だとよ

TPと出勤。パソコンをリュックに入れて、終わらない仕事を何とかやっつけようと、休日なのに進める意氣込みです。仕事をするのは、パズルを埋めるようで楽しいから、今だけがんばってみます。行きがけにTPが昨日、職場のひとたちと久しぶりに一緒に昼ごはんを食べたとき、会話の中のあいづちで「だとよ」と言ったらウケたと言うので、そのあまりのバカバカしさに笑いが止まらなくなります。私も言ってみたいわ、誰かに、いつか、でももうタイミングが無いでしょうか。だとよ。
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スタバで3時間。近くのテーブルでは、保険のオプションをつけてもらおうとする営業マンと、どう考えても毎月の支払い金額が上がるのは考えられない顧客とのバトルが繰り広げられています。どっちも辛そう。

 

パソコンを閉じて、この冬2着を交互に洗濯して着続けていたものだから脇のところに穴が開いた洋服を処分すべく、新しい洋服を買いに新宿へ行きます。まずは家で洗濯できて、ポケットがついていて、重たくなくて、痩せて見える洋服を探しているとお店のひとに伝えて、ショップ店員さんたちは一所懸命探してくれて、軽い感じの黒いシャツと、綿なのにツルッとした肌触りのカットソー、ジャージのような履き心地のパンツを買って帰ります。大満足。春が楽しみ。

 

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今日は、久しぶりに夜のお出かけ、仕事終わりのTPと駅で待ち合わせて下高井戸まで。濱口竜介監督の、学生時代の自主映画が下高井戸の映画館で流れるそうなのです。私はこの頃、夜に出歩くのが怖い、だってお化けが出そうだから。それでも、がんばって映画館へ行きました。


何食わぬ顔 予告編

映画が始まった瞬間から、秒単位で、来てよかったと思い続けながら観る映画、何食わぬ顔、カサベテスのハズバンズへのオマージュが美しい、何より、人間関係の、ちょっとだけ複雑なところ、それでも知らんぷりしなきゃいけない瞬間やら、知らんぷりできないこと、アイコンタクト、誰にも言えないこと、誰かに聞いて欲しいこと、その全部が、圧倒的な力で描かれているから、たまらない氣持ちで映画を観ます。よくこの年月、この監督は他のひとになろうとせずに、映画を撮り続けてくれたものだと、映画のスクリーンと一体になりながら観ます。

 

映画館を出て、満月を見上げながら歩く道、TPに「どうやった」と聞くと「・・・圧倒的やった」とそこからお喋りは止まらず、あのシーンが!とかあのセリフ、あの設定、あの関係性、あのキャラクター、あの・・・止まりません。

 

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高井戸駅のイタリア料理屋で、ピザとパスタとワインを頼みます。TPが「明日、結婚記念日やけん、前祝いやね」などと可愛いことを言うので、ふふっと笑って「映画に誘ってくれてありがとう、本当にいい映画やった、でも私はキム・ギドクが一番好きやけど」みたいなことを熱く語ります。キム・ギドク映画には、全身全霊で大好きなキャラクターが必ず登場するけれど、濱口竜介監督の映画には、危うくて、好きになれないけれどただ応援したいひとたち、これまでに何度も出会ったかのようなひとたちがたくさん出てくるのです。万引きしながら他人同士でずるーっと暮らすひとたちのお話しがヨーロッパで最高の賞をとるのだから、濱口竜介監督の映画はこれからもっと、これが日本人の心のヒダだと知ってもらうためにも、たくさん上映されてたくさん受賞したら良いのに。こういう映画があって良かった。