痰を出す

夕べ、夜中まで頑張ったから今日は有給休暇をもらいます。復職できるかいな?私。母が、父が吐血しているとサラッと言っています。ベッドシーツに茶色いシミ。f:id:monna8888:20211006083053j:plain

夕べ、母の友人が大変でしょうとパンを大量に買って持ってきてくれました。が、みな食欲無いのでどうしましょ、と思っていたら、母も弟ももらったパンをムシャムシャ食べています。うらやましい。

 

弟は今日も在宅勤務。父の部屋に、飲み物を用意して、ウェブカメラに映る上半身だけ正装して下はジャージ。

 

看護師さん来訪、吐血は血の色が茶色いので古い血が上がって来て出ただけで心配ないとのこと、安心。身体をきれいにしてもらい、口腔ケアも。頭を支えたり手伝うものの口の中が吐血のせいか茶色いものが出てきて、オエッとえずいて母に交代してもらう。父、全く喋らないが意思疎通は出来ている感じ。

f:id:monna8888:20211006114743j:plain

地下鉄に乗って。

f:id:monna8888:20211006115357j:plain

わざわざイオンへ。母に白髪染めしたいと言うと、母はオススメの安い毛染め専門店一択、母からの紹介初回割引で1600円くらいで毛染め。帰りは歩いて。中学生の頃、自転車に乗って友だちの家に行ったりしたっけ。

f:id:monna8888:20211006131212j:plain

思い切って歩いて帰ります。

f:id:monna8888:20211006132700j:plain

弟が車で、英(はな)のスパゲッティを買ってきてくれました。弟なりに、食欲の無い私を氣づかってくれているのでしょう、蓋を開けた瞬間、懐かしい匂いで氣絶しそうになります。この店、誰が探して来たんやったっけ?鉄板焼の赤坂は私が誰かから教えてもらった店らしい。どちらにしても父は、今日は口を利きません。

 

夕方、今度は母が毛染めへ。根本が真っ白でアニエス・ヴァルダのよう。その間、父は何度も起き上がろうとします。そのうちの何度かは成功して、ベッドの上で起き上がることはできます。「氷、いる?」と尋ねてみるとかすかにうなずきます。口に小さい氷を入れてみると、しばらく、ん?何だこれは?みたいな顔をして、氷だとわかるとガリガリと噛んでゴクッと飲み込みます。「もう1個いる?」と聞くと、うんとうなずくのでまた口に入れてみます。父は喉が乾いているんだな!続けて、いくつか氷を入れてみると、うっと苦しみ、ゲッッホゲホゲホと咳。痰がからんで苦しそう。「ごめんごめん」しばらくしても、まだゲホッと痰を出そうとしているので「お父さん、がんばって!痰がからんで死んだら、私が殺したことになるとよ」と言うと、がんばって飲み込もうとしてくれます。夕方が一番長い。普段はカーテンを閉めていますが、夕方だけはカーテンを開けて、夕焼けを見せるようにしています。父も、窓の方をじーっと見ています。

夜、弟も仕事を終えてふたりで顔を見ていると、父の口が開いたと思ったら、白い舌のような餅のようなものが見えています。一瞬、舌を噛み切って自殺しようとしているのかと思ったら、よく見ると痰!慌ててティッシュでつまみ出し、「お父さん、痰出してくれたと?」「自分で喉から持ち上げたと?」「えらい!」「がんばったねー」と弟と父の頭をなでて大喜び。

 

とは言え、痰が出るのは最期が近い証拠、父は一歩ずつあの世への階段を、あのヨタヨタした足で上がっているのでしょうか。上半身を起こしたり、倒したり、寝返りを打ったり、苦しいようで頭を横に振ったり、ため息をついたりしています。母が座薬を入れて、何とか寝てもらいますが、まだ痰が心配。

思い切って看護師さんに電話します。「ちょうど、痰の吸入器を持ち帰っているので、これから持って行きます」とのこと、ありがてー。ここ数日、毎日のように夜中に電話して薬の指示をもらったり、実際に来ていただいて先生に指示をもらったりしてくれています。看護師さんたちには頭が上がりません。

 

夜中、看護師さんが来てくれて、母と痰の吸入を習います。私は4回挑戦して1回成功。失敗すると「アイタタタタタ」とか細い声が出ます。

 

今日も、缶ビールを飲みながら父の使っていた部屋の二階のベッドで眠ります。母は父のベッド横に昼寝座布団を敷いて、父が起きだしたら自分の足を踏んで氣が付けるように片足を放り出して寝ています。夢の中にいるみたい。