母からの電話

自宅作業の日。40分ほど残業をして、晩ごはんの買い物にでかけます。


ビルケンさんの履き心地が、やっと、やっと良くなってきました。以前、弟夫婦が遊びにきたときに履いていたのがあまりにも氣持ち良さそうだったので買ったもの。先日の祖母の見舞い(みとり?)の際にも弟夫婦に「影響受けた」と足を見せると、ふたりともとても喜んでいました。「3年後が一番、その人の足の形に合って履きやすくなるって言われて」「それまでは、足は痛いし、マメはできるし、本当かいな?って思っとったなぁ」などとふたりして3年履いたらすっかり足に馴染んで、履きやすくなると教えてくれました。それもあって、毎日、毎日、毎日履いています。確かにマメも出来たし足の甲も痛くなったけれど、この頃はとても馴染んできました。母はビルケンさんを見た瞬間、いいねぇ!私も欲しい〜、大丸に売っとうかいな?と自分も買う氣まんまんでしたが、しばらくは足が痛くなることもあるから我慢できるかどうか心配、そう言うと、うーんと悩んでいたっけ。

そんな母から昨日、電話がありました。「お父さんがさぁ、また飲んでグチグチ言って、あんまり頭にきたからしばらく口きかんやった」どうやら、晩ごはんのしゃぶしゃぶで、母が野菜としいたけを鍋にたくさん入れていたところ、しゃぶしゃぶする場所がない、俺に肉を食わさん氣か!と父が怒鳴ったらしいのです。あまりにも下らない喧嘩で、母とふたりで大笑い。私には父が具沢山が嫌いなこと、量が多いのも嫌なこと、ぬるいものもダメだし、余るほどの品数も耐えられないことの氣持ちが我が事のようにわかりますが、母は何十年一緒に暮らしていても、相手を思いやった工夫というものをしない人、わが道を行く人、氣に入らないことがあるとブスーッとする人、まるで産まれたての子どものようなおばさん。3日無視したら、昨日から父が氣を遣って話しかけてくるようになったそう。

「それより!お父さんがお氣に入りの銀行員さんがおるやん、お父さんったら酔って携帯に電話して、忙しかったみたいで相手が出らんやったら銀行まで電話して、エラくなったら電話にも出んのやなって、受けると思ってメッセージ残したら、銀行中で何かトラブルがあったんじゃないかって大騒ぎになったって、もう恥ずかしい〜。ストーカーよ。それで、謝りに行こうかって言ったら、断られたってよ!あはっ、あはは〜」父が出禁になったことが愉快とばかりに母は笑っています。父がお氣に入りの銀行員さんは、とても可愛くて頭のいい女性で、母も一緒に何度も食事に行っているそう。「酔って電話なんかするからよ、あのバカ」

話しをしているうちに母がまた電話口で突然吹き出して「お父さんがさぁ…誰にも言うなよって言ったけど、あんたならいいね、言うよ。病院で喉に腫瘍があるって言われて、明日検査受けるって。ガンかも知れんって言うんよ、まさかよね〜」笑って言うことじゃないけどと自分で言って、自分でまた大笑いしています。つん◯の?と聞くと、そう!と言ってまた笑って「つ◯くはパソコンできるけど、俺はできんけんって、あははっ、あーはっは!」

本当にガンで声を失った人も大勢いるだろうに、母はどこまでも不謹慎に笑い続けていました。ただ、この笑いでこれまで何度救われてきたかわからないから、笑わせたいだけ笑わせておきました。父の「ガンかも知れない」発言も、これまで何度あったかわからない、もし本当にガンだったと言われても、誰も信じないでしょう。母は「嘘つきペーターならぬ、嘘つきジジイ」などと言っています。

どちらにしても、本当なら父の喉の腫瘍の話しこそ一番最初に話題にすべきことでしょう。母は、父が死んだらキャンピングカーを買って、日本一周すると嬉しそうに夢を語っています。「でも本当に死んだら、ちょっとだけ落ち込むかも知れんね」そう言って笑って電話を切っていました。一体、何の電話!?