フュッセンの夜

monna88882015-10-21

朝起きるとミュンヘンで驚きます。窓から眺めていると誰もが冬装備。ガッシリしたコートと必ず、マフラーをグルグル巻きにして通勤しています。TPと今日という日をどう過ごすかを相談、朝イチから電車で2時間のところにある街、フュッセンの有名なノイシュバンシュテイン城に行こうか、でもチケットを買うのに早朝から並ぶそうだから明日にしよう、今日はまずミュンヘンの街を散策してから、夕方頃フュッセンへ向かおう。

朝9時。リュックを背負っててくてくと歩いて出発します。駅でフュッセン行きの切符を買おうとしますが、券売機がさっぱり、まるでわかりません。そもそも、ここもミュンヘン中央駅じゃなくてHauptbahnhofって書いてある。他の人が買うのをじっと見て勉強してもわからないので、案内の駅員さんに教えてもらって買いました。親切な駅員さんは、乗り換えがないものを勧めてくれます。電車のチケットを手に入れてホッとして、いざミュンヘン散策へ!駅前に出るために通り抜ける駅地下の道路では、どういう罪かわからないけれど、丸裸にされて壁に手をつく男性を取り囲む警察官たち。地下通路はオシッコの匂いが充満していて。くぐって抜けるとミュンヘンの景色が広がっています。教会や、ショップや、露店の果物屋さん、出勤する人々。街はようやく起き始めたよう。

肉屋でハムサンドを買って公園で食べます。ハムサンドひとつとっても選び方、買い方がわからなかったけれど、店の人は親切に教えてくれた。ホームレスの男性が芝生の真ん中で裸になって、ボリボリと背中を掻いたりしている。だだっ広い公園で、西洋風建築に囲まれて座っていると、あたしはドイツを大好きかも知れない、そう思いました。てくてく歩いて歌劇場とレジデンツ(博物館)へ。チケット売り場の人が、2人なら割引だよとニッコリしてくれます。チケットを買ってみると、あそうだ、歌劇場は午後2時オープンだけど大丈夫?と言うので歌劇場だけキャンセルしました。それでも係の人はニッコリ。何ていい街なんだ!


レジデンツは贅を尽くした昔のお屋敷、そっと歩いて回ります。外へ出ると、観光客の人もずいぶんと増えて賑わっています。ホットドックをひとつ買って食べる。うまい!1.8ユーロ。食べ比べでもうひとつ、今度は2.8ユーロ。中国人の旅行者たちがじっと見て「2.8だって」「高いね」などと言っているので、あっちの店で買ったのは1.8だったよと教えると、喜んでくれました。

夕べの飛行機で、いつの間にか隣りに移動してきた人がいました。名前はスタニスラフ。お前たちどこから来たの?と言うので日本と答えると、俺の奥さんはHONDAに乗ってる、でも俺は日本車が好きじゃないけどな!そう3回ほど言っていました。お前たち車は?持ってない。何で!と驚いています。日本と言えばドコモだろ?携帯はどこのを使ってる?持ってない。はっ?お前らなんて珍しいんだ!ファニーだ!と大騒ぎして、別の席の見知らぬロシア人たちにも「こいつら携帯持ってないんだって」と宣伝して回っていたスタニスラフ。私がガイドブックを見ていると「絶対にここには行くべき」と勝手に地図に◯をつけてきたっけ。仕方ないのでそこへ行くことにしました。


ドイツ博物館。ドイツという国で過去から現在まで開発されたり導入されてきたありとあらゆるものが、分野別に並んでいます。あまりにも広いので通り過ぎるだけで精一杯、ビッケが乗るような船から、宇宙開発まで。土器からガラス工芸まで。お腹いっぱいになったところで、最上階のテラスでほっとひと息。スタニスラフ、ここ、ドイツ人だけしか楽しめないと思うよ、観光客は誰もいないし、お客のほとんどは勉強にきた子どもと家族づれじゃんか。そう思いながら電車の時間があるので、駅に向かいます。

フュッセン行きの特急電車。最初はぎっしり乗っていた乗客も、だんだんと減って行きます。途中の駅でほとんどの人が降りてしまいました。わーい貸し切りだーと喜んで正座で窓の外を見ていたところ、いつまで経っても電車が動かないことに氣付きます。どうしたんだろう?恐る恐る降りてみると、他の車両にも誰も乗っていない。端っこの方から、インド人カップルが恐る恐る降りてきました。はっ、この電車はここが終点なんだ!そう氣付いて、インド人カップルと駅舎へ駆け込みます。何と、ここからはバスに乗り換えるそう。次のバスは1時間後。電車のチケットを買ったのにどうしてバスなんだろう?仕方ないのでカフェでお茶をしてバスを待ちます。この街に泊まったらしき日本人カップルとすれ違って笑顔を交わします。

ようやくフュッセン行きのバスが来て、景色は一氣に山だけになります。

馬とか羊とか。アヒルとか芝生とか。40分ほどでやっとフュッセン駅に到着。駅舎は基礎工事から掘り返して作り直している様子。折り返して元の駅に戻るバスには、どっと観光を終えたひとたちが乗り込んで行きました。色とりどりの建物、教会。可愛い街を歩いてインフォメーションへ。「80ユーロ以下で宿はありますか?」と尋ねると、受付の女の子はすぐにネットで検索してくれ、候補を3つプリントアウトしてくれました。どうぞ良いご旅行を!と送りだしてくれます。何て可愛い娘なんだ。どうやらスペインやイタリアと比べて、ドイツの人たちは愛想がとってもいい様子。2つ目の宿で57ユーロを払って荷物を降ろします。日も暮れて。TPは部屋に入るなりベッドに横になって死んだように眠ってしまいました。

ひとりで一服したり、シャワーを浴びたりしても、TPは全然起きません。外はだんだんと寒くなってきています。8時になっても、9時になっても10時になっても起きないのでこのまま寝かしておこうと決めて、晩ご飯も食べずに私も眠ることに。この人、いったいいつまで眠るんだろう、夜中に起きたら驚くだろうな、見知らぬ街で、物音ひとつしない静かな宿で、外はどこまでも真っ暗で。