本とあたしだけの世界

家事の天使が舞い降りているんでしょう、家の中のことをちょこまか、あれこれ、何やかんやしたくてたまらない衝動。何でも屋さんで買ってきた鏡を、鏡専用の受け金具で玄関横の壁に取り付けてみたものが、とても具合良く、便利で、あると嬉しいものになっています。しあわせ。久しぶりの土曜日休みのＴＰは、可哀想に、今日の夜に職場の送別会があるそう。それでも、休日を骨の髄まで味わい尽くしたいＴＰは、朝から映画へ行こうと誘ってくれました。

バンコクナイツ Bangkok Nites

バンコクナイツ。映画館へ向かいながら、この監督の前作についてお喋りしているうちに、どうやら私は「サイタマノラッパー」と混同していることが判明。今度ドラマ化されるって、そう言ったときにＴＰがとても驚いたので、勘違いしていることがわかりました。それはさておき、とにかく長い映画だそうなので、心して見ます。タイで身体を売る女性たちと、買いに行く日本人の男性たち、その一歩踏み込んだところを描いてくれていることだけでも、観て良かった、腑に落ちなかったところが腑に落ちた、氣がつけばウトウト、ＴＰに揺すり起こされてハッと目を覚ましてからは真剣に観ます。ふと横を見ると今度はＴＰがウトウト、２度ほど起こしたけれど、もう最後まで目が覚めないんじゃないかしらというほどの、ぐっすり感、どんな映画でも決して眠らず、途中で止めたりもしないＴＰにしては珍しい、とてもいい夢を見ているかのように眠っているので、もう起こさずにおきます。

映画館を出て、映画をほとんど観ていないはずのＴＰの感想を一応聞いて、少し眠ったけれどほとんど観た私も感想をたっぷり喋って、本屋へ行きます。

あの頃 - 単行本未収録エッセイ集

あの頃 - 単行本未収録エッセイ集。大型書店で、どこをどう探しても棚に無いのでコンシェルジュという担当の人に尋ねてみると、在庫はたくさんあるのによく売れたから今日は本棚にも、その下の引き出しにもなくなっているそう、奥から出してきてくれて、ようやく対面することができました。袋には入れてもらわずに、紙のブックカバーだけつけてもらって、抱きかかえるように買って、店を出ます。これさえあれば、あと数週間は生き生きと過ごせる。

ＴＰのジーンズのお尻のところが破れに破れて、パンツまで見えているので、ジーンズメイトへ行きます。あっと言う間に決まって、あっと言う間にお買い物。だんだん日が暮れて、送別会へ行くというＴＰと分かれて、家に帰ります。

お風呂に入って、洗濯もして、掃除機もかけて、畳に寝転がって、武田百合子の本を読みます。

読んで読んで、読み進めてハッとしたことは、そうだ、武田百合子の「富士日記」以外の文章は全て、夫の泰淳が亡くなった後の文章なんだ、そのことにあらためて驚きます。果てしなく流れ続ける哀しみ。そして発刊済みの単行本ではわからなかったような、指摘。会話。ＴＰには申し訳ないけれど、ＴＰが今日、送別会で不在で良かったかも知れないと、こっそり胸の中で思うほど、本とあたしだけの世界に、いつまでも酔うように揺られていました。あ、今日は４月１日だった、嘘つくの忘れた！ホークス連勝。