プラハの夜

190ユーロも払ったんだから、朝ごはんはお腹いっぱい食べてやるぞ!と意氣込んでいたわりには、くたびれて食欲が無いのがガッカリです。中国からの団体旅行者たちは、水筒を持参してビュッフェのジュースやコーヒー、お茶やミルクをどんどん持ち帰っています。たっぷりお皿に盛った料理も口に合わなければジャンジャン残して、ワイワイガヤガヤ、クチャクチャ、ズルズルの大騒ぎ、たのたくましさ、私も少しは見習わなくちゃ。

チェスキー・クルムロフが大人氣観光地ってことは街を歩くと嫌というほどわかりました。まるで絵本という陳腐な言葉しか出てこない。ここでも大きいお城を観光です。

入場料を払って塔に上ると・・・

わ、絶景。

街に下りると、元氣な観光客たち!

TPがすっかりファンになったエゴン・シーレの美術館があるそうなので、行ってみましょう。

係のおじさんの親切なこと、少ないアジア人が中で迷わないように、次はあっちだよ、次はこっちと、そーっと案内してくれます。オーストリアの人、チェコの人、一括りにはできない、親切な人もいて、不親切な人もいて、野良犬を見るような目で追い出す人もいればそっと見守ってくれる人もいて、本当に人はみんな違うんだということがよくわかった。

本当ならレストランでチェコ料理を食べたいところだけれど、あまり両替ができていないのでチェコの通貨、コルナが足りません。カードも使えないので、少ないコルナの中からスーパーでサンドイッチと飲み物を買って、インフォメーションで尋ねたプラハ行きの電車を待ちます。さよなら、チェスキー。きっとここも、もう二度と来ることはないんでしょう。世界は広い。

駅には色んな人がやってきます。マッドマックスに出てきそうないかつい男たち、おとなしそうなアジア人男性を夫に持った優しそうな西洋人、欧米人。今日は乗換なしでプラハまで。4人がけの座席にゆったりと座って移動を満喫していると、途中で乗ってきたチェコの男性ふたりが、そっとチケットを見せて「この席、自分たちが予約してるんだ、でもそこは空いてるだろうから君たちはそこに座ってていいんだよ」的なことを言ってくれたので軽くお詫びを言って、お礼を言って、おとなしくお向かいの席に移動します。ふたりとも2メートルくらいは身長がありそうだから、4人がけも狭く感じるだろうに、他の席に移動させずにここにいていいだなんて親切な人たち。何となく目線で私たちが困らないように見守ってくれていることを感じます。



わ、プラハに着いた。

プラハって本当にあったんだ、実在したんだな。ここまでの人生で自分がプラハに来るだなんて一ミリも思ってなかった。とにかく頑丈そうな石造りの建物がはるか遠くまで、迫るように建ち並んでいるので圧倒されます。オーストリアと比べると、明らかに目線がきつい人たち。桁外れの広さと、桁外れの観光客の多さ、密度。肩を寄せ合うようにして、両替を済ませて、いくつかホテルを尋ねる日本人夫婦。ようやく、Fullじゃない宿を見つけて、値段を尋ねます。64ユーロ。ホッ。コルナに換算してもらって支払ってチェックインします。受付係のとてつもなく美人の女の子は、優しくて静かな声で地図を広げて、この辺がレートがまともな両替所で、ここがスーパーお勧めのレストラン、私もよく行くけどいつも満足なのよ、ここが有名な橋」と教えてくれます。どうもありがとう!

静かな宿で洗濯を済ませて、備え付けの冷蔵庫(今回の旅行で初めての冷蔵庫!)から瓶ビールを取り出して飲みます。美味しい!40コルナなので200円程度です。物価は安いみたい。一休みして街へ。受付の女の子がくれた地図を片手に、街中を歩き回るけれどお勧めレストランは見つかりません。


トイレにも行きたくなったので、ガイドブックに載っているレストランに飛び込みます。アコーディオンを持ったおじさんが近付いてきて、一緒に写真を撮ろうと言います。お金取られるんじゃないかしらとドキドキ。料理を食べていてもアコーディオンの演奏が始まって、続いては日本の歌!ときらきら光るお空の星よ〜と始まったので、やっぱりお金取られるんじゃないかしらと思うと食事も楽しめません。他のテーブルの西洋人たちも目をつけられたらお金取られるんじゃないかしらと心配になったのか、早々に引き上げて行く人達も続出しています。せっかくのチェコ料理、美味しいけれど落ち着かないので食べ終わったらテーブルでバタバタと会計を済ませて外に飛び出します。

プラハの夜。どこまでもプラハ。少し危険な香りの街。ねえ、今いったい何日目?あと何泊できると?やっぱ言わんで、悲しくなるけん。やっぱ教えて!とTPに尋ねると、あと3泊とのこと、ヤッター!あと2泊くらいかな?と思っとった。やったぜ、あと3泊か!楽しみ!