楽しい介護

朝が来た!お父さん、おはよう!母は食欲無いと言ってもホットドッグ作ってくれるので半分だけ食べます。「キャベツ、切ってくれたと?ありがとう」と言うと「私だってそれくらいするよ!」と目を三角にしています。どうやら私は、旅行用に有給休暇を取っていたらしい。今日も明日もお休みです。わーい。

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父がまだ喋ったり歩いたりしているときに、弟の妻のご両親とお兄さんと、京都の伯父伯母で10月9日の土曜日に食事会をしようと計画していたことは知っていましたが、それをキャンセルしていないと知って、誰が何時に来るかはっきり教えてと言って喧嘩になります。弟と母はいつも、何でも曖昧にして本音を言わない癖があるからムカつく。TPも電話で、福岡に行こうか?と言ってくれていますが、急にいろんなひとが集まったらTPも居場所が無いのではと心配していると、弟が「来てもらってよ!お願い。俺も男の兄弟がおらんけん、TP君のことを本当の兄のように」とか歯が浮くようなことを言っています。父も弟も案外、いろんなひとを集めて食事したりするのが好きらしい。私は人数多いの好きじゃない。TP、職場で休みを交換してもらって9日に来てくれることに。

 

今朝も看護師のKさんが来てくれて、血圧がしっかりしていると教えてくれます。今日も身体をきれいにしてもらって、口腔ケアもしてもらって、父は清潔になって氣持ち良さそう。私までうれしくなります。また、銀行のことをちゃんとしておいた方が良いとのことですが、お陰さまで父は退院後すぐに銀行の方を呼んで、全て解約しているので安心です。

 

 

ふとベッド脇の棚にあった、父の3年手帳をめくってみます。もう10年も前に、最初の一冊を私がプレゼントしてからずっと続けてくれているそう。TPと私の海外旅行の日程が、赤いボールペンで書いてあって泣きます。「ギリシャ、出発」「ギリシャから帰国」などと。弟の帰省などは黒いボールペン、重要じゃないらしい、イヒヒと思います。手術やら大事なことは赤で書いてある。

 

昨日、ベッドを上げ下げしているときに棚から落ちて枠が壊れた鏡を捨てようとすると、母が「それは捨てないで!あんたがプレゼントしてくれてお父さん、氣に入って毎日使っとったんだから」と言うので木工用ボンドで修理します。

 

「正直さ、お父さんが起き上がれなくなってから、ゆっくり寝られるね」と母が言うので「そうそう。こないだみたいに、一日中歩き回られたら、こっちが先に死んどったね」と話して笑います。父が寝たきりになったので、私は少しずつ台所を片付け始めます。父が手術前に坊主にしたと言って送ってもらった写真を見たとき、父の坊主よりも台所の物の多さ、汚さの方が目に入ってたまらなかったので。またどこかにバイクで出かけるという母に、無印のゴム手袋を買ってきてもらいます。無印のゴム手袋初めて使ったけど、なかなか良い。いや、まじで良い。まずはシンクの上を片付けていると「その下の棚開けてごらん。ゾッとするよ」と母はどうやら私に全部片付けさせようとしています。

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母は片付けを手伝おうともせずに「銀行の窓口のSちゃんからもらったHABAの化粧下地がいい、これ2本目」とか言っています。

 

お昼、父の大学時代の先輩が来て下さいました。ずいぶんお爺さん。「おーい、◯◯!何でこんなことに」と寝たきりの父の手を取って泣いてくださいます。「苦しそうやな。この状態を見ると、がんばれとは言えん」と思いを伝えて下さるから感激します。母が「手術室にはね、自分で歩いて入ったんですよ。入ってくるねーって手を振って見送ったら、2時間後に電話がかかってきて、もう手術できませんって言われて」

 

入れ替わりで、父の大学時代の別の先輩と後輩の方が来てくださいました。しっかり話しかけてくださり、学生時代の思い出話しを教えてくれます。母が「手術室にはね、自分で歩いて入ったんですよ。でも氣丈でしたよ。手術できないって伺ったときも、あとどれくらいですかって自分で先生に聞いて」先輩は「こいつはそういう男ですよ。皆に氣ぃ使って、本当に周りのみんなのことを考えてばっかりで。おーい〇〇」と先輩が声をかけると、一瞬笑顔が見えます。笑った!とみんなで喜びます。そして、グッと肩に力を入れて起き上がろうとするので、みんなで感激します。

 

また入れ替わりで、父の会社の後輩が来てくださいます。皆さん涙ぐんで。母「手術室にはね、自分で歩いて入ったんですよ」もういい!一日何回おんなじ話し!?f:id:monna8888:20211007123305j:plain

お客さんが来てくださるのはうれしいことですが、弟が買ってきてくれたちゃんぽんはすっかり伸びちゃっています。

 

今日も父の目が開いたらベッドを起こして氷を食べさせます。ガリガリと丈夫な歯で噛みながらも、時々うつらうつらするのでほっぺたをペチペチしてごっくんさせます。咳が出たと思ったら「氷くれ」と喋ったのでびっくりして慌てて氷を入れます。喋った。びっくり。すぐにうつらうつら。

 

夕方、父の唯一の友人夫婦Sちゃんがまた来てくださいます。母、Sちゃんに「お父さんがあれしたら、車をさ、軽に変えようと思う」と相談。今の乗用車もSちゃんに手配してもらったとのこと。また両家で積み立てていたという旅行用貯金を、父が几帳面に表を作って管理していたので、半額を戻します。

 

在宅医療の先生も来てくださいます。酸素を導入することに。父が管が嫌いなので心配していると「人工呼吸器と違って、無理やり呼吸させるものじゃなく、酸素を出すだけのものですから、お父さんも今より楽になると思いますよ」とのことで安心します。酸素は夜、届くらしい。

 

夜、銀行のSちゃんがまた電話をくれて、父の耳元に電話を当てて声だけ聞いてもらいます。ニッコリと笑ったように見えます。

 

また、弟が低い声で話しかけるとそちらを見て笑っています。今日は私には笑ってくれんやったと頭に来ます。

 

今日の私の仕事。電球交換、ゴミ屋敷の整理。ゴミ袋が4袋、出ました。

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晩ごはんは、食欲ないのでサバ。母「半分残しとってよ、私も食べる」

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酸素が来た。看護師のKさんがセットしてくれます。酸素の管を鼻に入れると、父はとても楽そうな表情になります。私は看護師さんの中でKさんが一番好き。話しやすいし。Kさんも、お母さんを癌で亡くされたそうで、そのときの話しも聞かせてくれます。「旅行中に電話がかかってきて、慌てて帰ってきたけど間に合わなかったんですよ。こちらのお父さんは、本当に幸せと思うよ」と。

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痰の吸入器も写真に撮ってあげましょう。コンパクトミシンサイズで、とても使いやすいです。在宅の介護には、小さいテーブルがあると便利だと思います。身体を拭くためのお湯を用意するタライや、いろんな道具をベッド脇に準備する際に、作業がしやすいから。他にも、父の身体の位置を変えるのに、身体の下に入れてスルッとすべらせるシートが便利。少しずつ介護の知識や知恵が増えてきて、もうちょっと続いてもいいな、楽しいなと思い始めました。