オペラ座の立ち見席

朝起きて、ここがウィーンなことに驚きます。まずは近所へ朝ごはんを食べに。TPがガイドブック(るるぶ)で見つけてくれた、クリムトエゴン・シーレが初めて出会ったというカフェ、ムゼウムです。クリムトとシーレだって・・・どんだけだよ。とにかくウェイターさんがこちらを見てくれないので、TPは右手を上げたり下げたり口をパクパク、隣の席の西洋人はこちらをジロジロ、そのうちに私はうなだれて、じっと良い子で待つことに。すると黒いジャケットを来た人が注文を取りに来てくれました。朝食セット(コーヒーと卵だけ)をそれぞれ注文して、パンは食べた分だけ料金を払う仕組みらしい。じっと良い子で待っていると、今度は白服の人が頼んだものを運んで来てくれました。そうか、役割分担があるんだ、そうわかってからは、ゆったりとくつろぐことができました。美味しいコーヒー。


今日の夜はオペラ座で立ち見をする予定。街のインフォメーションで、オペラの立ち見に挑戦したいと言うと、7時からだから1時間半前に裏手に回ったらいいわよ、と教えてもらいます。荷物を背負って、今日の宿を探しにでかけます。何となくめやすとした西駅へ電車に乗って。歩き回って、Full、Full、Full、どこも満室です。

西駅に戻ってコーヒーを飲みます。1ユーロ。こりゃどうしたもんだと、ドミトリーも営むウォンバッツへ。16歳くらいの少女と、12歳くらいの少年が受付、優しいふたりは、空き室があると言ってくれました。良かった!52ユーロ。

また西駅に戻って、ずらりと並ぶファーストフード店の中からケバブのランチを選んで食べます。コーラとセットで6ユーロくらい。ケバブ屋さんは移民だからか優しい。

地下鉄に乗って、王宮へ。中は美術館になっています。クリムトエゴン・シーレで有名らしい。

ガヤガヤガヤ、中国からと韓国からと、団体さんがドドーッと入ってきて。ひっそりと絵を見ている西洋人を、写真撮るからそこどいて!と押しのけたり、カメラを渡してシャッターを押してもらったりして一氣に賑やかになりました。

クリムト

エゴン・シーレ

エゴン・シーレ

ムンク

とにかく規模がでかい。庭もでかい。あまりにも広すぎて。オペラ座の立ち見に並ぶ時間も迫ってきたので、地下鉄で中心地に戻ります。

裏口から入って廊下で待ちます。30〜40分ほど待ったでしょうか、ジワジワと列が動き出したのでそれほど苦痛ではありません。やっと自分たちの番になって、立ち見の中では比較的見やすい場所、パルテッレ(ひとりたったの4ユーロ!)を買いました。見やすい!そして思っていたよりも舞台が近い!立ち見の場所を仕切るバーに、それぞれスカーフやタオルや、バッグなどを結びつけておくと、外出もできるそう。その場を管理するおばさんは、女軍曹のような威厳で、西洋人たちに、もっと詰めなさい、などと指示を出しているので心強い。私たちもハンドタオルなど結んで、これでいいかとお伺いを立てると、ヨシ、とうなずいてくれたので外に出てみます。やがて開幕、どうやら海岸沿いの城壁で、自殺しようとする男と、ボートで打ち上げられた女がいて、男が女を連れ帰って・・・わからないなりにわかります。立ち見席には毎晩来ていそうなお年寄りもいます。女軍曹は座り込んだ人を立たせたり、お喋りしている人にシーッと言ったり、彼女がいれば安心です。休憩を挟んで、足が棒になる頃、ようやくオペラは終わりました。スタンディングオベーション!女軍曹さん、本当にありがとう、頭を下げてオペラ座を出ます。

くたびれたし、食欲もないので宿に戻ることに。駅ナカのスーパーでビールを買い込んで、宿に戻ります。レジの仕組みがわからずマゴマゴキョロキョロしていると、後ろの旅行者らしきアメリカ人がアハハと笑っていない表情で意地悪く言うのが聞こえます。

今日もたくさんの人間を見た。くたびれた。安宿は慣れたもの、シャワーを浴びて薄い布団にくるまって寝ることにしましょう。