マートルヌワン!

朝の3時、目が覚めます。何だかとっても楽しい夢を見たような。起きてみて、ジョグジャカルタにいるとわかったときの喜びったら。普段のしごとのことなんて1ミリも思い出しません。シャワーを浴びて、ようやくすっきりします。

TPも早起きして、何か書いていたような。

今日は、いよいよボロブドゥール遺跡へ。遺跡に上がるには事前のネット予約が必須とのこと、何とか予約を済ませます。ボロブドゥールからプランバナンにタクシー移動の予定、出発前に現金が足りないので両替所に行きますが、まだ開いていません。

朝7時のボロブドゥール行きのバスに乗るので、早めに出発します。驚いたことは、これまで東南アジアを旅行してほとんど出会うことが無かった、ジョギングするひとたちが、インドネシアでは相当な数いるということ。健康意識が高まっているのでしょうか?

朝ごはんを食べるところを捜していると、行列のできる食堂がありました。今日は時間の余裕がないので、また明日にでも来たい。

この屋台は何屋さんかな?と覗いていると、お客の少年が「ポーリッジ」と教えてくれます。お粥?それなら食べたい。お店のお姉さんは、私がお店を覗くと、くすぐったそうに笑っています。少年が間に立って、1人前15Kと教えてくれて、椅子にも座らせてくれます。

カレー風味の優しいお粥、鶏肉や青菜、ナッツが入っています。おいしっ!

7時発のバスチケットを買おうとバス停に行くと、まだ6時45分なのにボロブドゥールならこのバス、乗れ乗れみたいにみんなが言うので思わず閉まりかけのバスに飛び乗ります。念のため「ボロブドゥール?」と尋ねると、係のひとも乗客も頷いて、任せとけみたいな感じ。他のお客さんは乗った瞬間に支払を済ませているのに、私たちからはお金を取ろうとしません。

Jomborというバス停で「あっちに乗りな!」と言われて乗ったバス、ひとり20K。ところでジョグジャカルタからここまで1時間、バス代は結局払わずに乗り換え、どうして?親切?ジョンボールから、さらに1時間。運転手さんも車掌さんも、お客さんもこちらを向いて「ボロブドゥール、ボロブドゥール」と教えてくれます。そこを左に曲がりなさいと手振りで教わります。

左に曲がってみると、おじさんがミニバンに乗りなさいと声をかけてくるので、大丈夫、歩いて行くからと答えて出発します。

ジャカルタでは建築中のコンクリの砂は道路に直置きするスタイル。地球の歩き方によると、バス停からボロブドゥール遺跡までは1キロちょっとのはずなので、てくてくと歩き始めます。TPは、ちょっと待って、地図にはバスターミナルって書いてあるのに無い、とかあれ?市場がないとか色々言っていますが、大丈夫よ、バスのおじさんが左に行けって言ったやん、と歩くものの、30分経ってもボロブドゥールが見えないので、何度もお店のひとや、通りすがりのひと、駐車係のひとたちに尋ねます。「ボロブドゥール?」イェス!どうやら何かおかしいね、遠いところにバスが着いた、やっぱり7時の直行バスに乗るべきやった?などと喋りながら1時間も歩いた頃、コンビニの女の子にボロブドゥールまであとどれくらいか尋ねると、20分とのこと。20分歩いて、また通りすがりのひとに、あと何キロ?と尋ねると「ドゥアキロ」。インドネシア語で、1はサトゥ、2はドゥア、3はティガ、それを覚えていたので、2キロかと思います。1キロ歩いて、道端の側溝の上に建てられたカフェ兼食堂に入ってみます。

コピドゥアと頼み、店のひとが壁に下がったインスタント珈琲の素(小袋)をどれにするか?と尋ねてくれるので、適当に頷きます。

私はホット、5K、TPはアイス、5K。1杯50円くらいです。日陰というだけで、猛暑がやわらいで。ボロブドゥールまでどれくらいかと尋ねると「サトゥキロ」1キロ?じゃあがんばります!

歩き出します。もう2時間も歩いているでしょうか。畑のあぜ道にはパパイヤの実が成っています。

ここは一体どこ?30分歩いて、道端でまた「ボロブドゥール?」と尋ねると一本道を指さして、そうだと答えてくれます。「ティガキロ」あら?あと3キロ?歩いても歩いても増える距離。

もう3時間以上歩いています。

ようやく、本当にボロブドゥールの近くな感じになって、インフォメーションにも寄って、あとどれくらいか尋ねると30分とのこと。両替所も無いので、ATMでクレジットカードでのキャッシングを試みますが成功しません。

ついに、ボロブドゥール遺跡の淵まで来たと思ったら、入口まであと1キロの案内が。少しずつ無口になって。「もしボロブドゥールがそれほどでもなくても私を責めんで!ここまで歩いただけでもうすごいけん」と突然言って、TPは面食らっているよう。

やっと、やっと入口に到着しました。4時間は歩きました。受付の青年に、予約した時間から3時間も遅れたけど、バスが違ってここまで15キロは歩いたと言ってみて、同情してもらいます。そして、この後にプランバナンにタクシーで行くとも言ってみます。いくらくらいですか?と尋ねると、スマホを取り出して、Grab(東南アジアのタクシー配送アプリ)で、調べてくれ、だいたい300K、何ならボロブドゥール遺跡を観光した後で自分が予約するよとか言ってくれます。優しい、ジャワ島のひとたちは優しい。何て優しいの、お名前を教えてもらえますか?と言うと、若い係員のひとたちはキャッキャと盛り上がって青年も「アンディー」と名前を教えてくれます。念のため、紙に名前のスペルを書いてもらって。お腹がすいたと言うと、中のレストランをおすすめしてくれます。

そのレストランまでも約1キロ。くたくたで通りすがりの園内タクシーに声をかけると、どうせ戻り道だからと無料で乗せて連れて行ってくれました。優しい、優しすぎる。

汗びっしょりで入ったレストラン。

ちょっとラグジュアリー過ぎて引くかな?と思ったらすぐに喜びに変わります。パッタイ55K、チキンウィング35K、ガドガド35K、生春巻き35K、水15K+サービス料8K。全ての料理が完璧でぜいたく、2千円くらいです。私はガドガドが好きだ。ガドガドだなんて言葉すら1ヶ月前には知らなかったはずなのに。

園内のひとが言う「テンプル」に行き、入口で斜めがけの不織布ズタ袋と、立派な草履と水をもらって進むと、日本の中年夫婦を見つけた係のひとがトランシーバーで、来い来いと手招きされ、ユーたちは33番フラッグを追え、ガイドの名前はナウンディとだけ言われ、小走りですでに開始してしまっているらしいツアーを追いかけます。

わ、何か素敵。

あら?写真より素敵。33番の旗を振っているおじさんに駆け寄り、「ナウンディ?」と尋ねると、イェスとのこと、すぐさまツアーのひとたちに「ニューフレンズ」と紹介してくれます。アメリカ人親子、ヨーロッパカップル、インド人親子が一緒のメンバーです。

あわてて草履に履き替えます。あっと思うほど強い臭い、ホームレスのひとが通ったかな?と思ったら何と、まさかのTPの靴でした。このところ足底筋膜炎が再発して、テーピングやら簡易的な包帯でぐるぐる巻きにしていたので、それが高温で蒸されて、風呂に入っていない臭いになったよう。

自由時間、まずはビオレの汗拭きサラサラシートを渡して、TPに足の裏を拭いてもらいます。ホッ、もう臭くなくなった、あー、臭かった。

裸足っていいな。ガイドのナウンディさんいわく、504体?だかあった仏像は、インディペンデントの戦争でほとんど頭だけ持ち去られて売られて、今では2体だけしか残っていないとのこと。遺跡の上では、30分の自由時間があります。(アメリカ人親子は、先頭切ってナウンディさんに質問したり会話したりしていたのに、自由時間になると勝手に帰っていた)

30分後、アメリカ人と違って真面目なヨーロッパカップルとインド人親子と日本人夫婦は、ちゃんと集合場所に集合し、ナウンディさんの感極まったような挨拶を最後に、別れます。もう3時くらい。これからプランバナンに行ってもまたスコールになるし、今日は一旦、ジョグジャカルタに戻ろうと話し合います。受付でアンディー君に、プランを変えました、ジョグジャカルタ行きのタクシーを予約してくださいとお願いすると、すぐにスマホで呼んでくれ、そこのベンチで待っておいてと言われます。日本人の中年夫婦は大人しく、涼しいベンチで待っています。すると受付の女性が、フォローミーとタクシーが来ているところまで案内してくれ「テリマカシー」とお礼を言って別れます。「サマサマー」と返ってきます。そう言えば、テリマカシーとお礼を言うたびに誰もがサマサマーと言うので、どういう意味だろう?今度調べよう。

タクシーの運転手さんはヨーギさん。私たちを、どうしてもジャコウネコの珈琲屋さん、ルアックコーヒーの店に連れて行きたいようですが(マージンかな?)、くたびれたから直接ジョグジャカルタの駅までとお願いします。途中の遺跡で、仏教徒はここから10キロ巡礼して歩くと教えてくれます。私たちも今日、道行くひとたちから、もしかしたら巡礼だと思われたのかな?ほら、ドリアン、とかパトカーが通り過ぎると、今日はジャカルタから大統領が来ているから警備が厳しくなっているなどと教えてくれます。ヨーギさんも私も、めちゃくちゃな英語。ヨーギさんはどういうわけか、インドネシア語じゃなくジャワ語というものを教えたがります。TPのことを、ハズバンドか?と聞きます。インドネシア語で夫はスワミ、何度もスワミと言わされます。次に、ジャワ語でありがとうはテリマカシーじゃなくて「マートルヌワン(巻き舌)」。何度も練習させられます。「トゥモロー、ゴー。べーソク マウン コマナ」 明日行く、がベーソクマウンコマナみたいな感じかな。メモを取って、そのとおりに言ってみます。「ベーソク マウン、コマナ ジャカルタ(巻き舌)」するとヨーギは大喜び、頭がいい!あなたはティーチャー?と言います。ただの事務員ですと答えます。

今日もスコール、やがて渋滞。2200円くらいで、もう2時間もタクシーに乗っています。ヨーギはこれから5時間かけて家に帰ると言います。(本当かな?)グラブアプリの安心なところは、最初に値段が決まっていること。ようやく到着したジョグジャカルタ駅でソー・ロングタイムだった、「マートルヌワン、ヨーギ(ヨーギさんありがとう)」と心を込めて言うと、ヨーギさんは握手をしてくれました。

ジョグジャカルタ駅で人気だという炭焼コーヒー、いえ、炭火を直接投入するコーヒー。昨日、たまたま歩いたとき開店前の屋台を通りがかったとき、あまりの不潔さに「これは無いな」「そこまで無理する必要はない」とTPと言い合っていたのに、また通りかかると、フラッと立ち寄ってみたくなりました。

店主が「いいか、見てろよ!」と写真撮影を求められ、デジカメで何枚か撮ります。挽いたコーヒー豆にお湯を注いで、真っ赤な焼き立ての炭をボーンと入れるスタイル。嘘でしょ?と思うけれど、炭があらゆる雑味?を吸って、やがて香りが立ち上がり、忘れられないような味に。

ジョグジャカルタ駅の踏切の、すぐ向こうの青いテントが目印、お近くにお立ち寄りの際はぜひ!炭入りコピ、1杯11K。

今日はたった一箇所の遺跡に行っただけだった。TPは両替所で、1万円札を両替しています。明日は、ジョグジャカルタからジャカルタに戻るので、電車も予約します。ちゃんと、出発駅と到着駅を記入した紙を見せて、検索していた予算よりも高かったけれど(ひとり5000円超え)、ひとまず終着駅から、ジャカルタのホテルに移動するルートは調べてあって、地図もプリントアウトして、路線図も持っているから。

あー、長い一日やったね。晩ごはん、昨日行けなかったヤニスキッチンへ。てくてく。足が痛い。

人懐っこい感じで出迎えてくれます。

TPはナシゴレン28K、とミーゴレン15K。

私は八宝菜。35K。後から頼んだ緑茶、5Kのおいしいこと!!!

歩いてホテルに戻って、シャワーを浴びて、洗濯をします。コンビニで、一番小さい石鹸を選んで買ったので。3.5K。35円くらいです。(泡立ちは最高、洗浄力は最弱、香りもなし)ホテルでドライヤーを借りて乾かすものの、ドライヤーの性能がよくないのか、風力が心もとない。ついでに、このあたりでビールを飲めるところはあるかと尋ねると「ルーシーファー」とのこと。そこは酒屋さん?と聞くとカフェとのこと。

今日も寝落ちしそうなTPを誘って「ビール飲めるところがあるってよ」と言うと渋々、「じゃぁ行くか」と付き合ってくれました。ビールひと瓶、800円くらい!!ヒーっ、インドネシアは本当に、お酒を売っている店が見当たらない。

昨日は数年ぶりにビールを飲まなかった、今日は800円もするビールを飲んでいる。大切に、大切に飲みます。何ておいしいんだろう。「よく考えたらさ、日本以外で女性が夜中でもビールを買いに行くことができる国ってひとつも無かったやん?私、もっとビールを大切に飲むわ。私、ビールを大切に飲むために今回、日本に生まれたのかも知れん」とTPに言ってみます。反応薄。TPったら、くたびれ果てているのかな?インドネシア、遺跡に行くために検索して来たことが、ひとつも思い通りに行かないこと、刺激的で、やっぱり来てよかったねと言い合います。店のひとに、道路の真ん中に立ってダンスしているようなひとがいるので、あのひとは何をしているのかと尋ねると、彼は駐車場係だよ、とのこと。高価なビール、1本追加して持ち帰ります。TPはクタクタになりながら今日も、何やら書いています。今日の酒は甘いです。