リュックを背負って徒歩1分の港、とまりんへ。久米島行きのフェリーはもう港にいました。売店で朝ごはんのお弁当を買います。どうやら沖縄では、もえるゴミではなく、もやすゴミらしい。
久米島行きのフェリー、琉球は、新しい船なのかとても広くて快適、すでに乗船している人たちの間を縫って場所を取って、毛布にくるまってゴロンと横になります。お弁当も食べてグウグウ。目を覚ますといつの間にかTPは船内散策に出掛けたのか、いつまでも戻ってきません。二度寝。
明日行く予定の渡名喜島に一旦停泊してお客さんを下ろして、久米島へ。那覇から3時間ほどでしょうか。大きい島の山の窪地のような港に、フェリーは到着しました。数台並んでいたタクシーは、ちょっとその辺りを一回りしてみようかなどと話している間にスッカラカンにいなくなってしまいました。大通りへ出て、売店でコーラを買うと店の人がタクシーを呼んでくれます。
15分ほどで今日の宿、なんくるないさぁ〜でタクシーを降ります。宿のご主人がクイックルワイパーをかけていらっしゃいます。「ようこそ、お越しくださいました。チェックインは3時ですからそれまでそのへん(テラス席)でゆっくりされてください。え?ハテの浜?これから?まぁ、行けないこともないけど・・・電話してみましょうか?ハテの浜はね、私も一回行ったことがあるけど日差しが強いですよ。もうカーッとして。とにかく真っ黒になります。もし曇っててもそんなの全然関係ない。もう真っ赤に焼けます。だから日焼け止めをたっぷり塗って、向こうに着いても何度も、何度もたーっぷり塗り直さなきゃだめ」とのこと。TPがどうしても行きたいというハテの浜というところはサンゴ礁でできた白い島らしい。「水着!?そりゃあ売っているところもあるけど、まだ寒いでしょう。ねぇ、まだ寒いよね」そういきなり話しかけられた同じ宿泊客の男性は、いやー、寒いってことは無いけど、と答えています。
ボートを出してくれる会社に電話をしてもらう間、外のテラスで宿泊客の男性とお喋りします。それほどお喋りな方ではないけれど、尋ねたことには答えてくれるし、こちらのことも尋ねてくれます。Sさん(後に名前を伺った)は、数年ぶりに久米島に来て一週間ゆっくりするそう。この宿ができたときからここを定宿にしていて、ダイビングを目的としているそう。ハテの浜、自分も行ったけど3時間も自由時間があって、やることなくて、修行かと思った、島では屋台とかビーチチェアーとかお土産物屋があって商売している人がいる、などと教えてくれます。
ボートのお迎えが夕方の4時に決まって、それまで近所を散策。もう2時を過ぎているのであまり空いているお店がなく、小島よ◯おのお母さんが経営する食堂に入ってみます。それぞれソーキそばなどを注文、長命草を練り込んだという麺のおいしいこと、かつおスープのおいしいこと。心の中でこれからは小島よし◯を応援しよう、などと思います。
近くの浜辺を散歩して、リゾートホテルに入って、売店で水着を買います。これからは、海外旅行へ行くとき、必ずこの水着を持って行こう。要するに、短パン。
3時過ぎに宿に戻ると、もう迎えの人が来ていました。あわてて準備して車に乗り込みます。
迎えに来てくれた人は助手らしい。運転は別のおじさん。ふたりとも真っ黒に日焼けしています。ライフジャケットを着せられて、TPとふたりだけでハテの浜へ。サンゴ礁の島に着いても、私とTPふたりだけ(そしてボートの運転手さんと助手の男性)。
海に入って、魚の餌と渡された食パンをちぎって投げてみると、どこから来たのか突然、白くて背中に薄い縞の模様が入った魚が、奪い合うように食い散らかして行きます。また投げるとまたどこからかやってきた白い魚たちがハイエナのように奪い合います。
とにかく日に焼けないように。帽子の下にタオルを被って、目の下で洗濯バサミで挟んで日よけ。TPはライフジャケットでプカプカと浮いたり、バタ足をしたり、潜ってみたりしています。
水着を乾かしたいので浜に上がります。サンゴ礁はゴツゴツとしていて、宿のおじさんが貸してくれたビーサン無しには歩けない。大きい声では言えないけれど、私はサンゴ礁が飾ってあるような空間が苦手、それでも一面のサンゴ礁を眺めていると、自分も拾ってみたくなるのが不思議。箸置きにちょうど良さそうなサイズの細めのものを2個拾ってみます。
やがてTPも浜に上がると、ボートの人たちは、もう帰ろうという雰囲氣で満タン。エンジンまでかけそうな勢いで。毎日見ていると飽きるのでしょう、そりゃそうでしょう。雰囲氣に押されるように、50分ほどで浜を後にします。
宿に戻ると、宿のご主人は「もう帰ってきたのー!?早いね、早いよ」とのこと。宿泊客のSさんはテラス席で、一度行ったらいいでしょう?などと言っています。Sさんは、何年もかけてあちこちの島に行ったけれど久米島の海が一番キレイと思う、そう教えてくれます。どうやら、人工知能の研究者らしく海外勤務が多くて久しぶりに日本に帰ってきたそう。人工知能の研究は終わりが見えないから辛いことも多いとのこと。どんな仕事にも苦しみってあるんだなあ。Sさんが潜った海の動画で、マンタやクマノミなどの映像を見せてもらいながら、いつか潜ってみたい。宿のテラス席で、TPは、音が静かと感激しています。確かに、鳥の鳴き声と風の音しかしない。
晩ごはん、近所を散歩して、居酒屋に入ります。500円程度でしっかりとした量が出てくるものだから、たった4品でもうお腹いっぱい。夜道には波の音だけが響いています。