願いは叶う、ただし違う形で

少し前に映画「サイレン◯」を観た後で「あ〜、街中で塚◯監督にバッタリ出会わんかなー。そしたら駆け寄って、いかに素晴らしいお芝居やったか、語るのになー」映画の興奮覚めやらず、TPにそんな大口を叩いていました。その後も何度か「あー、◯本監督にバッタリ会わんかなー」とつぶやいたっけ。

強く願って口に出したことって、叶ったりするんでしょうか、しかも理想とは違う形で。今日、昼過ぎにひとりで本屋をぶらぶらしていると、前から塚◯監督が歩いていらっしゃったので、心臓が止まりそうになります。新刊本コーナーでじっくりと立ち読みを始められたので、とてもじゃないけど声をかけられる雰囲氣じゃありません。

どうしよう、TPに大口叩いてしまったし、でも突然見知らぬ女が声をかけたらご迷惑になるんじゃないかしら。逡巡して、男性作家の単行本コーナーに逃げ込んで頭を抱えながら、やっぱり帰ろうと心を決めると何と、同じ棚にいつの間にか監督が・・・。その距離わずか80センチ。もうこうなったらネタ的に話しかけるしかないとバクバク心臓の音を響かせながら「あの・・・もし違ったらすみません、つかもとかんとくですか」何が驚いたって、自分でもびっくりするほど小さな声、蚊の鳴くような声とはまさにこのことです。「はい」と驚いた顔。「あの、サイレンス、すばらしかったです」「そうですか、良かったです」「街で会ったら絶対に声をかけようと思っていて、ありがとうございました」「良かったです。でももうすぐ終わっちゃうんですけどね」「ほんとうにすばらしくて、ありがとうございました」ブリキ人間のようにカチカチになったあたしは、ペコリと頭を下げて駆け出すようにその場を逃げ去ります。何だこの会話は!何なんだ!ストーカーっぽくなかっただろうか、しかもそんなに嬉しそうじゃなかった、むしろ引いていたような、だいたい会話になっていなかった〜あ〜!街を小走りで駆け抜けながら、自分のチキンっぷりにうんざりして、今すぐ死にたくなります。あ〜!

あ〜!TPが仕事から帰ったら聞いてもらおう。驚くだろうな。あ〜!

昨日、あたしがD君の送別会ではしゃいでいつもよりうんとお喋りになって浮かれていた頃、TPは風呂釜の電池を替えてくれていたのでしょうか、使用済と書いた紙のうえに電池が2個並んでいました。軽く、萌え。