ノシイカを買うことにしてる

売らずに部屋の棚に置いておく本で、中身の方がいいように思える本は、カバーを捨ててしまって、読みやすくすることもあります。あえて。受けて立つぞ、という意氣込みで。花柄を両手で掲げるように持ちながら行き帰りの電車で読みます。分厚い本なので筋トレのよう。

おとなしい人だったね。男だったんだってねえ。あたしは女だとばかり思ってた。
 私は家に帰ると夫に話した。翌日もまた、その話をした。すると、そういう話を二度も三度もするもんじゃない、と夫が言った。

大きな土鍋いっぱい、おでんも作ってあったのに私はすっかり忘れて出さなかった。

晴れた日、奥さんは半パンツ半裸の姿で庭の手入、日光浴、芝生にアイロン台を出してアイロンかけ、日が落ちると早々とねてしまいます。ハゲの愛人がいて、昨日は遊びにきていました。

犀などもすぐそばで仰ぎ見、肛門と尻尾のうまい出来具合に、すっかり感じ入りました。

「これ××屋のでしょう。好きでないの。うどん粉がまじってるの。見ててごらんなさい。全部溶けないでなめくじみたいに残るんだから。××屋のを置いている映画館に入ったときは、ノシイカを買うことにしてるんです」


たまらん。

隣席のKちゃんと、天氣予報当たらんやったね、などと話していたけれど、電車に乗っているうちにみるみる空は曇って、雨がぽつりぽつり、だーだー、ピカッ、ゴロゴロゴロゴロ、激しくなってきました。天氣予報ってすごいんだなと驚きます。