赤坂の御用地あたりは、土がたっぷりあるものだからミドリ真っ盛りです。土手に上ってはいけないと言われると、かえって上ってみたくてウズウズします。グッと我慢しながら毎日、紀之国坂を自転車で漕ぎ上がる。お勤め先では、やっぱりもう来られなくなった人に幸あれと思ったり、もう来たくないけれどとりあえず次の職場が見つかるまでは来てるというような人たちもいるし、それでも光を見ている人たちもいて。誰もが懸命に働いていますが、青白い顔で何かに怯えている上司たちが組んだ家や車のローンを、働き蟻たちが払ってあげているのかも知れません。都会で働くということは、椅子取りゲームに参加させられているということ。自転車で横切る世界は、いつもどこでも晴れやかです。
夜、乾麺をゆでて冷やしうどんにしました。鶏ハムを乗せたらまるで口の中が花畑のような美味しさ、シソの塩漬けやらとろろ昆布やら、海苔の細切りやらを少しずつ乗せて、塩味をキリリと効かせた自家製の麺つゆで食べます。ズルズルッ、ツルリ、モグモグ、ゴクッ、夏の熱氣がパンパンに膨らんでもう目の前という今日に、最適の晩ご飯。自分で自分の食べたいものを作るときの勘の冴え方ったら、フルフルと震えるほど。て、ん、さいかもね？とチラッと思ったりしました。
