みぞれのウズベキスタン

朝4時起き。作っておいたキュウリサンドを食べて、ガスの元栓を締めて、リュックを背負って出発します。

朝の4時台に電車が動いている、東京って都会だなあ。成田でめぐりズム5個セットと、さつまあげをその場で買って食べます。私はおこづかいとして1万円をドルに両替。向こうではドルの方が両替しやすいとの情報を得て。

韓国行きの機内食は親子丼でした。昨日も親子丼だったっけ。あっと言う間にインチョン空港に到着。

出国のロビーを散歩し回っていたTPが、無料のシャワーを見つけてきました。無人だしタオルも借りられるから氣楽でいい。今晩、ウズベキスタンタシケントに到着するのは夜中になるから、念のためシャワーを浴びておきましょう。TPと交代で荷物番をしていると、日本語を喋れるギリシャ人風のおじさんが「自分の飛行機は2時間後。私は何したらいいでしょう」と話しかけてきたので「さあ、くつろいだりしたらいいんじゃないですか」と答えます。これはナンパでしょうか、もしそうだったら嬉しいな、心のナンパ手帳に書き加えておきましょう。先にシャワーを浴びてきたTPが「事件。タオル取り忘れてシャワー浴びてしまった」と言うのでどうしたのか尋ねると「ティッシュで軽く拭いてパンツを履いて、そっとドアを開けてタオルを取った」そう。ご苦労さん。お昼ご飯に韓国料理を食べましょう。

乗り換えた飛行機では、8時間の長旅になるから、私の旅行のコツをバンバン出して行きます。まずはイヤホンの袋を前席の冊子入れに挟んで即席ゴミ箱を装備。

のどぬーるマスクとめぐりズムを取り出して準備。

2度めの機内食は、サラダにトリュフチョコレートほどの大きさのカマンベールチーズとミニトマトのカプレーゼもついています。TPがチーズを残しているので、私はチーズ大好きだから必ず私にちょうだいと念を押して、早速パンに挟んで、バーガーサンドにして食べます。トマトがこれまで食べたどのトマトよりも固くておいしい。

顔のない裸体たち (新潮文庫)

顔のない裸体たち (新潮文庫)

顔のない裸体たち。平野啓一郎を読むのは生まれて初めて?難しそうだと敬遠していたのです。パラリとめくった文庫が面白そうだったので買っていたものを読み始めたところ、面白いったらない、とてもセクシーで、細やかで、言葉が適材適所にある安心感、読み終わるのが勿体ないような本、日本に帰ったら平野啓一郎をたくさん読もうと思うと、帰る希望が出てきました。

本を閉じてぐうぐう眠っていると、軽食がでてきました。ブリトー。軽食が出たらもうそろそろ着陸態勢、長いようでいてそれほどストレスを感じずに到着できそう。タシケント空港は、薄暗くて装飾が一切ない空港、日本人だからかどうか、地元のひとたちよりもずいぶんあっさりと入国できました。両替したいので「エクスチェンジ」と係のひとに言っても、タクシー乗り場やら別の係員やら免税店やらをたらい回しになって、同じくたらい回しになっている欧米からの旅行者の後を追うとようやく、入国審査のゲートをまたくぐって戻ったところに小さく両替所のブースがありました。TPは旅行の資金、まずは523ドルを両替しています。私は日本円を両替できるようなので試しに2千円を両替、受付の女の子が「ジャパニーズイェン!」とキャッキャと身をよじって笑っているのでこちらまで可笑しくなります。2千円は144,000スムになりました。タクシー?タクシー?の客引きを大回りして回避、外に出るとヒンヤリ、上着を着てまずは表通りまで歩いてみます。雨が降ってきました。地元のひとたちが乗り込んでいるタクシー乗り場で、ホテルの名前と住所を見せてみると、別のひとを呼んできて読んでもらっています。空港に到着したときから薄々感じてはいましたが、どうやらこの国では英語やアルファベットが通じにくい?運転手さんが電卓で「50,000」スムと打ってきたので、直前に検索してプリントアウトしておいたウズベキスタンでのタクシーの乗り方のブログを参考に「ディーセッチ」と言ってみます。ロシア語で10という意味だそう。そしてウズベキスタンのタクシーは安いので、下三桁を切って4、6、10と距離によって値段を交渉するそう。距離がよくわからないので10と言ってみたところ、5万スムはあっと言うまに1万5千スムに下がりました。使えそう、ディーセッチ。


やっぱり見知らぬ国のタクシーは少し怖い。電飾の橋を渡って、車は路地裏に入って行きます。到着先に仲間が待っていて身ぐるみ剥がされることも念のため覚悟しておきます。薄暗い路地には、ぽつりぽつりと宿が見えます。そのうちのひとつに入って、運転手さんは道を尋ねているようです。どうやら本当にホテルを探してくれているよう、少し安心します。10分ほど路地を回ってようやく、本日の宿「サンライズキャラバン」が見つかります。TPが15,000スムを手渡しても、ちっとも嬉しそうじゃない運転手さん。道に迷ったからチップを期待していたんでしょうか。

シャワー・トイレ共同で29ドル。初日の宿だけ予約しておきました。シーツは絶対換えてないよねと思うほどの煮しめたような汚れ。お手洗いは紙を流さないタイプでうんちの匂い。

インチョン空港でシャワー浴びてきてよかった。荷物を軽く整理して、宿のひとに食事ができるところを尋ねて外に出ます。

みぞれが降ってきました。どういうわけか、リュックに入れておいた折りたたみ傘が見つかりません。インチョン空港で荷物整理したときに忘れたんだと思う。ジャンパーのフードを被って、映画ならドラッグの売買が行われるような暗い路地を抜けてようやく、若者たちがたむろするファミレスのような店を見つけました。

ビールを頼むと無いと言います。ガックシ。ウズベキスタンで誰もが飲むという緑茶「コクチャイ」を注文して、メニューの写真を見ながらトマトとキュウリのサラダ、サンドイッチ、肉団子スープを注文します。38,500スム。計算してみると、ドル経由でスムに両替をした場合は、スムの下三桁を切って15倍すると日本円になることがわかりました。円から直接スムにした場合は14倍。当然ながら日本円から直接両替した方がお得。今日の晩ごはんは日本円で577円です。これが高いのか安いのかさっぱり。食料品店でモヒートと書かれた缶12,000スムを買って、TPは水を2,500スムで買って、また薄暗い路地を通って宿に戻ります。モヒートだと思って買ったものはノンアルコールでガッカリ、とにかくずっと行ってみたかったウズベキスタンに着いた、今日はもう何も考えられない、二段ベッドの下で死んだように眠っていると、上の段で寝ていたTPがベッドの板が外れそうなほどグラグラするから落ちて死にそうで怖いと下の段に移ってきました。ギュウギュウ詰め。布団は湿っていて氣持ちが悪い。それでもここは憧れのウズベキスタンなんだと言い聞かせてもう一度眠りました。