絶景すぎて

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カランバカの宿で目を覚ますと、窓の外は泣きたくなるような朝焼け。私はギリシャがとっても好きなのかも知れません。右を見ても左を見ても、ただ落ち着く。ストンと、自分がここに居て良いんだと体が納得しているかのようです。夕べは、隣りの部屋からオノ・ヨーコのような「あ〜〜〜」がエンドレスで聞こえ続け、思わず寝ていたTPを起こして「(ささやき声で)隣りの部屋の、あえぎごえ、すごいよ」と報告します。要するに、壁はあって無いようなものです。

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それはさておき、ホテルギャラクシーは朝食付き。フライドエッグとは別に、ゆで卵を2個取って食べます。TPいわく「今日は歩くよ」とのこと。ホテルでもらった地図を広げて、ここからここまで15分、ここから約2キロ、ここから1キロ・・・などと説明してくれています。マメなひと。

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肩掛けバッグではなく、リュックの中身をズタ袋に移して宿に預けて、軽くしたリュックを背負って出発です。バス停で、メテオラ行きのバスを待ちます(案の定遅れます、定刻から10分待った)。

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バス代はひとり1.8ユーロ。10分ほどで絶景になって、15分経つと写真を撮るのも嫌になるほどの景色が広がって、何だか運転手さんに促されてバスを降ろされ撮影大会が始まります。まずはMEGALO METEORO。今日は休館日?とのことで入れません。

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イタリア人風のひとり旅の女性と目が合って、にっこりします。彼女は城壁に両手をついて、ストレッチなどをしています。私もどこかで真似しよう。

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バスにまた乗って、VARLAAM修道院。ここでバスを降りて、私とTP(と、私たちとは遠慮してくださっているのか、距離を取っている日本人女性)は、歩いて散策を開始です。入場料ひとり3ユーロ。韓国からの団体さんたちが、今日も元氣良く写真を撮っています。

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(君たちは入場料無料)

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1.5キロほど歩いて、見晴らし台へ。もう絶景過ぎていやになっちゃう。

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日本からの団体旅行の方たちもいらっしゃいます。(会話に耳を傾けると、起業の話しと、インスタに夢中になって崖から転げ落ちたひとの話しでした)

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彼方に見えるAGIA TRIAS。私は「あそこに行きたい」と大きめの声で言ってみます。それにしても氣温が上がって良かった、朝はピリッとするほど寒かったので、モンベルの折りたたみジャンバーと、ユニクロヒートテック、8分袖Tシャツ、MHLのレクター博士シャツを重ねて着込んで、さらに足には中川七政だか中川政七だかのレッグウォーマー(兼アームウォーマー)を履いていますが、歩いているうちに、ジャンバーもシャツも脱いでTシャツだけで良くなります。が、少しでも日陰に入るとまた冷っとするので、腰に巻いていたモンベルジャンバーを着ます。


なお、中川七政だか中川政七だかのレッグウォーマーは、自分の「腕用」「足用」として2つ持って来ていましたが、TPが「しまった、最後に置いて来た、足用のヒートテックを持って来るべきやった」と言うので「これ、貸そうか?」と「腕用」をスポッと抜いてTPの足にはめてやったところ、とても喜んでいます。(いい奥さん!)

 

AGIA TRIASを横目に2キロだか3キロだか歩いて、徒歩散策の終点、AGIOS STEFANOSの前で水を買い足し(1本0.5ユーロ)、カランバカの街を眺め、AGIA TRIASに戻ります。私は、持参した水筒に昨日からホテルで水道水を汲んではグビグビ飲んでいますが何ともありません。ギリシャは水道水が飲めるんだと思います。

AGIA TRIASは、Vの字の渓谷の先に有ります。ということは、まずVの一筆目、下って、上がる必要が有るということ。遠くから眺めているととても登りきれないと思う角度でも、実際はそれほど辛くありません。f:id:monna8888:20190218193116j:plain

(TPが、帰りはカランバカまでウォーキングすると言ってたっけ、ひ〜)

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修道士の氣持ちになって、石段を上がります。

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入場料ひとり3ユーロ、TPは修道士の部屋を見て「俺、ここでいい」とか言ってます。窓からは絶景、本棚ひとつだけの部屋、確かに憧れます。

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お腹いっぱいになるほどの絶景を味わって、いよいよカランバカに向けて山道を下ります。TPは昨日から突然「カランバカ」のことを「カラバンカ(ンとバの位置が逆)」と呼びはじめてしまいました。カランバカよ、カラバンカじゃないよと言ってもつい、カラバンカと言ってしまいます。カラバンカ、カラバンカと連呼しながら、山道を下ります。

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(石をコンクリで固めてある道が、かえって歩きづらい、すべりそう)
おーい、カランバカ、待ってろよー!ひとっこひとり居ないので、大きい声で叫んだり、歌ったりします。同時に、自分へのお土産用石を探します。

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のけぞりそうに見上げる巨岩も、写真に撮るとコンパクトサイズになっちゃうのはなぜ?腕前でしょうか。突然、ブーン、ゴーッ、ガーーーーッの轟音、空を見上げると空軍の飛行機でしょうか、すさまじいスピードで空をかっ割いて灰色の飛行機が駆け抜けて行きます。あのスピードなら、地球一周も1時間くらいで終わりそう。戦闘機が頭上を駆け抜けるのは、足で踏みつけられるような感覚と同じだなと発見しました。

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初めは、メテオラの遺跡から歩いてカランバカに戻ることが想像できず恐れおののいていたものの、歩いてみるとそれほど辛くないので、メテオラの神さまありがとう!と心で感謝します。「シーズンオフやけん、暑くないけん歩けたね、やっぱり旅はシーズンオフに限るね」とか言っちゃって。

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1時間だか2時間だか、ゆっくり山を下ってカランバカに戻って、再びのPanellēnionムサカを食べて、イカフライを食べて、どちらもあまりにも美味しいものだから目を閉じて味を脳に刻みつけます。

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イカフライが美味しい、美味しすぎる。でももうひと皿頼むと多すぎるし・・・悩みに悩んで店員さんに「もうひと皿頼みたいけどお腹いっぱい、半分注文できますか?」と尋ねたところ「ノープロブレム」とのこと、ハーフを注文します(でも残り半分にサービスでフライドポテトが付いて来ちゃった)。

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大、大、大満足で店を後にします。あぁ、もう一度このタヴェルナを訪れることはできるんだろうか、私の人生よ。神さま、もう一度!ムサカ、イカフライ、イカフライハーフ、ワインの小も頼んで31ユーロの明朗会計。私は一生、PANELLINIOの歯ごたえのあるイカフライを忘れない。どこでももらえるメテオラ散策の地図の、裏側のレストランマップの「12番」がPANELLINIOです。エフハリスト!(パラカロー)

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ホテルに預けていた荷物を受け取って、リュックを整理して、帰りの電車までの時間、カフェで一服します(おされカフェは嫌なので、地元カフェに、ジロジロ見られながら入店)。コーヒー2杯で3ユーロ。

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お店の店員さんもとっても親切。つたない英語の質問にもわかりやすく答えてくれます。赤いのぼりが目印の地元カフェ。毎日通いたい。

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そろそろアテネに戻る電車の時間です。駅のベンチに座っていると、駅員さんが出てきて「ストライキ。チケット代は2日以内に全額返金されます」と、アテネまでは長距離バスで戻るよう言い渡されます。

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でしょうね。TPとふたり、駅で教わったバス停まで歩きます。大通りを左に歩いて3ブロックめを右。ガイドブックには、ギリシャではストライキがよくあると明記されています。でしょう、でしょう、そうでしょう。この旅はどうもスムーズすぎると思った。何から何まで、氣温も、ひとも、こちらの予定や想定以上にスムーズに進み過ぎていた。私たちならこれくらいのこと・・・

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バスか・・・

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電車なら4時間でアテネに戻ることができたのに。6時間か・・・よくわからないけれど隣町で30分休憩だし。

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20代らしき日本人の男女4人組が乗ってきました。「ストライキなんて最悪!私たち、どんだけトラブル続きなんだよ」「今回のメンバーが旅慣れてるひとたちで良かった、慣れてないひとならアテネに帰れてなかった」「これまではカード使えたから金の力で何とかなったけど、ギリシャは現金しか使えないところが多いから最悪」「このトラブルは末代まで語り継いで笑いにして行くしかない」などなどなど、とどまることを知らない日本語でのお喋り、真横に座っている日本人夫婦を見ても氣にしようともしないエンドレス会話(ある意味地獄♡)。耳栓をして、眠ることにします。3時間ほど走って休憩。運転手さんが時計を指差して、2と指で表示してくれたので20分休憩だとわかります。

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アテネには、ギリシャ人の3分の1が住んでいるとガイドブックには書いてあります。広々とした平原から、遠くに光るアテネの家々の灯り、走れども走れども、なかなか近づきません。うつらうつら窓の外を見ると、2回、交通事故の現場を見ました。(多くないか?)

 

もう何時間バスに乗ったかわからなくなる頃、アテネのバスセンターに到着しました。タクシー乗り場で、ギリシャのタクシーは黄色いはずなのに黄色じゃないタクシーが待っています。バスの中で書いておいた、ギリシャ語の住所、今日の宿の場所を運転手さんに見せると、何も言われないままに別の中年中国人夫婦とセットにされ、相乗りとなって車は走り出します。(タクシーのメーターは、深夜0時までは1と表示されていれば大丈夫とのこと、チェックすると1だったので安心します)

旅先での中国人夫婦の心強いこと。彼らは夫婦でスマホを取り出し、GPSを起動させて遠回りされていないかをチェックしています。運転手さんはうんざりしています。私は中国人の奥さんに「中国の、どこからいらしたんですか?上海?」と尋ねると「チョンチン」と教えてくれます。重慶かな?「私はチョンチンに行ったことがあります」と伝えた後で「我是日本人(ウォーシージーペンジェーン)」「ジーペンジェーン!(お父さんこのひとたち日本人だって、みたいなことを喋った後で)ウォーユイホンコンジェーン」香港人?私が香港人に見えるってことかな?アジア人同士のわずかな交流。あっと言う間にホテル近くの道に到着しました。メーターは5.4ユーロ、でもガイドブックにはバス停から乗った場合は1.18ユーロの追加料金がかかるとのこと、運転手さんは7ユーロと値段を教えてくれました。適正価格。「再見!」「再見!」無事に到着した喜びに、手を振って中国人夫婦と分かれます。

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アクロポリス遺跡のすぐそばに予約した宿まで歩きます。キオスクのような売店で、缶ビールを買っていたところ、立ち話ししていたお爺さんが「ファエドラ?」と急に話しかけてきたので客引きかと思ったら、ホテルの受付のお爺さんでした。ファエドラホテルでチェックインを済ませます。2泊で92ユーロ、ブッキング・ドットコムで支払い済み。ブッキング・ドットコム様さま。「ストライキ」と言うと「エブリバディストライキ、皆チェックインが遅くなっている」とのこと。

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106号室。着いた〜!長かった。

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ベランダに出ると「ゲッ」と叫びたくなるほどの迫力で、アクロポリスの城壁がもう見えています。私はうれしい。ギリシャは良い国。ベランダにはどこも灰皿があるので缶ビール&一服。私はうれしい。ところで「アテネ」と言っても通じないことが多く、地元のひとたちは「アッセン(セはTHみたいに舌先を軽く噛んでいる感じ)」と言っています。もういっそのことアッセンって表記してくれたら良いのに。

シャワーの湯量もたっぷりで、私はうれしい。シャワーカーテンが無いので、トイレがビシャビシャにならないようにしゃがんでシャワーを浴びなきゃだけど私は、うれしい。このホテルはとても清潔。TPは「門が急になんちゃって中国語を喋りだした」と思い出したように笑っています。うふふ。私はどの国でも生きて行けるかも知れない。

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部屋に飾ってある小さい絵が可愛いのも、私はうれしい。アッセンに戻って来られた。鉄道会社のストライキなんて、何てことない。ただ身体がドロドロにくたびれただけ。清潔なベッドにたどり着けたらそれだけで、何も望まない、晩ごはん食べる氣力もない。