トロントの宿

明け方の4時頃でしょうか、目を覚ましたTPが腹減ったーと言っているので「机の上にクロワッサンあるよ」と言うと喜んで食べています。夕べ、念のため近所のコンビニで買っておいたのです。私も10時には眠ったけれど、まだ眠り足りないので二度寝します。

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ホテルの受付には、昨日とは違うおじさん。朝提供されるというコーヒーをもらいに行くと「これから入れるから、ちょっと待っててね」ととても優しい感じで言ってくれます。外で一服して、マグカップになみなみとコーヒーをもらって部屋に戻ります。

 

モントリオール。まだ夕べ到着して、ホテルを探して2時間ほどウロウロしただけの街。そして今日はトロントに移動する予定です。トロントからシャーロットタウンまでは飛行機、シャーロットタウンからトロントまではイシュマエルさんに送ってもらってから長距離バス、夜行列車、長距離バス、長距離バスで行きます。そのほとんどが直接つながってはいないから、例えば銀座に着いて東京駅から乗る、渋谷に到着して中野からバスに乗る、みたいな距離感で何とか移動できています。

最後のトロント行きのバスは、10時間もかかるチケットは見つけたけれど、5時間で行けるというメガバスの乗り場はまだ見つけていないから、朝8時にはチェックアウトを済ませて、昨日バスチケットをキャンセルしてくれた無愛想なお姉さんに食い下がって書いてもらった「Bonaventure」駅、本当かどうかもう一度バスディーボに行って、別のお姉さんからも無愛想に「Bonaventure」駅と言われて、本当かなと思いながら地下鉄で3駅。

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改札の案内板に「Mega Bus」の文字を見つけて小躍りします(本当だった、バスディーボのお姉さん、疑ってごめん)。それでも実際にメガバスの乗り場を見るまでは。でっかい駅ビルの周りをウロウロ、右往左往、まだひと氣の少ない都会を、アジア人夫婦がうろつきます。f:id:monna8888:20191006222503j:plain

ようやく見つけたメガバスは、半地下にあるところ、すでにたくさんのお客さんがロビーでおとなしくバスを待っています。受付で「トロント、大人2人、13時発、片道」と書いた紙を見せながら、13時発だと到着は8時、12時発だと到着は5時だと教わって、12時のバスチケットを買います。2枚で130ドルくらい。

さあ、これで最後の長距離移動もつながった。本当にトロントに戻れることがわかったので、モントリオールの街歩きです。12時までと時間が無いので、なぜか速歩きになります。

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時間が無いので、3回使うと元が取れる一日乗車券を買って(1枚8ドル)、地下鉄で、TPがどうしても食べたいと言うローストビーフサンドを食べに行きます。旅行者や地元のひとたちがすでに並んでいます。

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並びながらも、誰もがわくわくしていることが伝わります。店の中で食べるとまたチップであたふたするので、テイクアウトすることに。地元のおじさんの中には、テイクアウトでもカウンターにチップを置いているひともいます。

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商店街のベンチで食べるローストビーフサンドイッチは、あまりにも肉肉しいので、もっとマスタードをたくさんつけてもらえば良かったと悔しくなります。そして、外で食べているとミツバチがしつこく寄ってきて頭に止まったり、ローストビーフサンドイッチに止まってしまったりします。ハチをよけながら何とか食べ終えます。

またTPがどうしても食べたいと言うベーグルを探して、商店街から1〜2本入った通りをウロウロします。そうこうしているだけで、もう11時近くになっています。歩けども歩けどもベーグル屋が見つからないので、TPはベーグル屋をあきらめて、また地下鉄の駅へ。地図を見ていると犬の散歩をしているおじさんが「エニシングヘルプ?」と声をかけてくれ、曲がる通りを教わります。

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カナダはどこを歩いてもリスだらけだから私はもう飽きているけれど、TPは何とかリスの写真を撮ろうと毎回がんばっていました。ついに激写。「シャーッ」とか言いそうなリスが撮れて満足げ。

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地下鉄を降りて、モントリオールの大聖堂。はい、見ました。

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また地下鉄に乗ってメガバスの乗り場へ。カナダの地下鉄の車輪は、鉄じゃなくてタイヤなのだろうか。タイヤにしか見えないし、本当にタイヤに見える。

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メガバス乗り場へ戻ると、もうバスが到着していました。2階席もあるバスは、自由席で、ほぼ座席も埋まっているのであわてて座ります。お手洗いの横の席しか空いていないのでそこに座ります。

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2時間ほど走ると、またバスセンターで休憩「5分しか無いよ」とアナウンスされて、何人かがここで降り、何人かが乗ってきて、またバスは走り出します。

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5分休憩を終えて席に戻ると、私とTPが座っている窓にミツバチがいます。斜め前の女子大生たちが見つけてくれて、ひとりが運転手さんに声をかけに行ってくれて、乗降口を開けてもらって無事、ミツバチは飛び去ります。「ヒーズゴーン」ミツバチは男性なんだろうか。運転手さんに声をかけに行ってくれた女子大生と目が合ったので、サンキューの「サ」を、舌をちゃんと歯に挟む感じでサンキューと声に出るか出ないかの感じで伝えてみると、ウェルカムと答えてくれます。カナダでは、サンキューと言うとウェルカムと本当に返ってきますが、他の国ではシュアーとかモゴモゴっと別の言葉が返ってきているように思います。私たちが学校で習った英語は、カナダ英語が基本なんだろうか。

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そしてまた、バスの車内では、見知らぬひと同士が隣りの席のひとから話しかけられてしばらく会話をしています。女子大生も隣りのおばさんに「何の勉強してるの」とか話しかけられて、目を見て答えています。この、目を見て答えるということについて重要だとあらためて思ったりします。じーっと見る必要は無いけれど、ときには私もちゃんと目を見て答えたりしよう。

草原、森、草原、1本道の高速道路を抜けて、あっと言う間にバスは大都会へ吸い込まれます。

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カナダでは、カーテンをシャッと閉めるかのように日が落ちます。私もTPも、暗くなると小さい文字が見えづらくなっているので、あらかじめバスの中でメモに書き写していたとおり、Art Gallery of Ontarioが見えたらMacauo.Stを右、3つめのBatduoin.Stを左に行ったところの宿で空き部屋を尋ねます。トイレとバスは共同で1泊140ドル+タックスで158.2ドル!高い!もしかしたら戻りますと伝えて、今度はSpadiana.Stを右、College.Stを左に進みます。もう真っ暗で何が何やら、とにかくトロントは大都会なので、中心地は1泊2万円くらいするので、チャイナタウンの方へ。バックパッカーが集まる通りで2軒ほど尋ねてみても満室。大通りに戻って日本人と結婚した夫婦が営む宿、鍵のかかったフェンスのピンポンを押すと出てきたのはワーホリ中だという20代の女性、オーナーに電話してくれて「120+タックスなら空きがあります。トイレもシャワーも部屋にあります」とのことで、今日から2泊、こちらでお世話になることに。

 

ワーホリ中のKさんから地図をもらって、おすすめの食堂やビールを買える場所(でももう閉まっている)を教わって、窓の無い部屋にチェックインします。宿も決まったー。

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荷物を置いて、Kさんが教えてくれた中華料理屋へ。これまで、どこもかしこも1食1200円とか1500円とかだった物価が、チャイナタウンでは700円あたりで食べられそうです。行列もできる大人氣の店、テーブルでたくさんのひとが注文している黒酢あんかけみたいなかた焼きそばがおいしそうなので、列の後ろのアジア系の男の子たちに「エクスキューズミー」あのひとたちが食べているのはこのメニューのどれですか?と片言英語で尋ねたところ、ひとりの青年が「日本語でも大丈夫ですよ」と言うので驚きます。どうやら、地元のトロント大学に通っているようで、韓国や中国の留学生たちと評判が良い店にみんなで来たらしい、残念ながら中国人の男の子もメニューのどれが黒酢あんかけかた焼きそばなのかわからないとのことでしたが、日本人の男の子の笑顔がとても爽やかでうれしくなります。声をかけて良かった。

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カナダに来て、色んなひとたちに声をかけたり、かけられたりしているけれど、全部が良かった。これまでの旅行と違うところは、声をかける前に一拍、よしっと勇氣を入れる瞬間が薄らいで、自然と尋ねたり話しかけられたりしています。これはカナダだからか、それとも自分たちの経験値がわずかばかり上がってきているのかはわかりません。

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チャイナタウンには、酔っ払った危ない感じのひともウロウロしています。行列を勝手に抜けて入って、ひとのテーブルのものをタダ食いしようとしている危ない男が、中国系の店主から追い出されています。安くておいしいものを食べて、そろそろ夜の9時頃。少し歩いて宿に戻りましょう。バックパッカー街のような飲み屋街のような通りを通って、酒屋さんが開いていたので入ります。ビールはありますかと尋ねると、ここはワインだけ、でもこの通りを右に行ったところの何とかブリュワーならビールが買えるよと教えてくれます。お礼を行って店を出るときに「小さい店だから氣をつけて」と言ってもらって、その何とかブリュワーで、地ビールだという缶ビールをゲットします。「お酒があれば天然色、お酒がなければ白黒」

大通りでは、大声で喧嘩しているカップルがいます。路上でゴミと一体化して寝ているひともいます。歩いているとまた別の男性がフードをかぶって路上で寝ています。プリンスエドワード島では日本の12月くらいに寒かった氣温も、トロントでは10月の後半くらいの心地よさ。

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最初に到着したときよりも、少し街歩きをして戻ってきた部屋は、空氣が淀んで感じます。どうやらトロントに流れ着いた日本人留学生やらバックパッカー、ワーホリのひとたちが長期滞在している宿のよう。玄関で靴を脱いで、共用のサンダルに履き替えます。靴の臭い、他人の足の臭い。

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缶ビールを開けて、TPと乾杯します。私はプリンスエドワード島で買った、赤毛のアンに出てくる水差しのようなマグカップで。TPは今日もシャワーを浴びずに眠ってしまいます。(いったい、この旅で何度寝落ちしているんだろう、このひとは)きっとまた朝の4時頃に目を覚まして6時頃にシャワーを浴びるんだろう、それがカナダでのTPのリズムなんだろう。私はトロントで連泊できる宿に入れたことに感謝しながら、コクコクとビールを飲みます。

宿のエントランスで一服していると、日本人の男の子が日本人の女の子を隠すように連れ込んで行きました。こんばんは、と声をかけると、ちょこっと頭を下げて通り過ぎます。鍵のかかったフェンスの外の通りでは、日本よりも街灯の光量が少ない道を、仕事終わりのひとや学生らしきひと、ベビーカーを押すひと、色んな皮膚の色の色んな年代のひとたちが通り過ぎています。そして、ものすごくアジア人が多い街のようです。