ちゃぽん、からの開放感

夕べ、TPは10時半、私は11時には寝たでしょうか。夜中に一度トイレからTPが戻ってきた音で起きて、TP「俺、もちろん何十分か我慢したよ、いつトイレに行くべきかって」ヨーロッパならではの重厚なドアのガタンッと閉まる音をアパート中に響かせながら、私も続けてトイレに行って帰ってきます。だって評判のいい民泊先なんだから、日本人がこれくらいおとなしく過ごしていたって、アメリカ人とかスペイン人だったらもっとバタバタガタガタ音を出して自由に過ごしているでしょう、と架空の宿泊者を思い浮かべて勇氣を出して。二度寝して朝起きると、9時を過ぎていました。

 もう家主のリクさんも、家族の男の子たちも出かけた後かな?まずは昨日洗っていない臭い頭を洗います。先にシャワーを浴びたTPが「シャワーの使い方、全然わからん!」と蛇口をひねると腹にブシューっと水が出て、もう少しひねると今度は足元だけから水が飛び出す複雑なシャワーに参ったと這々の体。私もブシューとかプシャーと乗り越えて、何とかシャワーを浴び終えます。

フィンランドは嬉しいことに「水道水が飲める(とっても重要!)」から、水筒に水を汲んだり、自由に使って良いというコーヒーメーカーでコーヒーを淹れて飲んだりしていると、やがてリク&息子たちが起きてきました。まだ寝てたのかっ!というより、そもそも家に居たのか!

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カンピ礼拝堂。カンピ駅の真ん前です。日本語の案内チラシには「礼拝堂は11.5メートルの高さがあり、3種類の異なる木材でできています。礼拝堂の外壁はトウヒでできています。外壁は、ナノテクノロジーを使用する特殊なタイプのワックスでコートされています。内壁は加工され形を整えられたハンノキで。また礼拝堂の建具と内扉はセイヨウトネリコでできています。礼拝堂の天井には石こうボードを含んでいるため、防音効果があります。祭壇の十字架像は、銀細工師のAntti Nieminen(アンッティ・ニエミネン)により創られました。絹の室内装飾品は、織物アーティストのTiina Uimonen(ティーナ・ウィモネン)の手になるものです」などとあります。このところ、私はシンプルだからって何さ?の心境でいましたが、この礼拝堂で、静かに椅子に座ってただ目を閉じていると、極限までシンプルだからこそ、天上のどこかとパイプで直接つながるような氣持ちになりました。礼拝堂の中は撮影禁止(なのに西洋人たちはスマホでパシャッと写真を撮っていたりする)。とりわけ、礼拝堂に置いてあった石を模したクッション・・・その完璧さ・・・なぜ今まで出会わなかったんだろうとすら(丸い石だ大好きだから)、うなだれて、礼拝堂を後にします。

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TPが、ヘルシンキを堪能しようと一所懸命予定を立ててくれているものだから(涙)、お次はかもめ食堂にも出てきた有名な書店です。TP「アアルトのカフェのベリーパイがおいしいって。ベリーパイ食べたいな、ベリーパイだけでも食べにまた来るかも知れんよ」

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昨日、キャビンアテンダントさんが教えてくれた公園通りで(おそらくここが中心の通り?)、日本の太鼓が披露されています。外国で聴く和太鼓のリズム、フィンランドのひとたちが、相当練習を重ねてきたであろう立派な演奏、それを見守る現地在住であろう日本人のひとたち、誰もが法被を来て、当たり前のように和太鼓の演奏を見守っています。どういうわけか、涙が出てきました。海外で暮らして苦労することもあるだろうに、ここにいる日本人のひとたちは、地元のひとと心からの交流を重ねて、彼らも和太鼓に興味を持ってくれ、お互いに理解しようと努めてくれていること、立派な舞台で堂々と演奏してくださっていること、そのあれやこれやが、優しいひとたちだらけのぬくぬくとした職場で、ちょっとマウンティングされているからってお腹を壊してズル休みするような私、ヨーロッパが怖いからってTPにフィンランドなんか行きたいと思ったことすらない(ロシアに行きたい!)とか言った私、そんな私がスーーッと、他人から見た自分のように遠く、足の底から養分を吸い取るように確かに、私、生きている!私、もう怯えたりしない、喧嘩上等!みたいにしっかりと、立ち上がってきたのです。フィンランドの皆さんの和太鼓演奏、最高です。もう和太鼓に感動しているのか懸命な姿勢に打たれたのかよくわからなくなって、喉の奥がグーッと痛くなって涙がジワーッとあふれるだけ。

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TP計画では、昨日お茶した港沿いのオールドマーケットで遅めの朝食(サーモンスープ)を食べようとのことでしたが、11時にならないとスープは出せないと言われたのでおとなしく近所を散歩したり、外で一服したりして30分待ちます。

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 サーモンスープ?というよりこのカフェ第人氣。

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 うめー!サーモンプリプリ。やさし〜い味。(でも13.8ユーロだから!1500円くらいするから!)

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高級スープを堪能して、トーベ・ヤンソンさんのアトリエ跡の記念碑を通って。

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デザイン博物館へ。何とまあ、今日はアートの日だかなんだかで、入場料無料とのこと。私達はラッキーです、と言って受付のひとたちもクスッと笑ってくれて入場。イッタラとか言ったって、元々は木型で作っていたんだから。すごいことです。

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どうやら展示の内容は、世界各国の手仕事、みたいな感じ。メキシコのアルミ細工に胸を打たれます。何より、このりんごの木彫りは日本の方の作品だそう!!

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そして、近くの教会でひと休み。

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結婚式がありました。

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ついに、かもめ食堂へ。本当にかもめ食堂があるので驚きます。コーヒーおいしい。

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歩いて歩いて、選挙ポスターもフィンランドならおしゃれだなーと思いながら。

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ムーミンが住んでいそうな建物を見て。

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外壁工事の足枠、れんこん型の金具をつなげるんだと興味深く思います。

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フィンランドはようやく冬が明けたよう、短い夏を堪能しようと、どの街角のどんなに小さい芝生でも、誰もがゴロゴロ、ゴロゴロと寝転んで太陽を浴びています。特に帽子をかぶっているのはアジアからの旅行者だけ、西洋人は地元のひとも旅行者も含め、誰も帽子などかぶっていません。むしろ顔が真っ赤っ赤に焼けただれて、皮がむけているひともチラホラいます。日光を本当に大切にしているよう。芝生に寝っ転がるのだって、着ているジャケットを敷物にして、ものすごい日常感。

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昨日予約でいっぱいだった、TPがどうしても行きたいというフィンランド料理のビュッフェの店へ。まだ夕方の16時だから、余裕で入ることができました。

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サワークリームって、こんなに美味しいものなんだな、ビーツも、じゃがいものスープも、素朴な焼き菓子みたいなものも、トナカイの肉もトロトロのポークもビーフも、お腹いっぱいに堪能します。何と言っても物価が高いから、飲み物はウォータープリーズでしのぎます。ヨーロッパのレストランでTPも私も縮こまっているのでしょうか、お互いの声が聞こえずに「えっ?」「何て?」と聞き合いながら、優雅なビュッフェディナーを自分たちなりに味わいます。そして、アキ・カウリスマキ監督が通ったという映画館で、映画館特製のトートバッグを買います。10ユーロ。またカンピ駅まで戻って。ヘルシンキって結構歩ける、歩けば歩くほど土地勘が出来てくる。

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朝、出かける前にTPが「今日はフィンランドのサウナに行くけん、水着入れときー」と言うので背負ってきたリュックに昭和初期のような膝上パンツの水着を詰め込んではいたけれど、まさか昨日眺めた中心地の港にあるサウナだとは思ってもみなかった。テンション低めに、でもこれも体験だからと入場します。「水着とバスタオル持ってる?」と受付でノリノリで聞かれたので「イエス!」と答えると「パーフェクト」とノリノリで返してもらいます。入館の印の腕にはめるストラップで鍵をかける式のロッカーとか、どこがサウナなんだかわからないアタフタを何とか乗り越えて、水着に着替えてTPとの待ち合わせ場所に行くと「君の旦那さん、あっちに行ったよ、ブルーパンツの男性だよね?」と言われて行ってみるとブルーパンツの中国のひとが出てきて、また待ち合わせ場所まで戻って、TPが「全然わからん、全然仕組みがわからんで何でかわからんけどシャンプーしちゃった」とビショビショでやってきて、バタバタしながら 何とか、男女別のサウナまで。

小さめのサウナの入り口には、なぜか下半身だけスッポンポンの女性が多数、おずおずと入るサウナも大入り満員で入り口で順番待ち、ヨーロッパの女性たちがさりげなく氣を配ってくれて、次はあなたの番よ、あそこに座るといいわ、みたいな感じで目配せをくれます。何だかアジア人を優しく迎えてくれてありがとうございます、とじんわりうれしくなります。

汗がダラダラ出るまでたっぷりとサウナに入って、シャワーで汗を流して、外のプールに出て、ちゃぽんとつかったところ・・・

何て氣持ちいいとー!!!???

まるで生まれ変わったみたいな氣分、いえ、生まれたての頃を思い出すような氣分、ダサい水着も、せり出した下腹も、周りから丸見えなことも、もうどーーーでもいい、ただただ、開放感が溢れ出て、全身で「生きているって楽しい〜」となったので心底驚きます。

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あれほどサウナは怖い、行きたくないって言っていたひとは、もうすっかりサウナ通で。

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ヨーロッパのスズメはやっぱりほっぺたの黒丸が無いなと思ったり。

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カンピ礼拝堂で、写真を撮ってもらったり。とにかくサウナとプールに入って、シャンプーもしたからもう氣を遣う民泊先でシャワーを浴びる必要はないし、

 

今日は昨日よりも早い夜の9時過ぎに帰宅。そして近所のKマーケットではまたしても残念、9時までしかアルコールを売っていないと教わってがっかりします。でも私は、念のために昼間に買っておいたウィスキーがあるから、少しだけ安心です。TPはコカコーラの1.5リットル2.5ユーロを抱えての家路、今日もまたリクさんは電氣を点けずにソファーに寝転がってタブレットで何かしていて、3男のダニエルは子供部屋でネットゲームをしています。ハイ!リクさん、今日はカンピ礼拝堂やらサウナやら行ってきましたよとシンプル英語で報告して(父親じゃないのにさっ)、ウィスキーを水割りでグビッと飲んで、また夜は更けて行きます。TPは即、完落ち。私は1時間ほど今日のことを思い起こして、脳内リピートを済ませて、それから完落ち。それにしても、フィンランドのサウナ、最高だったなー!!!!!!!!!!