シン・コーヒーの世界

「肌きれいですね」と言われたいと思い立ち、エステのお試しを予約しました。

と言うのも福岡の母が45分3500円のプライベートエステに通い出して「肌きれいやね」と言われ始めたそうなので。プライベートのエステって言っても、弟家族が暮らす家のお隣さん。看板を見て予約して施術を受けてみたところ、老人特有の耳鳴りの症状が薄らいだと大喜び。

カウンセリング含めてたっぷり2時間、初回お試し価格で1万1千円。施術後に鏡を見た瞬間の感想は「シミが多い」でした。どうやらマッサージや電気ピリピリしてもらっている間に眠っていたらしく、起きると視力が良くなって自分のシミがこれでもか!と浮き彫りに見えるようになったらしい。(ポーっとしたままちゃんぽんを食べて)

そんなことよりも、今日は職場のOさんから教えてもらった、特別な浅めの焙煎コーヒーを飲みに行きたいので、歩いて奥渋まで出かけます。

一度も通ったことのない道を通って、汗を拭き拭き、持参の水道水を飲み飲み。一度地図で見ただけの場所、思っていたところに無いので、住宅街を向こうから歩いて来た方に「すみません、道をお聞きしてもいいですか?ふぐれんって、コーヒー屋さんご存知ですか」と尋ねたところ「あー、フグレン、近いですけど、近くてちょっとあります、歩いたら10分くらい?」とスマホで地図を検索してくれ「交番から、ひとつふたつめの角を右です。どうぞお気をつけて、楽しんでください」と満点の笑顔で教えて下さいます。はっきり言ってもし職場とか別の場所で出会っていたらお友達になってほしいくらい素敵な方だった。

教わった通りに、FUGULENへ。Oさんには「浅煎り?酸っぱいやつ?」と言うとさすが理系「酸っぱいと感じるのはそのひとの感じる個別の酸味が出ているからで本来酸味は」とか「心地いい酸味が必ず」と説明してもらったものの。ホットコーヒーをテイクアウトします。

飲んでみると、やっぱり酸味があるけれど、おや?と思うほど心地よく身体に染み込む。

ふたくち、三口飲むと、ますます身体に入って行く。目の前に停まったバスに乗ります。私の隣りに自閉症?らしき男性が座ります。お母さんと離れた席だから落ち着かないのか「チュクチュクチュッ」と何かのリズムを口ずさんでいるので私も真似して「チュクチュクチュッ」と口ずさんでみると、チラッと視線をくれて、落ち着いてまた「チュクチュクチュッ」と言っています。私もコーヒーを飲みながら「チュクチュクチュッ」と口ずさみます。バスを途中で降りて、新宿まで歩きます。歩いても、歩いても舌と鼻腔を漂い続けるコーヒーの香り、酸味。だんだんと、本当にすごいコーヒーかも知れないと感じ始めます。1時間以上、漂い続ける余韻がすごい!

コーヒーを飲んでから、猛暑の喉の乾きが完全にストップしています。もしかするとコーヒーと言えどもコーヒーじゃない、全く別格の飲み物かも知れない。散歩の途中で買った新生姜を家に帰ってスライスしまくります。酢と砂糖で漬けてみます。

晩ごはんは、酢生姜と、酢大根と、茹でトウモロコシと、魚の干物。やばいコーヒーに出会ってしまったかも知れない。でも先日、たっぷり2キロコーヒー粉を買ってしまった。あれを全部飲むまでは、新しい世界のコーヒー豆を買おうと思わないこと。