目の玉手術

雨。夫婦善哉風に傘を差して、地下鉄に乗って病院へ。手術待ちのひとたちが3〜4組ほどすでに待機しています。車椅子の白髪女性と、インド人風の白髪男性のご夫婦、男性の方が手術に向けて瞳孔を開く目薬を10分ごとにさされています。TPも同じく。TPに「どんな氣持ち?怖い?」と尋ねると「いいや。ここまで来たらまな板の上の鯉よ」とのこと。TPはトイレに何度も行っています。11時半から目薬をさし始めてようやく、12時30分にTPが手術室に呼ばれます。すくっと立ち上がり、私の肩をポンッと叩いて、目をキリッとさせて手術室へ消えて行くTP。と思ったら踵を返して最後のトイレへ駆け込んでいます。大丈夫かいな?

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手術は、ネットで検索すると15分くらいで終わるそうだけれど、20分後にまだ手術をするはずの先生がその辺をウロウロしていたので、えっ?となります。やがて外国の男性と車椅子の奥さんが手術室に呼ばれました。奥さんは付き添いらしい。

 

TPは今頃、どうしているだろう、もう手術は始まっているんだろうか?怖くなかったらいいな、部分麻酔だから全部見えるらしい、でもアパートの下の階のおばあさんも、実家の父もTPパパもみんな受けた手術だから、誰もが怖くなんかないと言っていたものだから大丈夫だろう、でもTPは美容院で髪を切られるのも背中がゾクゾクするらしいし、映画でも目のアップが苦手なようだから心配。数日前、私が冗談で「アンダルシアの犬」と言ったら「やめて!それは言わんで、もう二度と言わんで」と釘を差されたっけ。私は絶対に全身麻酔じゃないと受けられないな。神さま、どうか瞳孔が開いて景色も真っ白でキラキラで、レーザーのメスがよく見えない状態で安心して手術を受けていますように、意識を飛ばして、TPを励ましに行きます。

 

どれくらい待ったでしょう?1時間以上は経った頃、タタタッと駆け足の音、TPが走って帰ってきました。目は充血すらしておらず、もう帰って大丈夫とのこと。

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新しいレンズが見る初めての外の景色、「わー、全部が見える、迫ってくる」まぶしくて、輝いていて、全部が目に飛び込んでくる様子。

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病院のすぐ裏の沖縄料理屋でランチ。手術のことを聞きます。どうやら時間がかかったのは、その前に緊急手術のひとが入ったと手術室で待機していたことと、白内障手術を受けるには年齢が若いから、タンパク質が固くて除去するのが大変だったそう。真っ白のキラキラの中でレーザー風のものが見えて、ジャーッと目の中をずーっと洗われているのがわかった。メニューも、店内のポスターの字も、見えるようになったと言うので喜びます。ただし、後発白内障といって1年後にまた白くなって見えづらくなるひともいるそう。

 

雨が目に入ったらいけないので、タクシーに乗って帰ります。こんなときに利用せんでいつ利用すると?みたいな強氣のワンメーター。

 

本当に、手術が無事終わってヨカッタね、怖かったろう?と聞くと、いや、大丈夫、でも長いのが辛かったとのこと。これでここ1年もTPが悩んでいた、白内障いつ手術すべきか問題はようやく終わりました。早すぎても遅すぎても良くないらしい。手術、無事成功しておめでとう、と晩ごはんに目の玉オムライスを出すと、クスリともせずにケチャップをスプーンで伸ばして、無言で食べているTP。やっぱり手術疲れがあるのかも知れません。

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