可愛がってもらってね

鬼の奥さんは、遠い街までお仕事へ。朝起きてもまだ腹立ちがおさまらず、忠犬門公だってストライキです。空の色も暗く見えます。

電車が遠くまで行くと、だんだんと氣分が落ち着いてきます。今日はD君と同じ職場で働く最後の日。お昼、一緒にラーメン屋へ行く約束をして、集中してお仕事です。

お昼休み。お店は激狭でボロボロなのに、ちゃんと寸胴でスープをとっているラーメン屋さんへ。D君とお喋りは尽きません。D家で最近飼いはじめた柴犬のイチロー君について、先日アウトレットに一緒に連れて行って散歩させていたら、すれ違う人たちからの「かわいい!」攻撃がすごくて、途中から恥ずかしくてマスクした話しなど聞いて笑います。柴犬の赤ん坊は最強ってことか。仕事おわり、しばらくお別れのD君に「次の職場でも、謙虚に、周りの人たちから可愛がってもらってね」という内容をバシッとは決まらず、でも心の底からそう思ったので、そう言って手を振って退勤。駅に向かいながら、思っていたよりも100倍、自分が悲しんでいることに自分でも驚いて。職場の同僚が辞めるという経験は、これまでの人生で嫌と言うほど体験してきたけれど、今回は格別です。がんばれ、D君。

半泣きで家に帰って、すっかり鬼の奥さんだったことを忘れていた頃、仕事終わりのTPから電話がありました。「焼肉、食べに行かん?」そうだった、昨日、まだ鬼の奥さんじゃなかったとき、TPの誕生日だったから焼肉を食べに行こうと言っていたんだった。渋々のテイで、待ち合わせます。焼肉、おいしい、美味し過ぎる!

それでもなお、鬼の奥さんは私の中に居座っています。片づけないと離婚だ、そう耳元でささやき続けています。不機嫌なのに、それはさておきお肉美味しいね〜!と言ってはまた不機嫌に戻る。自分でももうコントロール不可能、いつまで居座る氣でしょうか、鬼は。