味噌っ子の涙

何ヶ月か前のことです。私は映画館で「ミナリ」のちらしを見つけて「あ、面白そう」と手に取りました。すかさずTPが「前売り買ったよ、評判いいよ」と言うので、本当?楽しみ!と答えてから、そのちらしをトイレの壁に貼って、毎日眺めていました。

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何日も何日も、映画の公開を楽しみにして、期待が膨らんで。アカデミー賞にもノミネートされたと聞いて、これは大事だと、思いました。ついに今日、その映画を観に、映画館へ。

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映画が始まってから2分ほどで、あれ?となって、あらら?と思って、なんだかボタンをかけ違えたかのように、映画の中のひとたちの行動や会話、感情と、私とが分離して、埋められない溝は広がり、モーゼの十戒のように海は分かれ、38度線のように運命は断絶され、私は焦り、何とかこの映画に入ろうと全身全霊で努力しました。なぜなら、とてもおもしろい映画だったからです。それなのに映画の中に入れない、味噌っ子のように私は孤独になって、やがて号泣して嗚咽が止まらなくなりました。(どうしよう、あんなに楽しみにしていたのに、感動できない!)それから何度も映画の世界に入り込もうと苦しんだのに、放り出されるように突然、映画は終わりました。私はエンドロールを眺めながら、さらに泣きました。(全然、感動できなかった、夫婦が何であんなに喧嘩するのか、全くわからなかった、私ならコンテナ生活、大喜びなのに。移民として見知らぬ土地で暮らすということの苦しさが全くわからなかった)わーん!あんなに楽しみにしていたのに、全然、居場所がなかった〜えーん。何度も、入れて〜と扉を叩いたのに、わーん!

映画館を後にして、TPと歩く道。「映画、どうやった?」と聞かれたので、思いの丈をぶつけます。「もしTPが感動しとったら、台無しにしてごめん」とか言って。TPも「すごくいいシーンもいっぱいあったけど…食い足りんやった」と言うので、少しホッとします。私がちらしをトイレに貼って毎日眺めて楽しみにしていなければ、アカデミー賞とか知らずにたまたま出会って観たとしたら、もっと違う結果になったかも知れない、そう思うと、悔やんでも悔やみきれません。

 

電車に乗って小川町へ。「ポンチ軒」という行列のできる店でトンカツ定食。T門ランチベスト10には、すでに大森の「まるいち」がランクインしているので、様子見で。店員さんも感じよく、とても美味しいけれど、私の軍配は「まるいち」でした。

 

途中、日差しが強くなってきたので、神保町でキャップを買います。

 

オークリーというメーカーの、つばが真ん中で折り畳める、黒いキャップです。被って鏡を見たところ、あら?美人さん風?(顔の丸さが目立たなくなる&コロナ肥りの顔面に影ができる)TPにも「どう?いいよね?(圧がすごい)」とか言って「うん、いい(圧に押されるように)」とか言ってもらって大満足で買って、すぐに被って歩きだします。少しも眩しくないわ。

昭和館に寄って、山田風太郎の「不戦日記」の無料展示を見て。

 

靖国神社まで歩いて、2分ざきみたいなお花見。TPは桜味のソフトクリームを買って食べています(甘いものが好きなんだな)。

 

市ヶ谷の本屋で「不戦日記」の漫画を買って、バスに乗って帰って。

 

梨泰院、ラスト3作。やっとこさ恋愛関係の物語に。それにしても、韓国ドラマの悪役はすごい、悪役の中での仁義、悪役だけの聖典があるのがすごい。大泣きしたくせに、ロスにはなりませんでした。ほっ、良かった。私も忙しいから、何度も観ていられないわ。晩ごはんは、自家製ちゃんぽん。旨々〜!

 

私は今、「ノマドランド」を楽しみにしています。期待しすぎないよう、平常心で観たい、期待しない!