先日、TPを駅まで見送りに行ったときに「タオル忘れた」と言うので、我が事のように悲しくなりました。この猛暑でタオルが無いと辛いだろうと。そこで玄関のドアに「タオル」と書いて貼ります。それが一転、今日はうすら寒いほどのお天氣に。
朝、母から電話。「お父さん、ガンやって」どうやら検査の結果が出て膀胱がん?母いわく小倉さんと一緒(本当かな)、全摘出で外に尿を出すパックをぶら下げるらしい。「とにかく食べんのよ。昨日も牛しゃぶ食べたいって言うからいいお肉買ってきてしゃぶしたけど、2〜3枚くらいしか食べられん。しゃぶは豚より牛がいいやん?その前は珍しく親子丼してくれるかって言うから、お父さん鶏苦手やのに珍しいなーって思っていい鶏肉買ってきて小丼にしたら、あー、うまかったーってその時だけ全部食べた。うまかったって普段言わんやん?(うっすら涙声)」お父さん、今どこにおると?と聞くと、下の階で寝転がってるとのこと。「寝てばっかりやからごろ寝用の布団買って来ようかな。前に◯◯(弟)が送ってくれたビーズクッションがあるけど、あれ、案外きついんよ」母は「私は元氣やから食欲がないってことが一度もないけど。昔はさ、はよ死ね!とか思ったりしたけど、ここんとこ元氣がなくて寝てばっかり、見とったらかわいそうでかわいそうで(再び涙声)」
確かに、小学生の頃、夜中にふと起きると、母は寝ている父の首を眺めながら「私がロープかけてこっち引っ張るから、あんたはそっち持って引っ張って…」などと言ったり、こっそり精神安定剤を味噌汁に入れて飲ませるほど、父を憎んでいたっけ。(隠しておいた少女漫画を父が捨てたときは半狂乱だった)私は保育園児の頃から何度も、離婚すればいいやんと説得を試みていたけれど、健氣な子ども。もう生まれた瞬間から、この家は仲が悪くて苦労しそうだなと思っていたので。
少し経って、父から電話。「聞いたよ。お母さんから朝、電話あった」と言うと「何て?」と言うので「ガンやってね」と答えます。「とにかく、ガンにもいい顔と悪い顔があって、悪い顔らしい。先生がはっきり言ったもんな、悪い顔してますねって。全身に転移してなかったら全摘。転移しとったら手術もせんかも知れん。とにかくきつい。もういよいよ長くないばい」私は、父の体調が一番氣がかり。だるくて疲労感だけしかなくて全身が辛いのが、一番かわいそうで「きつかったら寝ときー、いいやん、寝とうだけでも」と言います。そして、検査のことやら何やら尋ねます。父と電話で喋ることがうれしい。けれど体調が悪いのか、また電話するわと切っています。手術するにしてもしないにしても、三途の川が少し先に見えているような話し方、声。
晩ごはんは、再び高級たまり醤油を使って、土井先生のレシピで鶏の照り焼き。父は鶏が大嫌いでしたが、親子丼を食べたいと言ったのか、などと思ったりします。蕎麦も大嫌いで、うっかり母が年越し蕎麦を作ったときは震えるほど怒鳴りつけてお正月台無しだったっけ。思えば父も30代、40代、暴れに暴れたいお年頃だったんだな。それでも、ひん曲がったなりに私を全身で認めてくれていて私が何をしても、何を言っても、全身全霊でぶつかって大喧嘩して、今では私が楽しそうにしているとうれしそうな父。今、私に何ができるかな、とか考えてみたりしています。