目が覚めたら新大阪でびっくり。TPが検索してくれていたJR駅構内のお蕎麦屋さんへ。まず入場券150円を買って改札を通り、構内の本屋で150円割引券に交換して、お蕎麦屋さんで割引してもらえる仕組み。

私はうどんにしよう。

関西風のお出汁。

入場券でJRの改札を出て、御堂筋線へ。

乗り換えて、万博会場へ。

土砂降りです。開場の30分前から入場を待ちます。開場したら小走りで、東ゲートからは、ほぼ反対側のイタリア館へ。

すでに3時間待ちの大行列です。さすがに3時間は・・・と躊躇していたらすぐに4時間待ちになっています。

ダイソーのポンチョを着込んで、ひとまず目の前のウズベキスタン館へ。待ち時間は40分とのこと。TPは計画が最初から台無しになったからか、遠い目をしています。

土砂降りの中40分待ってやっと入った最初のパビリオンは、コンセプトに実感が持てないまま、また土砂降りの中に放り出されます。

大雨、そして海風。必然的に大屋根リングの下で雨を避けて移動しがちになります。そして小腹がすいたので牛肉ネギ800円。小皿を、しっかりと半分に境界線で分けて、ベンチで横殴りの雨に打ち付けられながら半分こして食べます。うまい。

大屋根リングの下を歩きながら、とにかくどこか入れるパビリオンがあったら入ろう、それなのに「予約のみ」のところの多いこと。その予約自体が、TPがどれだけ頑張っても午後15時過ぎの「日本館」しか取れていません。館内の予約機でも挑戦したけれど午前中はすべて埋まっていて16時過ぎの「ポーランド」だけがようやく予約できただけ。

高校の同級生Yちゃんがメールくれて関西万博に行くと言っていたから、そのためにも事前情報を報告したい。ようやく見つけた「スペイン館」、巨大な階段をスペイン人スタッフの方が、さぁ入って入ってみたいに誘導するので入ってみて、そのまま流れるように入館します。

2つ目の部屋で「わ!オレンジ!!」と一気に盛り上がります。すぐに色は変わって黄色、赤、緑と色が変わります。さすがスペイン、陽気なセンス。

そうだ、一服しよう。係の方に尋ねると何と、喫煙所は事前調べでは館内に数か所あったはずなのに、最初の東ゲートを出たところにしかないとのこと、再入場用の透明スタンプを左手に押してもらって一服して、また手荷物のX線検査をして再入場します。TPは目を皿にしてガイドブックを再度読み込んでいます。

とにかく入れるところへ。「アラブ首長国連邦館」へ。10分ほどで入館できます。ナツメヤシの柱、動画、どれだけナツメヤシがアラブでの暮らしに関係しているかがよくわかります。葉っぱを縄にしたり、かごを編んだり、実はオイルやお菓子に。

それでも、もう昼になろうかと言うのになかなか入れるパビリオンがありません。思わずカナダ館でフライドポテト1500円!を買って、またしっかり境界線を作ってTPと半分こして食べます。持参のレジャーシートに膝を抱えて座って、寒い寒いとポンチョに手を入れて自分を温めます。大屋根リングの下で、誰もがベンチに座り込み、レジャーシートに寝転がり、ぐったりとうなだれて、高価なものを並んで買って食べ、持参した弁当を食べ、仮眠を取り、行き交うひとびと、ミャクミャクくじ?みたいなものに並ぶ長蛇の列、すべてのパビリオンにあふれるひと、ひと、ひと。

屋根のあるパビリオンはもう、行き場を失ったひとたちの避難所。

手のひらサイズの牛肉と、半分こしたポテトでは腹にたまらず返ってお腹がすきます。思い切ってフードコートへ。寒いから思わずうどん。朝もうどんだったのに。1270円払って買ったうどんは、これまでの人生のなかで一番まずい麺、まるで給食のよう、業務スーパーのうどん麺をぶち込んだだけのようなうどん。

それでも、フードコートでようやく座ることができた席でうどんを食べながら、TPが別の店で注文する様子を眺めながら、「俺が席取ってるのに!」と喧嘩する家族を眺めながら、中国から来た家族が中華料理を無言で食べる様子を眺めながら、後ろの席では「オーストラリアって、コアラのおる国よね?ほらお母さん、コアラの」もしかすると、一生に1回も海外に行かないひとたちがここに来ているのかも知れないし、たくさんの車椅子や杖をついた方、親子4代で来ている家族、修学旅行生、誰もが一生に一度の思い出を作ろうと、喧嘩したり行列に並んだり、雨に打たれたり泣いたり笑ったりしながら何日も前から予約をがんばって予約を取れなくて、それでもここに集まって来たということが、うわーっと私の中に立ち上がって来ます。

これが万国博覧会だ。人間を見に来たんだ、私とTPは、きっと。

もうパビリオンに入れなくたっていい、建物を眺めよう。

よく見たら、すごいデザインじゃないか。

さすがの中国、スケール感のある建物だ。

ブラジルは、歴史じゃなく近代っぽい。

オーストリア、めっちゃがんばっとうやん!

「文明の森」 説明を何度読んでも、これが本物っぽいのに雨ざらしに展示されている理由がよくわからなかったです。「世界で唯一の6500年前の亜化石のナラの木」とのこと。

まだよく万博というものを掴めないまま、たったひとつだけ事前予約できていた「日本館」もう15時30分です。トイレ。

ユーグレナになっているキティ。TPはわかりやすくていい展示と言っていますが、私はどっちつかずの中途半端な感じ?本当にCO2が全部、再利用できる?ドライアイスにしたって、どっちみち二酸化炭素に戻らん?謎がいっぱいで、納得が行きません。

お次は、当日予約できた「ポーランド館」です。もう夕方の16時20分です。

キター!完璧。シンプルで沸点の低いアートが、希望をもたらしてくれます。

ブラジル館前のコーヒー屋さんでコーヒー、1杯700円くらい?だんだんと金銭感覚が馬鹿になってきて、休憩所で休みます。私が何となく持ってきた美顔コロコロ、反対側で足裏のツボを押すと最高、TPと交互に足つぼをして、元気復活です。振り返って座っていらっしゃる御婦人と目が合った瞬間に思わず「おつかれさまです」と思わず、同時に!これって奇跡!

15分ほど並んで「ブラジル館」へ。この国も、テーマである未来を現代アートに託しています。最初に入ったときには、卑猥な表現、絶望の表現だったものが、しばらくして同じ空間に戻ると愛の表現になっているという仕掛け。

「モザンビーク館」すっっっごい。廃材だけで、本当に動く車やバイクを一から組み立てた青年。アフリカのモザンビークという国の未来は、若者ということだ。

勢いに乗って「マレーシア館」にも。係のひとに「元々日本に住んでいたんですか?」と尋ねると「住んでない、マレーシアから来た」「じゃあ、今、どこに住んでいるの?」「はなぞのちょう」当たり前のことかも知れませんが、万博は万国から日本語を勉強しているひとたちが選ばれて日本に来て、自国をアピールするという博覧会らしい。すっかり雨は止みました。

大屋根リングに、エスカレーターで上がってみます。午前中に入った「スペイン館」。「すぐ入れたけん、スペインとアラブを何となく好きになったね」とTPが言っています。「本当にね」

ここはきっと埋立地、海がすぐそばだったんだ。

TPが「かわいい!」とアトムを写真に撮っています。

夕方になって、大量に出てきた蚊だかブヨだかを手でよけながら歩く大屋根リング、ここから見ると世界がギュッと凝縮しているよう、アメリカ館もイタリア館もずっと数時間待ち状態のようです。

もう一度、東ゲートを出て喫煙所へ。すみません、喫煙者で。暮れていきます。

大屋根リングから見下ろして、あれ?「フランス館」、行列少ないねと向かったところ、長蛇の列なのに待ち時間わずか10分。するっと入ってするっと出ます。入ろうかどうしようかと悩んでいるひとたちにも「10分で入れますよ」と言うと「あら、そう?入ろうか」「朝は3時間待ちやったよね」「えぇそうですね」と、見知らぬひとたちといつの間にかお喋りしてしまう、どうやら心の声が全員ダダ漏れてひととひととの境界線が崩れるらしい、すれ違うひとたちが「蚊は口に入らなければいい」とか「2万歩」「3万歩」などとダダ漏れっぱなし、だってもう夜だから、全員がくたびれているから。

「ベトナム館」思い出の水中人形劇。

「ペルー館」地球の反対側の国に、これからの人生で行くことがあるんだろうか?もしあったとしたら、万博でペルー館に行ったなと感慨深くなるんだろうか。

夜の9時前。「長い時間、よく付き合ってくれたね」とTPが言うので「こちらこそ、あれこれ計画大変やったろう?ありがとう。来てよかった」とお礼を言います。何より、万博から帰るひとたちの顔の、しあわせそうなこと、その顔を見るだけでも、来てよかったと心から思います。

電車を乗り継いで新大阪駅に戻ります。お疲れ生。

これほどまでにくたびれたのは久しぶり。大人になると体力を考えてどこかセーブしがちなのかも知れません。夜、ホテルでテレビを見ながら赤木ファイルが公開されたことで、赤木さんがどれだけ、くるしんでいたのかを感じます。限界だったんだ、絶対に今は安心安全の場所にいて奥さんを心から応援しているだろう、TPは死んだように眠っています。私はビールを飲み足します。万博に来てよかった、たくさんのひとたちが思い出を作ろうとキラキラしていた、喧嘩しながら笑いながら、人生で一番の人数を見たし、車椅子や酸素ボンベの数、目の中にたくさん残る景色。明日はリモートワークのテイです。新幹線で仕事しながら帰る日です。業務委託で有給休暇が無いから。それでも。明日からもがんばろ。