スニーカーの穴

早朝。ゆさゆさと揺り起こされて、電車に乗せられて、乗り換えさせられて、亀有で降ろされて、映画館に連れて行かれました。眠たくて眠たくて。



亀有・・・TPは「サイエンス」と言ったり「サイレント」と言ったりするから混乱するけれど結局は「サイレンス」でした。映画が始まるとスコセッシ監督の本氣が、ビシビシと伝わってきます。なかでも塚本晋也監督のお芝居が、スコセッシ愛、映画愛がすさまじく、その身を映画に預けて自分は死んだっていいんだという氣迫に、打たれまくります。映画が終わってTPが「最初にひとこと言っていい?塚本監督がすばらしくなかった?」と言うので「そう!あたしもそれが一番、それだけを言いたかったと!」と大人ふたりが道路端で盛り上がってひとしきり興奮します。

商店街の鶏料理の店でランチを食べて、隣りの駅まで歩いてみることに。綾瀬の街にもまた商店街。たのしい!もうひとつ隣りの駅まで歩いてみることに。北千住、先週きたばっかり!

千住大橋。けっこうな距離を歩いたけれど、どうしても渡ってみたくて歩いて渡ります。すると、上野まで5キロの看板が出たので、また歩いてみます。TPが子どもの頃には、努力遠足というものがあったらしい、遠いところまで歩いて現地解散で、そこからまた歩いて帰っていたらしい。何で?解散したらバスとか電車で帰れば良かったやんと言うと、そういう発想がなかったとのこと。へ〜、そういうものかしら。


三ノ輪に着くと、また商店街がありました。普段はあまり買わない、たくあんの漬けものと、白菜漬けがおいしそうなので買ってみます。

昔ながらのパン屋さんで、ハムカツパンとクリームパンを買ってみます。これは明日のTPの朝ごはん。TPが都電荒川線で帰ろうと言うので、到着していた電車に乗り込むと、車椅子に乗ったおじいさんが、車輪が電車とホームに挟まって大変そうなので駆け寄って、車椅子を持ち上げて乗車のお手伝いします。このおじいさんの性格の悪いこと!誰かれ構わず、因縁をつけては「お前、俺のこと笑ったな!」だの「こっち見るなクソババア」だの、とんだ暴れん坊を乗せてしまって、申し訳ない氣持ち。そして暖房の効いた車内に、ぷ〜んと臭うたくあんの香り。一方、路線図を見ていたTPは、失敗した、この電車はものすごく大回りで、時間がかかる、と言うので思い切って電車を降りてみました。

町屋駅前。またしても商店街。ウキウキします。また都営荒川線に乗って三ノ輪まで戻って、上野まで歩きます。


どれだけ歩いただろう。だんだん電池が切れてきました。可愛くライトアップされたスカイツリーが励ましてくれます。やっとこさ上野に着いて、電車に乗って、いつもの古いアパートまで戻ります。ほっ。2日連続で歩けるとは思ってもみなかった、これからもどんどん歩きたいし、歩いた道にまた出会ってつなげて行きたい。色んな景色を見たいし、色んな場所に自分の身体を置いてみたい。歩き過ぎなのか、買ってまだ1年にもならない青いスニーカーには、穴が開いてしまいました。