お花見とお花見

遠いところまで電車に乗って通勤、いつもと全く違う景色、それは桜が思いもよらないところに咲き誇っているからでした。あんな場所に桜があったんだ、あそこはこんなに咲くんだ、冬には知らなかったところが、薄ピンク色に盛り上がっているだけで、今日もがんばろ、そう思います。

今日は午後から職場のお花見。小雨だけれど、楽しみに出勤すると、この頃早起き&一番乗り出勤に凝っているK君が「あれ?今日、花見って中止になったんスカ?」と言うので、そんなことないよね、午後から晴れるって言ってたよねと職場のチャットを見ると、M君が花見中止前提の書き込みをしています。いいや、たとえ中止になってもあたしは絶対に花見に行く。そう宣言すると、K君も「花見行けますよね、みたいに行くのが当然みたいな言葉で聞く」などと言っています。絶対にお花見に行くぞ!

やがてやってきた社長も、雨で花見、無理っぽいっすね、と言うので「あきらめてません」と言うとK君も「午後から晴れるみたいですよ」。その勢いに押されたように社長は「…前向きやなあ」と嬉しいような驚いたような顔。よし、バリバリ働いて午後の花見に備えるぞ!敷物の大きさ、どれ位なんですか?と私がSさんに尋ねたのを聞いたTさんが、調べましょうと会社でネット注文した敷物を検索してくれます。「大丈夫です、6畳が3枚」それなら、ウチより広いくらいだから十分だ、そう言って笑います。


出勤する人、出勤する人、それぞれが楽しみにしているお花見、まだパラパラと小雨が落ちてはいたけれどついに決行です。ヤッター!会社が用意してくれた寿司弁当も焼き鳥もあっと言う間になくなって。やっぱりお花見はいいわ。新入社員の人たちが質問攻め、こないだまで新人だった一年目の人たちはからかわれっぱなし、突風に飛ばされる紙皿、倒れる缶ビール、転がる焼き鳥の串、穴の開いた靴下、誰かが手にした一升瓶、群れを離れて携帯で仕事を進める人、また突風。ちょうどタクシーで帰ると言う人に便乗させてもらって、駅まで向かいます。うつらうつらと乗る夕方の電車、心はホカホカとしています。これまで仕事はイヤイヤだけだったけれど、やっぱりどの職場もとても良かった、中でも今のところはいい職場じゃないか、がんばろう、あたし。

夜、花見が楽しかったなどとお喋りしていると、晩ごはんを食べ終わってTPが近所に花見に行く?と言います。行く!と答えて、二度目のお花見へ。

スーパーで買った缶ビール1本を半分こ、TPは唐揚げ(また?そんなに好きか!?)、あたしは豆腐。つまみながら満開の桜を眺めます。街灯が少ないのがいい、また明日も来ようかな、こんなに近いんだからもっと遊びに来たらいいのに、案外来んよね、そう言いながら、ボーッと桜を見つめます。後から来たカップルの会話、「思い出残しちゃおっかな」「好きにすれば」彼女そっちのけで桜だけをスマホでパシパシ撮っている青年は、彼女に撮った写真を見せて、まあまあいいじゃんと言われると、マジで!?と嬉しそうに何枚も見せ続け、嫌な顔をされています。やっぱり近所の花見もいいわ、また明日も来てみようかな。