比叡山での会話

6時10分。宿の方に、近くの白鬚神社というところまで送ってもらいます。「20分後に迎えに来ます」

日の出を見たい。

誰もが、日の出を見たい。

出るかな?

出ました!手を叩いて、旅の無事を祈ります。40分後「遅くなっちゃってすみません」と宿の方が迎えに来てくれました。

朝ごはんまでの間、ご近所を散歩します。空き地の植木鉢には雑草。

お待ちかねの朝ごはんは、メインの魚などが無い斬新なスタイル、それでも白ご飯の美味しいこと!

お世話になりました。部屋に頭を下げて、チェックアウトします。昨日は降りられなかった近江高島駅へ。

TPは「成瀬は信じた道を行く」を読んでいます。ところどころで、楽しそうに笑っています。

電車を乗り換えて、大津港へ。

1日乗車券を買うかどうかでTPとひと揉め。(私は買いたい派)たまには揉めたっていいでしょう、だって旅行はそういうことも含めて楽しいのだから。

ミシガンクルーズ!

誰もが上へ上へと上がって行きますが、船のアナウンスでお姉さんが「私のおすすめは1階の前方です。船がグイグイ進むところが気持ちいいんですよ」と言うので、慌てて先頭へ。TPが船の見学を兼ねて、コーヒーを買ってきてくれました。「今、変なことがあったと。ポテト買おうって思って並んどったら、先頭のおじさんがポテトを買って売り切れになって、次のおじさんに『だったらこのポテト、あげますよ』って強引に渡して、もらったおじさんが振り返って『どうしましょう』と言うので『もらっておいていいんじゃないですか』って答えた」何だそのエピソードは?

私は突然「琵琶湖が欲しい」と思いました。昨日まで安土城を信長が作ったことすら知らなかったのに、今は信長が乗り移ったかのように、この琵琶湖を手に入れたい気持ちが湧き上がって来たのです。それほど、魅力のある地形だ。

1時間たっぷりのクルーズを終えて、大津港から比叡山まで。昨日、タクシーの運転手さんに「やっぱりあれですか、このあたりの方は比叡山を焼き討ちされて信長を恨んでるんですか」と、付け焼き刃の知識で質問をしたところ「あはは、いやー、比叡山のお坊さんたちも当時は、僧兵と言って武装しとったもんですからね」とのこと。喧嘩両成敗みたいな感じ?

京阪電車は民家すれすれを通るから楽しい。TPがこっそり「今さっき、隣に座っとったひとたちが、ポテトもらったおじさん夫婦」と言います。嘘っ!すごい偶然やね。

比叡山へ向かう電車は、途中が終点でした。10分間の散歩。

坂本比叡山口駅で下車。穴太衆が積んだという石垣が、ケーブルカー乗り場までずっと続いています。

ケーブルカー乗り場まで徒歩10分。歩かせるってのが興味深い。

比叡山のお蕎麦屋さんは長蛇の列です。食堂自体が少ないので我慢して並びます。

ようやく自分たちの番が来て、席に座って出来上がるのを待っていると、隣りにポテトをもらったおじさん夫妻が、ストンと座りました。びっくりして「あの、もしかするとミシガンからずっとご一緒かも知れません」と話しかけたところ、おじさんはTPの顔を見て「あー、ポテトの!」自分はポテトじゃなくてナマズフライってのを頼んだら売り切れって言われて、そしたらあのひとが突然、ポテトば渡して来たけんがですね。ご夫妻は福岡から大阪の娘さん夫妻を訪ねてきてUSJにみんなで行こうとしていたのに、連休でチケットが2枚だけ取れず、娘たちから追い出されて琵琶湖観光に来たそう。

いい思い出になりました。

延暦寺ってこういうところだったのか。

御朱印受付には長蛇の列。

改修中の屋根は、竹釘で止めているそう。竹釘って響きが格好いい。

下りのケーブルカーも30分に1本。ギリギリ、乗車に間に合うかな?と小走りしていると、つられて見知らぬ母娘も走り出します。思ったよりも乗り場は遠い。「遠い、もう無理だわ」とお母さんが歩き、私も歩きますが、娘さんが諦められずまた走り出したので、私も走り、お母さんも走り出します。TPもスピードを上げて、全員でゴール!残念、たった今ケーブルカーは出たところでした。しかし、乗客が多く乗り切れなかったからと、15分後に臨時便が出ることに。「走ったご褒美」「みんな、諦め悪かったですよね」「まさか娘とこんなに走るとは」爽快感。

比叡山って、何だか変な場所だったな。見知らぬひとと会話したことだけが記憶に残りそう。

「ようこそ!成瀬の住むまち、びわ湖大津へ!」膳所駅では、巨大パネルが出迎えてくれます。

あ、ときめき坂!

ここがときめき小のモデルとなった小学校か。「きてくれてありがとう」の文字を見たら、思わず涙が出そうになります。

TPが行きたいと言った、木曽義仲巴御前(アンド松尾芭蕉)のお墓。日本全国、どこに行っても場所の句碑があるけれど、本当に、ここに芭蕉さんが眠っているのでしょうか。

「生後一ヶ月なんですよ」お寺の方に亀を見せてもらいます。

小説にも出てきたフレンドマートに立ち寄ると、撮影用に制服を貸してくれるサービスが!TPに撮ってもらってびっくり。まさかのリアルなパート女性が写っているのです。「あれ?この制服来たら女子高生みたいになるかと思った。ショック」

そんなことはさておき、今日の宿は見晴らしが良いそう。

絶景!

こんなに美しい夕暮れの景色があるとは。

歌でも詠みたくなるような景色を見ながら、フレンドマートで買って来た晩ごはんを食べます。おいしい!

展望風呂から上がると、花火が突然に。

夜、ビールを買い足しに、フレンドマートへ再び。「何か、来てよかったね」まさにTPは今、本を読み終えて、地名や施設の名前がどんどん入って来るようです。もし今後、何か悩んだとしても、成瀬ならどうするだろう?と考えてみるのも良いかも知れない。そのためだけにでも、この土地を訪れて良かった。