美瑛のピチホテル

朝起きるとTPが「あまりにも眠たそうで、全然起きんやったけん、バスセンター行ってきたよ」と、ノシャップ岬と宗谷岬をめぐるツアーのチケットを予約できたと教えてくれます。

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ありがとう〜。露天風呂で寒風に身体をさらして目を覚まします。両方の岬に行けるの、ありがたいわー。路線バスなら片道1500円くらいかかるのに、ツアーだと一周してくれて2000円でお得だわー。

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稚内のドーミーインは、朝ごはんにイクラ食べ放題があるらしい。イクラを思いっきり食べることはいつか叶えたい夢のひとつだったのでうれしい。カニも乗せてもらいます。イクラって何て美味しいんでしょう。それが、ものすごくびっくりしたことに、イクラ丼を食べた後にホットコーヒーを口に入れたところ、イクラの臭みが100倍になって、ブーッと吐き出しそうなほどの飲み合わせの悪さ。私は魚介とビールの組み合わせが最悪の食べ合わせになってしまうタイプのようですが、イクラとコーヒーにもこんなトラップが仕組まれているとは。それよりも8時のバスツアー。少し時間があるのでチェックアウトして、すぐ近くの防波堤ドームまで歩いてみます。

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あら?この実は何の実?プチトマトがひしゃげたみたいな。

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港北防波堤ドーム。かつて鉄道の駅があったそう。樺太と行き来していた時代のものらしい。

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日本海オホーツク海が交わるところあたりでしょうか?いつまで見ていても見飽きません。

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朝8時、検温と手の消毒を受けて観光バスに乗り込みます。お客さんは私とTPの2人だけ。それなのにバスガイドさんまでついて本格的です。

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セコマの牛も、マスクをしています。

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バスガイドさんの説明は、口調が優しくて心地よい。「マンツーマンで説明してたら、そちらもくつろげないっしょ?下に降りとくね」と姿を潜めて説明してくれるので、いつの間にかウトウト…

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あっと言う間にノシャップ岬へ。「このあたりは、たまにエゾシカが見られたりするけど、今はもういないかな。秋が終わったからね」と説明して下さったそばから、私は目を凝らしてエゾシカを探したところ「おった!いました、あのドラム缶のところ」とエゾシカを見られた喜び爆発。ノシャップ岬で15分停車。ガイドさんが、私が朝見つけた赤い実を「はまなすの実。食べられるよ」と教えてくれました。でも季節外れで全部腐っているので食べられず残念。写真を2枚ほど撮って海を眺めると、エゾシカを見られなかったTPが「エゾシカ、どの辺におった?」と言うので、案内します。

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ほら!

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あ、後ろから家族が出てきた!
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全部で6頭よ!

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あ、どっか行っちゃった。TPもエゾシカが見られて良かったね!

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またバスに乗ると、すぐにウトウト。いつの間にか宗谷岬へ。

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宗谷岬の記念碑の裏っかわの石。ここが本当の最北端だと思う。

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あまりにもわかりやすい、石版の説明図。筆文字もいいもんだな。

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宗谷岬には丘があります。丘に上る階段に「キツネに餌を与えないでください」と書いてあったので、キツネを絶対に見たいと思っていたところ、本当に1匹だけ日向ぼっこしていました。人間が来るとすぐに隠れてしまったけれど、向こうからこちらをチラッと見て氣にしている様子。大丈夫よ!ありがとう〜、姿を見せてくれて。わーい、かわいい!!

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丘から海を見下ろして。ガイドさんが、夏は利尻島にいるとチラッと仰ったので、どうしてですか?と尋ねると、夏の利尻島は本当に花が2ヶ月ごとに咲き変わるの、いつか来て、本当にキレイだから、とのこと。自分で志願して、夏だけ利尻島の寮に入って花を楽しんでいるそうです。最北の地で、最北端のガイドさんの仕事に対する希望が聞けてとてもうれしい。

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お土産屋さんにも寄ってくれますが、荷物が増えるので我慢して買いません。悔しい。バスは駅前に戻って、ガイドさんが説明を終えたとき、TPがパチパチパチと大きい拍手をします。私も合わせて拍手します。たった二人のお客のために、本当にありがとうございました。

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駅前のスーパーを覗いてみます。緑茶が飲みたくなったので、お茶の粉を買ってみます。

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ぼりゅーむ亭という洋食屋さんでランチ。待てど暮らせど、ハンバーグ定食は出てきません。

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新聞でも、コロ助騒動のニュース。少し肩身を狭くして持参の消毒液で手指を除菌、除菌。

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ごはん小でもものすごいぼりゅーむ、ぼりゅーむ亭。

13:01 稚内

16:48 旭川

17:18 旭川

17:56 美瑛着

ここからもまた長い電車。電車の連結部分から外を眺めていると、またエゾシカが見えました。

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そうだ、スーパーで買ったお茶の粉でお茶を飲もう!

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水筒に粉をたっぷり入れて、水を注ごうとしたところ、水筒がスローモーションで倒れて、TPのリュックと私のリュックの間に全部こぼれてしまいました。呆然。ごめんなさい、と小さくつぶやいて何もできないまま、TPが持参のウェットティッシュを全部使って、床や壁、リュックのお茶の粉を拭き取っています。私もウェットティッシュをもらってリュックを拭きます。いったい全体、何でこんなことになったんだろう?夢を見ているみたい。

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それにしても、稚内から内陸に向かうとき、そうか、もう海は見られないのかと思うと、とても寂しくなります。意外な心境だ、もしかすると私は自分が思っていたよりも海が好きなのかも知れない。それとも、北海道の海が好きなのかも知れない。小樽や、網走や稚内で見た海を。海があろうがなかろうが、どの駅にも、その街での暮らしがあって。

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一両編成の電車には、学校帰りの子どもたちが乗っていて。

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美瑛駅行きの電車は暖房がガンガンに効いているので、また眠たくなります。電車移動で眠って眠って、眠り続けています。

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本日の宿は、TPがネット予約したプチホテル ピエ。「俺、相当疲れとったみたい。このメモみて、ピチホテルって書いてある。ピチって可愛くない?」とか言ってます。旅程やら宿の予約やら本当にありがとう。

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宿で教わった近所のお食事処。残念ながらカメラを忘れて写真が撮れませんでしたが、今日は予約がいっぱいなのに、併設のスナックから出てきたママが厨房に掛け合ってくれ、「2名さま。どう?難しい?」と交渉の末に、ランチメニューの丼ものなら出せるとのこと。瓶ビール1本と、TPは味カツ丼、私は味エビ丼を注文します。ママは「ゆっくりしてってね」と、色っぽい昔の工藤静香の髪型で、袖口がひらひらした衣装で、とても妖艶です。TPも「あのママ、格好いい」と喜んでいます。「それにしてもあの服、どこで買ったとかいな?自分を貫いてていいねぇ」とのこと。それにしてもスナックのママがなぜ料亭でも給仕しているんでしょう?家族経営なのでしょうか?

 

美瑛のピチホテルでは、お客は私とTPふたりだけな氣がします。靴箱に他の靴も無いし、他の部屋から物音は聞こえません。TPはまた明日からのスケジュールを検索したりしています。私は本なんか読みながらゴロゴロしています。お風呂にも浸かって、窓を開けて美瑛に暮らすひとたちの家や、ときどき歩いているひとたちを眺めます。北海道はすぐに真っ暗になるから、今がいったい何時なのか感覚が狂います。稚内を一番心配していたので、無事に最北端が終わって、ホッとした氣持ち。明日は青い池を見に行くらしい。へー、どんな池だろ?