散歩でお喋り

TPが、今年の休みがあと2日しかないからと何日も前から「次のお休み、どこ行く?」と何度も聞いてくれていました。私は本屋に行きたいと答えたけれど、少し遠出をしたそうなので早起きをして二子玉川駅へ。今日最終回の真田丸に敬意を表して、三谷幸喜が昔通っていたという立ち食いそば屋に久しぶりに行ってみると・・・再開発で閉店していた!めまいしながら、二子玉川駅行きの電車に乗ります。すっかり開発されているオサレタウンに田舎者は首が痛くなるほどキョロキョロです。キョロキョロしたままお喋りして歩く道、あっち行ってこっち行って、駅ビルから直結の映画館を冷やかします。映画館のチラシでグザヴィエドランの新作が2月に公開されると知って、思わずジャンプして喜びます。2月まで待てない!

映画館から屋上庭園に出ると、多摩川の向こうに富士山の頭が見えました。誰もいない屋上庭園で、富士山の頭(おでこから上あたり)を眺めながらお喋りをします。広い空間で人がいないので、氣を遣わずにすむから好き勝手に喋れる。嬉しい。

TPが多摩川に行きたいと言うので川原へ。川っていいねと言うTPに「うん、でもあたしにとっては室見川が最高の川。大学生の頃さ、Mちゃんと私服のまま川に浮かんで、橋ひとつぶん流されたとよ」などと話します。近所の橋から次の橋まで約1キロ。川に浮かんで流されたら何かひとつ人生が変わるかも知れないと思ったのでしょうか。私服のままプカリと浮いて、次の橋まで流されたっけ。次の橋でびしょ濡れのまま上がると、川原を散歩していたおじいさんがギョッとしていたっけ。



多摩川。広くて、東京湾まで流れ込んでいて、室見川を思う身としてはきゅんとなる川。ひと駅先まで5キロの道を歩いてみます。川原では、サッカー、野球、ソフトボール、テニス、ゴルフ、家の無いおじさん、動画撮影に夢中のカップル、父と息子、父と娘、不倫カップル、少年少女サッカーを応援する両親たち、シンゴジラ。色々な風景が見えます。1時間ほど歩くと、別の路線の駅に着きました。古墳公園があったので寄ってみます。古墳の形が好き!ぽこっと丸みのある小山は無条件で惹かれます。


電車に乗って、こちらもTPが前から何度も行きたいと言っていた武蔵小山の商店街へ行きます。東京で一番長いアーケードの商店街だそう。ものすごい賑わい、歩く人たちの幸せそうな顔に圧倒されるほどです。歩いても歩いてもアーケード、取り立てて珍しいお店があるわけでは無さそうなのに、どうしてこの商店街を歩く人たちは幸せそうなんだろう?地元に根付いたキラキラ商店街。昼ご飯に中華料理屋さんに入ると、TPが頼んだジャージャー麺はまさかの「冷やし」でした。



歩いて林試の森公園へ。こちらも・・・TPが何年も前に行って、何度も誘われていたところ。そろそろくたびれてきているけれど、TPの好奇心を満たすためにあたし、がんばれ!


日も暮れてきて、一日中歩いてそろそろあたしが不機嫌になる頃、目黒不動尊にTPが行きたいと言うので「よし行こう!」とヤケクソになります。とても素敵なお寺。RCやQちゃんとこの近くに来ることがあったら一緒に行きたい、そう思いながら、ご祈祷を聞いたり、お不動さまに水をかけたり拝んだりしながら帰路につきかけると道端の地図を見たTPが「あ、この通りに五百羅漢があるって」と言うので「もういい!もう帰ろう。一日2つまではいいけど、それから先はお腹いっぱいでもう記憶に残らん!」と通り沿いの五百羅漢を素通りして目黒駅から帰りました。

蘇える変態

蘇える変態

蘇える変態。我慢できずに途中の本屋で買った本を帰りの電車で読み耽ります。胸がいっぱいになります。素直な言葉の羅列に。


TPの貪欲なまでもの好奇心。そのお陰で、体力がついているし、色んなものを見ることができている。もっと体力があったら良かったんだろうか?TPは頑固で我がままで氣分のコロコロ変わる私をなだめすかしながら、あちこち出かけていることが自分でもスゴいと思っているよう。なだめすかされて出かけることが無ければ、私は何ヶ月でも何年でも引きこもっている性格だから、ありがたいかも知れない、そう思いながら電車に揺られて帰りました。それにしても歩いているとどうして、好き勝手にお喋りが弾むんでしょう。前を向いて進んでいるその体制に、秘密があるのかな?車でのお喋りと同じ、景色が流れて行くところに秘密がありそう。もっと歩きたい。心技体を整えて臨む真◯丸の最終回は、この一年間の思いが積み重なって押しつぶされそうになるほどに泣いて、泣いて、メラメラと燃えて、ちゃぶ台を叩いて「出陣しろや!」と怒って、泣いて、拍手をして観終わります。もう少し時間をかけて、丸ロスを味わう。がんばる。あたしがんばる。