朝、もうひと眠りしたいなーと思っていたところTPが「ちちんぶいぶい、ちちんぶいぶい」と踊り始めました。「秩父には行かんよ。あっちの方は寒いけん、今日はナシ」と答えて台所仕事をしていてもなお「ちちんぶいぶい、ちちんぶいぶい」と踊っているので、胃もたれしそうになります。それでも、ネットで検索して、宿まで見つけて、芝桜がキレイな名所まで調べているので、ちょっと考えて、よっしゃ、行こうと答えます。早速秩父の宿を予約してくれるTP。出発前に流れたテレビコマーシャルで「あ、この振り付けか、間違っとった」とか反省してみたりしています。それはさておき、行くとなったらすぐに出発しましょう、ネギトーストを焼いて食べて出発です。
よくわからないまま電車に乗って、飯能駅で乗り換えて、青空文庫で本を借りて読みながら、西武秩父駅まで。TPがどうしても食べたいというわらじカツは長蛇の列だったので適当なお店でとんかつを食べます。そっと「・・・ザ・普通やね、丸一に行きたくなった・・・」とか小さい声で言っているTP。ところで、ゴローちゃんの本のテレビの最終回で沢木耕太郎が、旅で一番重要なことは、ひとに聞くことと言っていたことがものすごく腑に落ちました。わかっていても、駅はどこですか?と尋ねること。つまり旅はその土地だけじゃなくてそこに暮らすひととの交流ってことか。その言葉に感動したのかTPはとんかつ屋さんで「秩父神社はここからどう行ったらいいですか?」とか店のおばさんに尋ねて「すぐ近く、この先の角を曲がって下に降りたところ」と冷たくあしらわれたりしています。その勇気、グッジョブ!後から店の奥にいたおじさんが「これからどうするの?」みたいに話しかけてくれ、秩父神社の後で羊山公園(芝桜の公園)に行くと答えると、芝桜は先日の雪でまだ咲ききっていないと教えてくれます。イヒヒ、うれしい。私はTPがどんどん、見知らぬひとに話しかけるひとになってほしい。
秩父神社でTPは、脳梗塞で入院中のTPパパに「病気平癒御守」を買っています。やさしいね〜と感激。
水に濡らすと字が出るおみくじ。
芝桜が有名な羊山公園まで歩きます。遠くて暑い。
受付のおじさんが「芝桜はまだ五分咲き。でも桜は満開だよ」と教えてくれた通り。いきなり、隣のベンチに座っていたおじいさんが話しかけてくれました。
どうやらデジタルカメラのマクロ機能を使って花のアップを撮っていること、その写真を見せてくれようとしていることがわかって、何枚も写真を見せてもらって、花のアップの写真をどうやって撮っているかを見せてくれます。ところであの山なんですかね?てっぺんがガクガクに刻んであってと尋ねると「秩父セメント」とのこと。セメントの材料の石灰岩を切り出しているらしい。だから山のてっぺんが、直線に切り出されています。
上の方には屋台村が。その先を抜けると、こぽこぽと小高い丘が連なるところに本当に桜が満開で。ここは天国かと思います。
しだれ桜の下でお弁当を広げているひとたちがいっぱい。
歩いて駅まで戻って、秩父鉄道に乗って朝予約しておいた宿に向かいます。
今朝予約したばっかりだから、晩ごはんナシのプランしか予約できていません。宿までの道、一軒も空いている店がないし、コンビニもない。心配した宿のおかみさんが焼き芋をくれて、ご主人が車を貸してくれました。
TP、目の手術後に知らないひとの自家用車を借りての初運転。ドキドキ。
地元のスーパーでおそうざいを買って、近くのローソンでビールを買って。
宿に戻って車を返してようやくひと息、まずはお風呂に浸かります。先に入ったTPいわく「入らんよりはマシ、みたいなお風呂」シャンプーボトルとかカビだらけ、きっと人手が足りていないんでしょう。それでもゆっくりと浸かります。
だだっ広い部屋で、おそうざいを食べます。車貸してもらえてヨカッタ、もし歩いて行ったら暗い夜道を往復6キロの距離でした。ほっ。
部屋の外で一服します。TPは飯能駅の青空文庫で借りた本が、ずっと前から探していた本だったと興奮しています。私もたまたま手にした本が面白くて興奮しています。やっぱり思い切って来てヨカッタね、明日はどうする?明日は三峯神社に行こうと言うのでわくわくします。ちちんぶいぶい、ちちんぶいぶい、歌に誘われて来てみた場所は、やっぱり来てヨカッタと思う場所。鳥の声と、電車のガタンゴトンが響き続けています。だだっ広い民宿だけれど今日の宿泊客は3組だけらしい、土曜日なのに大丈夫かしら?とか心配しつつ、前にRCと行った三峯神社にまた行けるだなんて、直前にもらったメールで三峯神社の話題が出ていたから、運命だなとか思いながら、借りた車で買って帰ったビールを飲みながら、安心してそれほど清潔ではないお布団でぐっすり眠ります。ぐうぐう。