朝、6時に目覚まし時計(持参)をかけて早起きします。レンタカーを返すまで数時間あるので、TPがどうしても行きたいと言う裏砂漠という場所を探しに。大島は一周40キロほどの島なので、3時くらいの位置から6時方面で9時あたりまでドライブ。駐車場に車を停めて、四つ角でちょっと迷いながらそれっぽいところに入って行きます。
おかしいな、10分くらいでたどり着けるはずなんだけどな。
大島の森の中でよーく見かける植物。何だろう?これは。
地層。
可哀想にTPは裏砂漠に行けませんでした。20分ほど道を進んだけれど見つからず、そのうちに雨も降り出して断念。私は「呼んでくれんなら、こっちからお断りよ!」とか言います。ホテルに戻って朝食。アジの干物、ゆで明日葉、玉子焼き、お味噌汁、大島牛乳、海苔。
大雨。チェックアウトの10時まで、露天風呂に入ってみます。他にお客さんは居ません。大雨、しかも屋根なし。最初は、げっと一瞬だけ思ったはずなのに、露天風呂から庭の緑(大島はどこに行っても緑が濃い)を眺めながら、どんどん強くなる雨に打たれていると突然に自分が雨に打たれたかったかのような、開放されるような、いつまでも雨に打たれていたいような感じが湧き上がってきて、ウォーッと両腕を突き上げ、ショーシャンクポーズを決めてみます。最高!!
この宿は、家族親戚一同で訪れている人たちが多い様子。夕べは洗濯機も貸してくれたし、乾燥機もあったので少ない手持ちの服も清潔で爽やか。チェックアウトをして、傘をさして3泊めの宿に荷物を預けに行きます。
いかにも老舗っぽいクールな対応の受付で手続きを済ませて、ロビーで荷物を持ち歩き用と預け用に分けます。持ち歩き用は、去年買った街歩き用の折りたたみリュック。誰も居ないロビーでぼーっとTPの荷造りを待っていると、ふと、私の両親の新婚旅行は伊豆大島じゃなかったっけな?とか思い出したりします。
それにしても、もう昨日までの2日間でおおよそ観光地は巡ってしまった。なぜ3泊することにしたんだっけな?行きがけのフェリー乗り場でTPにGO!ゴー!と行っちゃおうぜ!みたいにけしかけたんだっけな。
雨なので、歩いて行ける範囲で火山博物館へ。プラス200円払って、火山の歴史映画を見ます。最初は「貸し切りですね」と言われてTPと二人っきりでしたが、上映直前に2人、4人、3人とどんどんひとが入ってきます。「ごめんね、ばあちゃんの遺伝。私、ひとを呼ぶっちゃん」とTPにごめんを言います。ばあちゃんが私に何度も言っていたことは、「私が店に入ったら、ガラガラでも必ずひとがたくさん入ってくる。見ちょってごらん、どんどん入るけぇ。不思議でならんのよ」私もその血を引いているので。(人の氣配が呼び水となっているだけとは言えなかったけれど)それはさておき、映画のおかげで、火山が噴火して真っ黒な溶岩に一番最初に生える植物は「イタドリ」だと知ってうれしくなります。あれがイタドリか!すると、後から入ってきてガラガラの映画館なのにすぐ後ろに座ったカップルの30歳くらいの男が、家でテレビを見ているかのように結構なボリュームで感想やら、豆知識やらをおしゃべりし始めたので、私なりに振り返って睨んでみたりしたけれどおしゃべりは止みません。席を思い切って移動します。あー、移動してよかったと思ったら、すーっと眠たくなって氣がつけば40分の映画は終わって館内にも灯りが点いていました。何て深い眠りだったんだろう。どれだけ眠れるんだろう。
雨がほとんど止んだので、歩いて元町港に戻ります。徒歩15分。開いている中華屋さんに入ります。じゃんじゃんお客さんも入ってきて(ごめんね、この血が)。どうやら元町でも人氣の中華店のよう、常連さんが多いようです。
昨日もカップ麺を食べたと言うのに、しかもTPは3日続けてなのに、思わずラーメンを注文。おいしい。
元町港で、午後はどうする?と話します。徒歩2分で露天風呂に入れるらしいとのこと。
貸し水着がある男女混浴の海沿いの露天風呂、水着代込みでわずか300円。だーれも居ません。最初に渡された水着が小さめのハイレグだったので「入るかな」と言うと、受付のおばさんは、大きめのワンピースタイプの水着に替えてくれました。
「浜の湯」コロナ対策で扉空きっぱなしの更衣室で、風強めでカーテンがめくりあがる中、ヒヤヒヤしながら水着に着替えます。ぶかぶか。乳見えそう。それでも、誰も居ないので露天に浸かると、海も船もお向かいの静岡県も見えて、温泉の温度も熱いゾーンとぬるいゾーンがあって、最高!!!!
そしてまたしても、大雨が。TPにも、雨に打たれて入る露天風呂が最高やったと報告済みだったので、それがまた体験できてものすごくうれしいと伝えます。顔をビシャビシャに雨に打たせるだけ打たせて、私は雨に打たれるだけ打たれたかったんだとはっきりとわかって、ニルヴァーナ、あやうく涅槃しそうになります。打たれても打たれても、永遠に飽きることない、雨は苦手でしたが今、はっきりと雨が好きになりました。子どもの頃から、傘を持っていない日にちょっとでも雨が降ると母が小中高と車で迎えに来てしまっていたので私は雨が本当に嫌いだったのです。TPと一緒に暮らし始めた頃も、バイト帰りに小雨が降ってきて公衆電話から電話をして「雨が降ってきた」と言うと「あ、そう?氣をつけて帰って」と言われて迎えに来ようとしなかったと文句を言ったこともあったっけ。今思えばちゃんと迎えに来てほしいと言うか、コンビニで傘を買えば済むだけのこと。それが今、完全に雨が好きになりました。
ドイツのノイシュバンシュタイン城で突然、それまで大嫌いだった歩くことに目覚めて、伊豆大島で突然、雨に打たれることに目覚めてしまった。2時間弱ほど入っていたでしょうか。その間、他のお客さんはおじいさんひとりと、インスタ映えを狙っていそうなカップルひと組のみ。TPが「そろそろ…出る?」と言うので驚きます。えっ、あと1時間は入ってられるばい。と口から出て、目が覚めます。そうか、もう今日の宿のチェックイン時間も迫っています。
緊急事態宣言が明けるまでは、夜営業している店は無いと聞いたので、今日もスーパーで晩ごはんの買い出し。「最初は、露天風呂に行こうって誘っても、え?別に、みたいな反応やったのに、行ってみたら門の方が楽しむ。いつものこと」とかTPは言っちゃってます。確かに。私は、旅行に行くのも新しいところに入るのも、最初はとっても怖がるのです。フィンランドのサウナも、大柄の白人のひとたちからジャップとか馬鹿にされたらどうしようと行きたくないと言ったのに、実際に入ってみたら私の方がはまってしまって、いつまでも出たくないと言い張って。あーあ。
本日のお宿。
そうだ、デジカメが復活したので旅行グッズを紹介します。文房具屋さんで買った厚紙で折った小物入れ。ここ数年使っているけれど便利です。
床の間には、何氣ない絵葉書。
温泉。洗面器の赤が可愛い。
露天風呂。「浜の湯」にはシャンプーがなかったので、本日3回めの温泉。先客は居ません。風呂の縁に頭を乗せて、身体をふにゃーっとゆるめる方法を発見。最高です。
缶ビールを空けて、スーパーで買ってきた晩ごはんを食べます。TPは肉肉しいのが好きらしい。私はチーズと、トマトと、ナッツを買ってつまみにして食べます。夜は長い。長いはずなのに、どんどん日が暮れて、どんどん休暇は終わりに向かって行きます。「2泊で十分って思ったけど、3泊してよかった」と言います。一度も、仕事のことを思い出さなかったし(嘘、ちょっとは思い出した)、雨が嫌いじゃなくなったし、不潔なシェアハウスみたいな宿も体験できたし、誰も居ない三原山も体験できた。新しいデジカメもあるし、大島に来られたことが何よりうれしい。バスやレンタカーで島を行ったり来たり2周以上まわった。来てよかったな、と心から思いました。TPは気絶するように眠っています。私はしばらくテレビを見て、パチッとテレビを切って「寝よう」と思って寝ました。