知らない方が良いこと

持参の目覚まし時計をかけて起きると、外にはうっすら雪が積もっています。やっとスノーブーツが役に立つか?夕べ、セブンイレブンで買っておいたサンドイッチと、ネギ味噌汁で朝ごはん。

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まだ朝の6時。宿のキーボックスに鍵を入れて、無人のチェックアウト。ひと晩、お世話になりましたと宿にも頭を下げます。

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ほとんどひとの通りがありません。車も時々通るだけ。

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誰も乗っていないバスに乗り込んで、30分くらい。

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1本道をずーーっと上がったところが、青い池のバス停。「ここまっすぐ行ったら、青い池ですよ」とバスの運転手さんが教えてくれた道を抜けます。雪だ!周りに誰もいないので、TPと大きい声を出して喜び合います。

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スノーブーツ買ってきて良かった!(キーンのサンダルじゃ厳しかった)

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生まれて初めてのパウダースノー(だと思う。知らないけれどきっとこれが、パウダースノーってものなんだと思う!)

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土手を上がるともう、ふっと、青い池が現れます。すごーい!

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来る前は、空も曇っているし、灰色の池かもねとか言いながら、もう青でも赤でも灰色でも何でもいいね、とか言っていましたが実際に見てみると、やっぱり青いのがうれしい。

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青い池の端っこは、川とつながっていそうです。

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北海道中に生えている笹にも雪。

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20分後、帰りのバスに乗って駅まで。今度のバスは通学の子どもたちがいっぱい乗っています。みんなジャージで登校するんだ、かわいい!美瑛駅のトイレ。北海道のトイレには、固形石鹸が置いてあるところが多いようです。

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石造りの美瑛駅。私は、昨日の宿に洗って干しておいた布マスク(バイキンマンのワッペン付き)を忘れて落ち込んでいました。「わかるよ。俺も小樽のドーミーインに飲みかけの麦茶を忘れただけでも悲しかったもん」とTPが慰めて?くれますが、ふと、電車までの待ち時間に取りに戻れることがわかったので、宿に戻って、宿のおじさんにマスクを持って来てもらって、お礼を言って、電車に乗ります。

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08:45 美瑛発

09:13 旭川
通勤や通学のひとたちがチラホラと乗っています。

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旭川駅のインフォメーションで、旭山動物園のチケットと往復のバスチケットを買います。09:40 旭川発のバスに乗って。後ろの席のカップルが指相撲なんかしてすごくイチャイチャしているので会話に聞き耳を立てると、どうやら新婚さんのよう。(あれじゃ続かないな、とは思っても口にしないこと)

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ここが有名な、あの、旭山動物園か。

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「こっち」と動物の看板の案内に従うと

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ホッキョクグマが見られます。

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空飛ぶペンギンも、

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でっかいのがキングペンギン。

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モグモグタイム。

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何のお魚だろう?

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思い切って係のひとに「それは何の魚ですか?」と尋ねると「これ?この魚?ホッケです」と教えてくれました。さっすがー!北海道のペンギンはホッケ食べるんだ。

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ヒョウ。

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オオカミ。

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猿団子。

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旭山動物園、寒い。こじんまりしているけれど、たくさんの工夫があって魅力的。でも本当なら、並んだり行列で見たりするんでしょうか。奇しくもこんなにひとの少ない動物園体験になったことを複雑な氣持ちで思います。園内の張り紙も読ませるものが多いです。道内では年間10万頭のエゾシカが駆除されてゴミになっていること。オオカミを絶滅させてしまったからエゾシカが増えてしまったこと。そのエゾシカの革や肉、油を利用しようという動きがあること。せめてもの、エゾシカ油のクリームを買って帰ります。

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昼過ぎ、バスに乗って旭川駅に戻ります。私は、動物園で動物を見てもそれほど興奮しないようです。野生のエゾシカや野生のキツネを見たときの方が「わーっ!」となるのは何故なんだろう?TPは分け隔てなく、どちらも熱心に一所懸命、私がスルーしてしまったチンパンジーの館にも入って全動物を見ていました。熱心なひと。

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お目当てのお寿司屋さんがもう閉まっていて残念!先日インフォメーションでオススメしてもらって行けなかった方の梅光軒へ。おいしゅうございました。

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まだ15時のチェック員前だと言うのに、古めのビジネスホテルはチェックインをさせてくれました。親切!少し休憩します。

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まだ15時なのに北海道はもう夕方だ。

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本日のTPスケジュールはもうひとつ。TPは今回の旅行本に三浦綾子の「塩狩峠」を選んでいました。その本を読み終えて、旭川三浦綾子記念館があることを知り、行こうと思ったそう。氷点橋を渡って、

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氷点の舞台となった林へ。

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三浦綾子は高校生の頃、友人にすすめてもらってドハマりして、夢中になって読んでいました。(その友人と絶交してしまったことを今でも悔いています)

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こじんまりとした記念館ですが、ものすごく雰囲氣が温かい。

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歌うことが大好きだったそう。

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片付けは苦手だったそう。閉館時間までたっぷりと見学をして、エッセイの選集を1冊買って帰ります。帰り道に「あっタヌキやない!?」猫にしては顔が大きく、目の周りが白い生き物が民家の庭先を歩いています。TPも「本当や!タヌキや!よう見つけたね」と大喜び。これで北海道で見た野生の生き物は、エゾシカ、キツネ、タヌキの3種類になりました。(実際はTPが見つけたエゾリスもあったけれど、リスはあまり珍しくないので数には入れずにおこう)

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地下の大浴場で一日の疲れをすっかり抜いて。

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Googleマップで検索した、評判の良さそうなジンギスカンのお店へ。

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人生初ジンギスカンなんです!と店の方に言ってオススメしてもらった3種類を食べ比べ。生ラム、ハーブラム、ラムロール。このお店は冷凍じゃなく生ラムが売りだそう。その、生ラムの美味しいことったら!!!天にも昇る心地とはこのことか。食べ比べた冷凍のラムロールにはいつもの羊の匂いがありますが、生ラムには全く臭みが無く、永遠にいつまでもどれだけでも食べられそうです。私がTPに「お野菜は?」と言うと店員さんが「お野菜は無料。好きなだけ注文して」と店のママらしき方が言います。「どう?美味しい?」と聞かれたので「美味しいったら無いです」と答えます。

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人生を変えるほどの生ラム体験だった。そう言えば、ウズベキスタンでも皮を剥がされた子羊が運び入れられる店で料理を食べたときにも大感激したっけ。冷凍していないラムを好きなんだな、私は。小樽の政寿司のお寿司、網走の五十集場の炉端焼、旭川の大黒屋のジンギスカン…大満足だ。大大大大満足だ。考えたくもないことですが、もしかすると北海道旅行は明日で終わりかも知れません。恐ろしいのでTPに尋ねることもできません。知らんぷりして、今日はまだジンギスカンの味を脳内で反芻して、また地下の大浴場に浸かって、ぐっすり眠りましょう。人生には知らない方が良いことがあります。