宮島じゃない

いっぱい夢を見ました。夢で良かった。カーテンを開けると、岡山県。「あ、あの石!前に来たときに見た!」

岡山でたくさんのひとが降りて、バスは広島に向かいます。

サービスエリアで買った助六弁当。

広島駅に到着すると、TP旅程でギュウギュウの旅がさあ、始まります。まずは満員電車に乗って、

岩国へ。「え?岩国?山口県よ!」と言ってもTPは「でも広島のガイドブックに乗っとったけん」岩国といえば宇野千代!どれだけ宇野千代を読んだことだろう、どれほど救われただろう、たくさん笑わせてくれて、人生に希望を与えてくれた作家。

下関のばーちゃんじーちゃんが、錦帯橋にお花見につれて来てくれたことを思い出します。

錦帯橋の裏側の方は、あまり来たことがない。

鵜(う)たちがいます。

錦帯橋のお手洗いに貼ってあった案内のちらしで、宇野千代のお墓と生家が、歩いて行ける距離にあることを知ります。行ってみよう!

宇野千代さんのお墓を見つけて、水をかけて祈っていると、後ろ側で存在感のある男性がじっとこちらを見ていることに気がつきます。会釈して通り過ぎようとすると「あの、宇野千代さまの!」「あ、はい、ファンです」「そうですか!どちらから」「東京から」「東京の、どちらから」「◯◯です」「えっ!怖いところでしょう」杉作J太郎似のひとは、月に一度は花を買って供えるとのことで「見ててください」と言うので、見ていることに。花受けのカップを抜いて、横っちょに捨てる。「見ててくださいよ」新しい水を入れて花を戻す。自分が買ってきた花は下の方に加える。「見ててくださいよ、こうしてお経を唱えるんです」とJ太郎。「ジャムジャムギャムギャム」どうですか!と振り返るので「いいですね!」と答えます。TPは、J太郎を見ている私を見ていてくれただろうか。

宇野千代さまの、生家へ。

懐かしい映像を、同じようにファンであろう女性と一緒に見て、同じところで声を上げて笑います。

「ここは天国ですか!」庭に問いかけます。

係の方に「骨董屋さんで先生のお顔に似ているって言われて、買い求められたんです」との観音様が大胆に。庭のお手入れ大変ですか?と尋ねると「はい、中まで入って、草抜いて。夏は虫が出ます」だからこその美しさ。これまで出会った庭の中で、最高峰の場所だと感じます。

私も庭がほしい。せめてもの、鉢植えで売られていた「千代もみじ」を購入します。550円。バスに乗ると、みんくるちゃんがいます。払下げかな?

あ、この電車に乗ったら下関のじーちゃんに会いに行けるのに。不孝者だ、私は。自分ばっかり楽しんで。

急な宇野千代生家訪問も追加されたので、TP予定はギュウギュウです。電車に乗って宮島口へ。フェリーに乗って宮島へ。

名物のあなごめしと、焼き牡蠣を食べます。

私にとって宮島は、修学旅行だけでなくじーちゃんばーちゃんたちとも来た、大切な思い出の場所。特別な感覚のある、大好きな場所。TPと一緒に来られてよかった。

ところが!何と言うことでしょう。厳島神社は、カラッカラです。どうやら、引き潮の時間帯らしい。そこからはもう、がっかりしてため息が出て、写真も撮りたくないし、口も利きたくない、こんなの宮島じゃない。

厳島神社を後にして、TPはアオサギ菅田将暉)などを写真に撮っています。「明日、満潮の時間にまた来る?」うんとうなずきます。なにさま?でもタプタプじゃないと来た意味がない。

そこからは「はよ帰ろう」と言う私と、裏手をもっと歩きたいというTP。

裏手の千畳閣にはでっかいしゃもじがあります。

明日来るなら、もう引き潮に足をつけることもできないだろうから、裸足になって入ってみます。

楽しい。

足の砂をはらうのに、いつもリュックに入れているレジャーシートを取り出すとTPは嬉しそうに笑います。明日もまた来られるかと思うと、2倍楽しい!

帰りは、高速船で直接、広島の平和記念公園へ。

イサム・ノグチのデザインしたという橋を過ぎて、

今日の宿にチェックインします。(2名1泊7000円)

ホテルの部屋で、こうしてお座敷を広げたかったのです。

午前中から連れ歩いていた、千代もみじも、この部屋に馴染んでいます。水をやります。「初日に、鉢植え買うって。前から思いよったけどやっぱり門ちゃんって・・・」え?何か言った?今日はくたびれたので、もうお風呂入ってビール飲んで寝ます。TPは夜の散策に出かけている様子。パソコンを開くと、転職するかも知れない先からメールが届いています。そうだった、私、しごとのことを考えなかったのは久しぶりです。いい夢が見られそう。