謎多き国境越え

monna88882013-02-17

2000リエルの蚊取り線香は、すごく広い部屋でもよく効きました。蚊がポトポト落ちてくる。帰りの飛行機はベトナムからなんだから、とりあえずベトナムに行かないかんでしょ、と昨日散歩のときにたまたま見かけたバスセンターへ朝から行ってみました。空席を尋ねると、13時半のチケット最後の2席よ、と乗るとも言っていないのに発券されました。ひとり11ドル。どうやら旧正月の休み明けで帰省ラッシュのよう。食堂でバインミーを食べて、ほっとします。少し歩いて今度はお茶して、ほっとします。

もうお氣に入りになった昨日のおばさんの店で水やらビールやら買うと渡したお金と同じ額がおつりで返ってきてしまいました。計算が苦手なんだな。なので水をもっとたくさん買ってお金を多く渡します。最後にはもうどっちもわけがわからなくなって。このおばさんの店でものを買う人は、おつりがないように渡しましょう。道端には毛足の長い野良犬がうようよいます。宿に戻ると、1キロ1.5ドルで頼んでおいたはずの洗濯物がまだ出来ていません。宿の男の子がこっちこっちと屋上へ連れて行ってくれて、まだ乾いていないものを自分たちで取り込んで荷物に詰めて、いざベトナムへ!

何度係の人に尋ねても、ここで18番のバスを待て、とのこと。2時頃しびれを切らして別の人に尋ねると、これだよと10番のバスを指差されました。慌てて乗り込んでも出発する氣配すらありません。30分ほどすると、お坊さんを先頭に団体さんが乗り込んできて、ようやく出発です。もちろん誰も文句を言いません。走り出したバスは、プノンペンの街を出てどこまでも続く背の低い林を切り開いた舗装されていない道を進みます。船で川を超えたりしている。なぜか大量のマンゴが運び込まれる。物売りのおばさんたちがお坊さんに手渡しているようです。「はいはい、みんな落ち着いて。そんなにいらないよ。大丈夫、順番に並んで」みたいなことを現地の言葉でお坊さんが言っているよう。隣りの席の女の子が、旧正月カンボジアに帰省してベトナムに戻るのよ、それでみんながマンゴーを渡すんだよと教えてくれましたが、その理由はわかりません。とにかく私も大量のマンゴーをバケツリレーする手伝いをしました。

もう何時間走ったかわからなくなった頃、食堂で休憩になりました。現地の人はわーっと一斉に群がって、無料で食事をしています。西洋人は誰も食べようとしません。しばらく眺めていたTPは並んで鶏肉の甘辛煮みたいなのを食べていましたが、突然、どこからどう見ても悪役顔のおじさんが、同じく食事していたアジア系の人たちからお金を巻き上げ始めました。誰もがわけがわからず、でも不服そうに支払っている。TPに恐ろしい人が近づいて来てるよ、と教えるとパッとご飯をかき込んでサッと逃げました。地元の人たちに混ざり込むTP。私はその様子を近くで眺めていると、TPの食べ終わった後の席で「ここにいたアジア人はどこに行った!」みたいなことをさらに恐ろしい顔で言っていました。どうして西洋人が食べないのか。きっとガイドブックに怖い顔のおじさんが巻き上げるから注意って書いてあるのでしょう。外で一服していると隣りの家の人が、手招きしてくれたので、そこのブランコに座って知らないおじさんとユラユラ揺れてプッカー。今回の旅行で何だか、少しずつ動じない私が出て来ている氣がする。再びバスが出発すると、後ろの席の人が荷物を残していなくなっています。隣りの席の女の子が「大丈夫よ、国境を超えたら乗り込んでくる」と教えてくれましたが、理由はわかりません。

すっかり日も暮れて、とにかく降りろ降りろと言われて降りたところは国境でした。パスポートを握りしめて出国手続き。歩いて国境を超えます。次は、とにかく荷物を持て持てと言われて誰もチェックしていないX線に、一斉にワーーッと荷物を自分で押し込んで自分で取ってベトナムへの入国手続き。車掌さんが全員のパスポートを持って、はんこを押してもらうのを待つ。待つ。待つ。1時間以上たっても戻って来ないのでベトナムの国境を見ながらまた一服。お坊さんも外に出て空を見上げています。西洋人の旅行者たちも不安そうに集まってお喋りしています。時計を見る氣もしなくなった頃、バスはようやく国境を越えました。隣りの席の女の子から「グッバイ、カンボージア」と言われたので私が「ハロー」、そして二人で「ビエトナーム」と声を揃えて言います。英会話のY先生から習った発音が役に立った!やがてバスが一旦停止したと思うと、何故か後ろの席のおばさんが「いやー、大変だったわよー」みたいなことを大きな声で言いながらバスに乗り込んで来ました。ベトナムに入ると広い広い草原が広がっていました。バスの窓から何も無い夜空を見ながら、UFOが出そうやねとTPに言うと、しばらくして「いま、飛行機かなーと思って見よった光が、ツーッと行ってジグザグになって、スーって。消えた。あれ、何やろう」街の中に入ってもしばらくTPは「さっき、上下に急にジグザグになって、スーって。消えた。あれ、何やろう」そればかりうわ言のように繰り返しています。

そしてもう日付は明日になろうかと言う頃、どうやらホーチミンに到着したよう、公園脇で降ろされました。隣りの席の女の子に、いろいろ教えてくれてありがとう、親切にしてくれてありがとうと伝えると、いいえ、どうってことないわよとキュートな笑顔。着いたんだ、ホーチミン

ガイドブックで見たアンアンという安宿は、高級部屋しか空いていないとのこと。でもアンアン2なら安いよと教えてもらってチェックイン!わ、タオルがある!歯磨きセットもある!ちゃんとお湯が出るし、エアコンもよく効く!それでも20ドルです。急に元氣になってTPとパブで飲んでいると突然の停電。馴れた感じでロウソクが配られます。もう一杯!と別の店へ行くと、7ドル払っておつりが来ません。私とよく似た顔のウエイトレスさんに尋ねると、夜だからおつりが出せないとのこと。でもドンに換算して計算してみると6ドルで十分のはず。そう伝えてみると、わかったわかった!という感じで21000ドンが戻ってきました。ウエイトレスさんは道端のポリスマンに、自分は悪くないと目の前で訴え続けているので「もう、ごめん、ごめんってば!」と言うと「OK」とようやく機嫌を直してくれました。あなどれないわ、ベトナム


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