More Sweetly Play The Dance 2016

安宿のウォンバッツで、数日ぶりに早く床に入ってぐっすり眠れました。それでも色んな夢を見て、朝の5時に目が覚めます。どうやらTPも起きたらしい。どうする?今日は朝7時40分の電車でザルツブルクに行こうと思いよったけど、6時40分に乗る?などと話して、よし、1時間早い電車に乗ろう!となります。上着の前を合わせるようにして、冬になりそうな氣温の街を歩いて駅まで、ザルツ行きの電車は朝5時台から1時間に1本あるらしい。オーストリアはとても寒いところだと思っていましたが、10月の街は刻一刻と氣温、体感温度が変わる、朝夕は少し冷え込むかな?と思っていても、日本の冬ほどは寒くないし、日が出てくると突然に半袖になるほどの暑さ、次の瞬間には上着がなければ風邪をひきそうな涼しさ、めまぐるしい温度調節が必要です。

夕べ買ったサンドイッチ(ハンバーグ1、ベーコン2)は、食べきれなかったから朝ごはんにします(ベーコン1ずつ)。パン、厚切りベーコン、ケチャップ。その3つだけ。それなのにベーコンの油がパンの外側まで回っている野性味、原始人になったかのように、ガッツリしたベーコンを食いちぎって、1時間に1本だというザルツブルク行きの電車に乗り込んで、切符拝見の車掌さんに電車代を払います。国鉄じゃなくて私鉄、その分お値段が安いらしい、ひとり3千円くらいで次の街まで特急で行けます。通勤に使っている人も多いよう。


ザルツブルクに着いてすぐ、駅のインフォメーションでここから次の街に行くにはどうすれば?と尋ねてみたけれど、ここは国内専用の国鉄窓口だからバスは知らないと突っぱねられます。よくあることでしょう。バス停をじっくり見て回っても、ガイドブックの地図をじっくり見ても、バスでの次の街(チェスキー・クルムロフ)へのルートは無い様子。ま、何とかなるさ!

30分ほどホテル探しをするつもりが「FULL」「FULL」「let me see・・・sorry!full!」オーストリアはハイシーズンだそう。どうりで紅葉がキレイだと思った、どこを見ても、紅葉色の街路樹と、紅葉色の家々(煉瓦色、ピンク色、黄緑色、黄色、卵色、桃色、ベージュ色)ばかりです。

遠くまで歩いてようやく、イェーダーマンホテルで空室を見つけることができました。それにしても、本当に予約でいっぱいなんだろうか?これからベッドメイクしたり、受付の手続きをするのが面倒くさいところもいくつかあるように思います。今日も100ユーロ以上の高い価格設定です。上品な宿、いい香り、わかりやすい英語をわかりやすく喋ってくれる受付の男性、ここに決めましょう。1時間半も探し続けたんだもの。

宿泊するホテルからは、ザルツブルクの観光地まで山沿い、崖沿いの道を歩きます。

中心地はあざといくらいのヨーロッパ的な建物、その間を縫うように続く小道、迫り来るような街並み。とにかくお腹が減ったので、地元で評判だというホットドッグ屋さん(地球の歩き方に載っている店、行列!)で1つだけホットドッグを買います。その美味しいことったら!!!

それでは足りないので地元で評判だという魚料理屋さんへ。どこもかしこもヨーロッパ過ぎて、だんだんとお腹いっぱいになってきます。

モーツアルトの生家を通り過ぎて・・・教会や博物館がある広場へ出てインフォメーションでザルツブルクカード(色んな施設の入場料が無料になるカード、ひとり4千円くらい)を買って。

モーツアルト小橋を渡って、モーツアルトの暮らした家へ行きます。

モーツアルトって、入場すると貸してもらえる音声ガイド(日本語)で、ブ男だったとはっきり言ってる、それでもなお!の神童っぷり、神童から大人になってからの活躍っぷりに打たれます。


続けてモーツアルトの生家へ。ザルツブルクカードでまた無料。

ザルツブルクカードで無料になった有名デザイナーの設計したエレベーターに乗って、現代美術館へ。

コンクリート中心のシンプルな建物、そして崖っぷちをエレベーターで上がるだけのことはある、見晴らしの良いこと。ため息しか出ません。


もう日も暮れかけてきたので、ささっと観ることにしましょう・・・のつもりが、何だか変わったおじさんの映像作品があるな、そう思っていたら出口となる大きいスペースの、大きいモニター8枚が並んだコーナーの、思わず作品名をノートに書き取り、作者名を書き取り(ウィリアム・ケントリッジって、誰だろう?)、ビデオ作品なのは確かだけれど影絵になったり少し色がついていたり、左側から右側の端までズラッと並んだモニターに、連続してゆっくりと、カーニバルのようなリズムでアフリカっぽい音楽と、オリジナルっぽいピアニカの音楽が流れて、目の前でパレードの映像が続いて行きます。圧倒されて、ただ暗い中でその映像を観るだけ。

いやー、すごかった、オーストリアにきて色んな冷たい目線、いろんな民族がいるからでしょう、無視されたり睨まれたりしたけれど、そんなものが全部、吹っ飛んだね!そう言いながら大きいビアホールへ。まだザルツブルクへ到着したばかりなのに、もう日が暮れて、ホテルは案外高いし、移動手段は手強いし、そんなストレスが色々と積み重なってTPと口喧嘩。でも喧嘩しても面白いと思っている氣持ちは同じなので手打ち。それぞれこの国で感じることが大きすぎて、まだ受け止められなくて、それでも来て良かったと思っているから、喧嘩なんかどうでも良くなって、ビールをお替わりして、宿に戻ります。

街を隔てるようでいてつないでいる川の流れに、目を奪われて。モーツアルトが生まれた家だって。モーツアルトが暮らした家だって。本当かな?そんな歴史的な重なりの街と、ただの野次馬的な日本人貧乏旅行者の私たち夫婦を、現代美術が全てをつないでくれたようにも思います。圧倒されたまま買った、ウィリアム・ケントリッジのロゴが入ったトートバッグ(10ユーロ)が、肩に軽く、風に颯爽となびいています。歩いて静かな宿まで戻ります。観光地から15分ほど歩いただけなのに、街はどこまでもいつまでも静かです。



More Sweetly Play The Dance 2016

https://youtu.be/pA7uob5PIPw