガッカリして、本多のトートバッグに早速つけています。弟が予約してくれた席はどんな席?と何度尋ねても、母は「料理がイマイチ。遠いよ。料理?パンとかそんなの」などとハードルを下げられていましたが、一歩足を踏み入れた瞬間、ワーッと氣分が上がって、TPもワーッと嬉しそうな顔になって、球場だって見やすいやない!料理だって色々あるし!TPも私も「これで、今回の帰省が完結したね」などと喜び合いました。


ロッテの助っ人たちは、顔で選んでる?と思うほど可愛い顔をした黒人の人たち。彼らが交互交互にホームランを打って、あっと言う間に6点取られてしまいました。途中で何やら可愛らしいゆるキャラが出てきます。

母が「カレーがおいしい」と言っています。TPはビュッフェを3回お替わりしています。母も3回お替わりしています。TPはどうしたわけか、2回ドリンクをこぼしています。私は時々喫煙所へ行きます。TPがドリンクとデザートを私と母のために取りに行ってくれます。母は私に耳打ちで「TP君はよう氣を回してくれるね、重たい荷物とかすぐ持ってくれてって言ったらお父さんが、あれは氣を遣ってのやさしさやない、根っからやさしいんよって言いよった」と言うので、映画のラストシーンのような氣持ちになります。これまでTPがどれだけがんばって福岡の両親に接してくれていても、母はTPがまるでそこに居ない人かのような態度だったっけ。やっとTPを認めてくれたと思うと、これが今回の帰省のラストシーンだと確信します。ふと見ると母は、弟に「いよいよおばあちゃんが危ないです。老人ホームのひとたちも私にいつでも仕事を休めるようにしてと言っています」とメールしています。


1ー6で負けているまま、ジェット風船を飛ばしてホークスを応援します。す、る、と…。


あれよあれよと言う間に、ホークスは連打、まさかの同点に。母と二人で立ち上がって、声を上げて喜びます。ロッテファンのTPは苦笑いしています。

そして何と、延長戦の末にホークスは逆転勝利を納めます。興奮した母は弟に「ホークスはやっぱり強い!逆転勝ちです!」と絵文字満載のメールをしています。今宮〜!今宮〜!と叫んで、勝利の花火。


いざゆけ〜炎の〜若鷹軍団〜!大声で唄を歌って、隣近所の人たちとハイタッチして手を振り合って、勝利を喜び合います。

大興奮で駐車場まで歩く道。ロッテファンのTPに母がごめんねーなどと言っています。TPは「9回までは勝ってましたから良かったです。ホークスが負けてふたりがどーんと落ち込んでいるより、かえって良かった」と言っています。

家に帰って、スポーツニュースをチェックしていると、携帯を開いた母が大笑いしています。「アハハッ!アーハッハハッ!」差し出された携帯を見ると弟からのメールで「ホークスの勝敗より、今は祖母の生死の方が心配です」との返信。あははっ!本当にそうだ!!母とふたりでひとしきり笑って笑って、笑って、涙を流しながら笑いました。明日の朝には飛行機に乗って、東京へ戻ります。