寝ては起きて、寝ては起きての長距離列車もようやくケベックに到着しました。ハーメルンのひとたちは、出会ったばかりなのに抱き合って眠ったりしていましたが、ケベックで降りるひとと残るひとに別れて散り散りになって行きます。行きずりのひとたち。明け方、車掌さんがあと10分で到着するとTPを起こしに来てくれたそう。私はポケットに入れておいたカメラを落としたと慌てると、TPはしばらく探した後で、そうだ夜中に拾ったんやったとカバンからカメラを出してくれます。疲れがたまっているのでしょうか。
誰もが眠たそうな駅では、日本人女性がひとり、あれ?日本人ですか、と少しだけ立ち話しします。彼女はワーホリでハリファクスに来ているそう。ケベックからモントリオールに行くところまでは同じです。移動手段が違うので、またお会いするかも知れませんね〜と手を振って別れます。
モンクトンからVIA鉄道に乗って到着する方のケベックは、郊外のサントフォア駅という駅、ここから市バスに乗ってダウンタウンに向かいます。運転手さんがフランス語なまりの英語で、途中で100番か108番に乗り換えなさいと教えてくれます。それにしてもこの国はナイアガラ・フォールズも、モンクトン行きも、ここでも必ずバスを乗り換えさせるんだな。バスの案内表示も一氣にフランス語だけになりました。
ダウンタウンったってどこで降りればいいとかいな?何となく城壁が見えてきて、高速道路が見えたので地図を凝視しながら適当な駅で降りてみると、白髪の女性が声をかけてくれました。パレ駅に行きたいと言うと、駅舎の方向を教えてくれます。
荘厳な駅の中、静かにパレ駅からの電車を待つひとたち、お年寄りが多いよう。バスのマークが見えたので行ってみると、モントリオール駅までのバスチケットも買えることがわかりました。ここはフランス語兼なので「モントリオール」と言っても通じずに(本当は通じているかも知れないけれど面倒くさそうに)紙に書いてとメモを渡されたので、モントリオールのスペルと、Adult✕2、OneWayと書いて出すと大きく頷き、一枚60ドルくらいのチケットを発券してくれました。4番乗り場から昼の12時発。まだ朝の7時台だから、昼までケベックシティを散策だ!
評判の良い店で朝食、一番安いパリジャンコンボ、パンはクロワッサンを選んだつもりがフランスパンとクロワッサンが2つずつ出てきてしまってお腹いっぱい。広い店内で列車移動で疲れた身体を温めます。
ケベックの中心地、城壁に囲まれた街。まだ観光客はほとんどおらず、誰もいない観光地をTPとウロウロ、ぶらぶら、ぼんやりとキーンを履いて歩き続けます。立ち止まると寒いので、日向を目指して。丘の上に上がると、港が見えます。
カナダのゴミ袋は巾着状になっていてあまりにもかわいいので写真を撮ります。
城壁の下に降りて、また歩きます。カナダのひとたちは園芸が好きなんでしょうか。あちらこちらに鉢植えがあります。
8時を過ぎると、ようやく観光客たちが街に出てきます。
もうそろそろハロウィン、街のあちこちにカボチャがどーんと置いてあります。
ふと、城壁の周りを歩いてみたくなります。TPも付き合うと言うので、城壁に沿って海沿いを歩いてみます。
城壁の外は、海。海沿いを歩くと一般の住宅。窓辺に立てかけてあるマリア様の像の水色に目を引かれます。
高い城壁の内部に戻る道は2〜3本しか無いのかしら?木の階段があったので上がってみます。列車で眠れなかったというTPは無口で灰色の顔になっています。長い長い階段を、休み休み上がります。欧米人はジョギング姿でダンプカーのように駆け上がって行きます。馬力が違うんだろうか。
木の階段を上がると、思いがけず芝生の広場に出ました。ガイドブックの地図には「戦場公園」とあります。寝不足と疲労で灰色のTPは、氣持ちが悪くなったとベンチに寝転んでしまいました。それを見て通り過ぎるひとがニコッとしてくれます。
一体こんなところで私たちは何をしているんだろう?今日は何日め?よくわからなくなってきます。
古いレストランで11時からランチを食べられるそうなので、開店を待って10分前に並びます。アメリカ人夫婦が「あなたたちはラインの最後?」と聞くので「いいえ、先頭です。店は11時開店」と答えます。
よくわからないけれど1675年がどうこうとか書いてある看板、読んでみたい。
開店と同時に通された店内、外のメニューで決めていた食前酒、ポークの辛子ソース(門)と、ミートパイ(TP)、デザートを選びます。
素朴で優しい味。お会計のとき、店のひとが「インクルード、サービス」どうやらサービス料込だからチップは要らないと教えてくれます。店を出ると、早朝のサントフォア駅で立ち話しをした日本人女性がいたのでまた立ち話しします。ケベック在住の友人オススメの店で、待ち合わせをしているんだそう。「もしかしたらモントリオールで」とまた手を振って別れます。
パレ駅に戻って、トイレを済ませて長距離バスに乗り込みます。
やっと雨の無い日になりました。3時間から4時間、ゆったりしたシートでぐうぐう眠って到着した街、モントリオールは都会でした。到着したバスセンター(バスディーボ)で、明日のトロント行きのバスチケットを買います。2枚で189.51ドルを払ってチケットを見ると、到着まで10時間かかることになっています。乗り換えが1回あるそう。窓口で「このガイドブックには、5時間で行けると書いてあります」と地球の歩き方をかかげると、このバスディーボから出るバスは直行でも8時間かかる。ここから3駅離れたところの「メガバス」に行きなさい、このチケットはキャンセルする?と聞いてくれたので、そのよくわからない駅でチケットを買うことにして、ここではキャンセル手続きを済ませます。
写真を撮るのも忘れて、宿探しです。あっちもこっちも満室の張り紙、空き部屋があっても140ドル以上。さあ、今日からは宿の予約の無い旅、どうしましょう。すぐに日は暮れてしまいます。140ドルと言ったアジア系女性の宿に戻って、試しに120で交渉してみると負けてくれました。部屋に戻るなりTPは「明日からの旅程を調べよう」そう言って、ガイドブックを枕元で広げたまま、眠り込んでしまいます。・・・また?
私は、今日も洗濯を済ませて、シャワーを浴びて、街にビールを買いに出かけます。宿内は禁煙なのでホテル前で一服します。
TPは今日も夢の中。ひと休みしたらバスセンターのひとが教えてくれた、地下鉄で3駅離れたBonaventureとやらに行ってみようと言っていたけれど今日は無理そうだな。宿のひともメガバスの停留所は知らないと言っていたし。ここは本当にモントリオールなんでしょうか。夜、もう一度外に出て一服しながら、お向かいの5つ星ホテルを眺めます。大型の観光バスが、何台も止まっています。
リュックに詰めていたカナダ人作家の本を取り出して読みます。図書館で借りた本。分厚いので旅の最後まで持つでしょう。ケベックやモントリオール、トロントと行ったことのある街が出てきます。実感があるようで無いけれど、やっぱり本当にカナダにいるんだと前のめりで読んでみます。