墓守人

朝の6時に目が覚めました。弟もいつの間に帰っていたのか、スマホで動画か何か見ている様子。おはよう、何時間睡眠?と聞いてみると、3時間とのこと。寝なさいよっ!

目を開けた母に、散歩に行くと言うと「私もっ」と飛び起きています。ふたりで散歩。私道につき車両の通り抜け禁止、と書いてある道が面白そうだと思っていると、秋田犬を散歩させているおじさんに母が「この道、通ってもいいんですか?」と尋ねています。「はい、この先には沼があって、一周できますよ」とのこと。道の先に見える森みたいなところに行ってみたかったのです。散歩のおじさんは、付かず離れずの距離で、この先の坂を下ったところの右側に沼があると教えてくれます。

おじさんに案内されているのに、母は見知らぬおじさん嫌いだからか、わざと遅れて歩いています。自分から声かけたくせに、嫌になっちゃう。私が氣を遣って「ワンちゃんの名前何ですか?」とか「いいところですね」とか話しをします。犬の名前は「キナ」。女の子だそうです。きな粉のきなちゃん。

沼を一周すると大変だから、途中の木の橋を渡った方がいいとのアドバイス、白鳥が来ていますよ、とのこと、本当に白鳥が向こう岸からスーッと寄ってきてくれました。餌付けされているそう、母大喜びで写真をパシャパシャ撮って、門家のラインに投稿しています。

途中の芝生でキナちゃんを走らせるというおじさんにお礼を言って別れて、弟の家に戻ります。朝ごはんは昨日買ったセブンイレブンのおむすび、父はもう2つ食べて物置部屋に引っ込んでいる様子。


8時。弟一家は時間にルーズ。靴下が無い!とか鍵が無い!とかバタバタしながら、大量の荷物を持って車に乗り込みます。出発したかと思ったら、セブンイレブンでコーヒーを買っています。水戸駅で京都の伯父伯母と待ち合わせなのに、間に合うかしらん?

2時間ほど走ったところで弟が、窓の外を指さします。相馬。汚染度があちこちに積み上げられて、黒いビニールシートで覆われています。どこまでも続く黒ビニールの風景。甥っ子はぐずりそうになったらプラレールのDVDを観せられ、夢中になっています。母はずっと窓の外の景色を見てはおしゃべりしています。父は弟が運転する隣りの助手席で眠っているのか起きているのか、いつも無口だからわかりません。

無事、京都の伯父伯母とも合流できて、お花も買って、お昼ごはん。前回、祖母の納骨のときにも行った蕎麦屋で。

叔父が「どうするか?墓、誰か面倒見てくれるか?」と言います。ひとまず私が面倒を見て、私にお迎えがきたら、次は弟一家が面倒を見る感じで話しは終わりました。ビールを飲ませてもらいます。叔母はどうしても水戸の墓に入りたくないようなので(淋しいらしい)、いいよいいよ、好きにしたらいいですよと言います。

そばまさ。

やっぱりお参りできてヨカッタ。母は「お墓、閉じようかと思ったけど、やっぱりこうして来たら、いいですね、勿体無いね」などと言っています。弟は「このメンバーで墓参りするのは最後かも知れん」と写真を撮っています。次来るときは誰かをこの墓に入れるときだろうから、とのこと。

このお寺は、水戸光圀さん創建。葵の御紋がありました。

参道が好き。

やっぱり閉鎖してほしくない、このお墓。

那須高原で2泊するというみんなと水戸駅で別れます。私は明日、マラソン大会があるから。10キロ走らねばならないから。手を振って車を降りるとき、母が「TPによろしくね」と言い京都の叔母も「ご主人さまによろしく」と言っています。そうだった、TPが待っているんだった。


電車に乗って、おつかれビール★★★。はあー、無事に家族との時間が終わってホッとした、最後だけやっぱり泣きそうになるのが嫌。特急で帰って、お風呂を沸かしながら晩ごはんを用意しているとTPが帰ってきました。「門ちゃん、電車乗り間違えたろう?」と開口一番言われます。だってTPが「電車来たって言ったけん」と答えます。間違った電車に乗り込んで行って、ニコニコと手を振っているので腹を抱えて笑ったそう。笑ってもらったならヨカッタわ。笑ってもらえるのが一番。どちらにしても、明日はマラソン大会です。