8分の1または9分の2

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函館駅前のスマイルホテルで、朝の5時30分に目覚まし時計をかけて、何とか起きます。JR特急北斗1号・札幌行。普段の休日は好き勝手な時間に寝て好き勝手な時間に起きて、好き勝手に昼寝したりしているので、旅行の間はどうしてこんなに早起きができるひとに生まれ変わってしまうんでしょう?

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ガラガラなのに、それでもひと車両に4人ほど乗っている電車は、スーッと走り出します。焼き鳥弁当。タレも焼き鳥も、野菜もおいしい!お米までおいしい!

札幌までの数時間は、山やら街やら森やらトンネルやら、すばらしい景色を抜けて行きます。2日分の寝不足が山のように覆いかぶさってきて、ガラガラの車両で、TPにも「(右斜め前の)あの席行くね」と言って、2席分にまあるい子猫(どら猫?)のように丸まって、足を曲げてリュックの中のダウンジャケットを枕にして、ぐうぐううぐうぐううぐうぐう眠ります。

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札幌?とにかく乗り換えて小樽へ。約30分。札幌と小樽は、たった30分の距離ですが、完璧な海辺を通るものだから、目がパチッっと開いて、そのまま見とれます。

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着きましたー、小樽。小樽駅に到着する直前に、TPが「あっ、政寿司。あそこ有名よ」と言ったものだから、えっ、政寿司って何?ランチとかあると?絶対に行きたい、そう思います。まずは本日の宿、ドーミーインに荷物を預けて、少し冷えるので、ズボンの下にパッチを一枚履いて。

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そして、本当に政寿司へ。本日の季節の握りは、左下から「ときしらず、サンマ、タコ」。天にも昇る心地でまずは、ウニ。旨味がギューッ!次に中トロ、ヒラメ、貝、イカイクラ、ボタン海老、甘海老、炙り中トロ…まず驚いたのは、シャリがひと粒ひと粒、口の中で独立しているのに一体感があって、歯を入れるとホロホロッと崩れるのに粒の噛みごたえがあることです。シャリがこれほどネタに影響力があるとは、これまで生きてきた中で知る由もありませんでした。

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贅沢してお腹いっぱい胸いっぱい、財布はすっからかんで街を歩きます。図書館兼博物館みたいなところに入ってみたり、

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三角市場というところを通ってみたり、

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映画「はるかノスタルジー」の撮影場所を訪れたり。TPは勝野洋ショットを撮ってと言って、本当にずんどう転んだフリで歩道に寝転がってずっこけたポーズをしているので、角から現れたおじいさんが心配して駆け寄りそうになり、あわてて「すみません、わざとです!」とお詫びします。「本当に倒れたかと思った」とのこと。ごめんなさい、映画のワンシーンを再現したかったみたいで、などと言って笑い合います。

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TPが突然、あ、この道…と歩き出した道は、TPが21才の時に映画の仕事で3ヶ月寝泊まりした部屋がかつてあった道でした。ずっと、小樽に一緒に行きたいと言ってくれていたけれど、ついにそれが現実になり、こうして過去の思い出も蘇って、まだ21才のTPが歩いた道、通った店、その時に感じたことや一緒に過ごしたひとたちの思い出を全部聞きながら(これまでも何度も聞いていた話しも多数だけれど)、新しいエピソードもこの土地を歩いて初めて思い出したようなことも聞けて、面白いなと思います。まだ青年の頃のTPをあらためて応援するような氣持ちで、数々の思い出話しを聞きます。TPと実際に会う前、共通の友人たちから噂を聞いていました。「あいつの家に忘れ物するな。こないだキャップを忘れて帰ったらさ、次の日からしれーっとキャップをかぶり続けてて、返せよって言ってやっと返してもらったら、それTPさんのキャップですよね?って言われて、元々俺のキャップなのにまるでTPのキャップみたいに言われて」とか、「サークルの飲み会のいたずらで、コロッケにたっぷり辛子を入れといたら、それをTPが食べて、モグモグ、うん?となってペーパータオルに吐き出して、何事も無かったかのように会話を続けていた」要するに、変なやつがいると聞いていました。実際にその変なやつとたまたま会ったときに、本当にわーっと喋ったかと思うと突然だんまりを決め込むので、ヤベーやつと思ってはいましたが、まさかその変でヤベーやつと結婚して、人生の半分以上を過ごすことになるとは思ってもいなかったようでいて、予感していたようでもあるのが不思議。とにかく元ヤベーやつの思い出に付き合って、小樽の街を歩き続けます。

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また小樽の街を歩いて、ものすごく評判の良いというカフェ、10分ほど並んでみたけれど、ピアノの生演奏とランプの明かりでとても素敵なお店なので、誰も席を立ちそうにありません。全く行列が進まないので、あきらめて列を離れます。

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雪が残る街。空が広い。

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紳士服屋もでっかい!

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小樽運河の裏っかわの、歩いて入っても良い場所にも行ってみます。格好いい景色。

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お茶しましょう。店内の写真撮影一切お断りという喫茶店があったので、試しに入ってみます。昭和8年創業だそう。猫の臭いがほのかに香る店内で、おいしいコーヒーをいただきます。音楽はクラシック。ちょうど、クラシックを聴きたかったので良かった。まだ、仕事を終えてバスに乗って船に乗ってバスに乗って電車に乗って乗り換えて電車に乗って来た小樽の街に、自分が馴染んでいなかったので、クラシックが流れる喫茶店が有り難いと思います。そして、トイレがすごかった。教会みたいだった。

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いよいよドーミーインにチェックイン。何だかとても雰囲氣の良い部屋に、興奮します。ひとやすみします。

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小樽運河クルーズ18時の回に参加します。18時だと言うのに真っ暗、さすが北海道です。

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若い船頭さんが、現代語で説明をしてくれます。

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知らなかったことがたくさん。後ろの席のギャルたちは、乗船のときに階段を踏み外して「痛ってー、スネ打った。やばい、痛てー。スネ打った。人生で初めてスネ打った」とのこと、彼女たちもクルーズに感激しているのでこちらまで嬉しくなります。

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私は、ナイトクルーズなんてそれほど大したことないとどこかで小馬鹿にしていたのかも知れませんが、実際に参加してみると、ただ夢のような時間、そして好奇心を刺激してくれる船頭さんの案内に、本当に参加して良かったとTPにもお礼を言います。下船して、TPが計画してくれた今日の晩ごはん「なると」に向かう途中、消防犬の銅像に感激して写真を撮って。

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「なると」という鶏の半身唐揚げが有名だというお店へ。何を頼んでも美味しく、店員さんも愛想が良くて大満足で宿に戻ります。

f:id:monna8888:20201112213839j:plainドーミーイン。 最初に三島で泊まってから、温泉もあって夜食のラーメンもあって、パジャマも朝ごはんも満足していた宿。やっと二度目のドーミーインに泊まることができてTPとふたり浮かれます。夜食のラーメン(夜鳴きそば)合わせで晩ごはんを少し控えめにするほどに。

 

ベッドの裏のデスクコーナーがとても居心地が良いので、我が家の古いアパートも模様替えしようかしら?と夢を見たりします。そして温泉。たっぷり2回浸かります。それでもまだ夜の9時とか10時。そして夜鳴きそば。それにしても日が沈むのが早いので、体内時計も狂って、不思議でなりません。今回の旅行は、8泊するらしい。一泊めの車中泊は除いて。ってことは、まだ8分の1、もしくは9分の2。少しずつ、初北海道に馴染んで行こうと思います。TPはずっと、明日のルートや宿を検索しています。ひとまず明日は5:57の電車に乗ることだけが決まっている。そして阿寒湖方面に行くってことも。どちらにしても、早起き!