朝起きると、私は夜中にパンツだけを脱いでジャージだけ履いて寝ていたよう。床に私のパンツ、夜中に共同のお手洗いに行った記憶はあれど、何か夢を見たのかな?不思議ね。

おはよう、サイボーグ008!今日は旅館の調理係の方がお休みということで、徒歩5分の別の宿に朝食を食べに行ってくれとのこと。

アパートのような作りのビジネスホテルへ。

「おはようございます」と食堂へ。お皿にすでに盛り付けが済んでいる定食を受け取って「いただきます」

帰り道は、別の道を通ります。知らない街の知らない道を歩くことは、生きるよろこびベスト3には確実に入ると思う。

さあ、新年会旅行2日めは、電車に乗って移動します。

駅で「すてき!」と手に取ったちらしは、東京駅の美術館のちらしでした。

電車に乗って向かったのは、鳴子温泉郷です。あきらかに平坦な場所から、雪の積もる山脈に向かって電車はまっすぐ進んで行きます。はるか遠くにあった山へ電車はぐいっと上がって行きます。

到着。TPが大の方で長い長いトイレに行っている間、待合室の上まで上がってみます。私は鳴子温泉にずっと前から憧れがありました。鳴子という名前と、こけしの佇まいに。そして来る前から「絶対にこけしは買わん。もし実用的なもの、例えばこけしフォークとか、こけしペンとか、そういう使えるものがあったら買ってもいいことにする」と宣言して自分を戒めています。

長いトイレを終えたTPが、観光案内所で「お昼をどこかで食べたいんですけど、名物とかありますか?」と尋ねたところ「名物は特に・・・栗だんごが名物なんですけど、おやつですもんね」とのことで、まずは栗だんごとやらを食べに行きます。おいしいけれど、想像していたものと全く違う見た目と味です。

憧れの鳴子温泉は、想像していたよりもはるかに駅から近いところに、こじんまりとした温泉、今日の宿は「大江戸温泉物語」です。わーい!

フロントで荷物を預かってもらって、地図ももらって、まずは「温泉神社」へ。思いっきり手を叩いて願ったのは「健康」。

こけしがかわいいからって、あまり写真を撮りすぎないよう注意しながらも、つい写真を撮ってしまいます。

「早稲田桟敷湯」黄色い建物にいつか住んでみたい。また後で来ますね!それにしても鳴子温泉は期待を裏切らなかった、とても歩きやすい、人口密度がちょうどいい、散歩しているだけでも鼻歌が出そう。

昼ごはんどうするどうするどうすると悩みに悩んで、オムライスにします。店を出てTPとほぼ同時に「普通」と言って笑います。私はもう二度と、外食でふわとろオムライスを食べないことでしょう。おいしくないわけでは決してなくて、ふわとろオムライスなるもので感動したことが、本当に一度も無いからです。見た目以上のひと皿に出会ったことが無いし、これからも無いと確信しました。いつの間にか外は雪。宿に戻って、長靴と傘を借りて、再び歩きます。

TP計画の早稲田桟敷湯、ものすごく不思議な構造です。

建物と同じく硫黄色の温泉、とっぷりと浸かった瞬間に「温泉最高!」と身体が溶けそうになります。

案の定、TP長風呂。私は2階の休憩所で読書。パク・ソルメさん。

それにしても長靴最強。数年前まで履いていた私の長靴は、風呂掃除にも使っていたので穴が開いて捨てましたが、長靴をもう一度買おうかな、いや買おう。TPもこの長靴いいとしきりに言っています。

雪の中、もう1軒の共同浴場へ。今日の宿の真ん前です。鳴子温泉で最も古い温泉だそう。こちらは、ものすごく雰囲気が良いけれど、3人組が大きな声であまり興味がないことをおしゃべりし続けているものだから、早々に出てしまいます。そしてTPは長風呂。ホテルのロビーでTPが上がるのをひとりで待つ時間、パク・ソルメ。喫煙所で一服、パク・ソルメ。ふっと何かが降臨したように、実用的じゃないものを買おう、どうせなら大きいものを、そう決まってしまいます。

ホテルに荷物を預ける前、ちらっと覗いたこけし屋さんへ行きます。

「すみませーん」と無人のお店で声をかけると、店の方が出てきて「いらっしゃい」とのこと。気になるこけしを、ひとつひとつ持ち上げて、これは宮城の。これは山形の。説明を受けながら、ゆっくり見せてもらいます。こけしは買うまいと決めていた、でもそれは小さいサイズのこけしのこと。今は、大きいサイズのものを買おうと決めているから、一尺以上あるもの限定で、ひとつずつ持ち上げて、鳴子の名工だという方のこけし、店の方が「4500円だけど、まけるよ」4000円にしてくれ、一緒に「うちの夫がデザインした」というポーチも買って、5000円払って紙袋抱えてホテルのロビーへ。

TPがチェックインを済ませてくれていました。(TP、紙袋を二度見)

「ちょっと待って、開けるのが怖いんやけど」と言いながら、包装紙に包まれた生まれたての赤子ほどあろうかというこけしを見た瞬間、TP苦笑い、そして「これ、門が死んだら棺桶に入れちゃる」とのありがたいお言葉。

「絶対ね!」これで私がいつの日か、轟々と燃える火の中に抜け殻となって入る瞬間のパートナーが決まりました。あと40年後くらいかな?

格安プランなのに、空いているからと広いお部屋にしてくれたそう。すばらし、てんごく!今日もTPとスクワット15回×3セット、私は二の腕体操も。

わーん、かわいい、かわいすぎるポーチ。赤皮の手帳と、ペンを入れます。

そうだった、鳴子散歩の途中で、駅の待合室から見えた肉屋さんのドレッシングも買ったんでした。

そしてパク・ソルメ。気がつけば散らかっている私ゾーン。温泉。焼酎。昨日見た津波の後の土地の景色、記憶。TPとぽつぽつと今日になってまだ会話。石巻の道の駅で買った莨盆(たばこぼん)、鳴子のこけし。うっとり。

パク・ソルメと温泉、焼酎で気がつけば、貧血のようにフラフラになっていました。それでも晩ごはん会場へ。牛肉のステーキを食べているうちに、グングン元気が出てきます。そして部屋に戻ってパク・ソルメ読了。就寝。外は雪。ここは憧れの鳴子温泉。大きなこけし。たくさんの夢。どこまでも深く眠ります。

(TPは私が寝た後に、チューハイを飲んだらしい。ものすごくおいしかったとのこと。翌日談)