朝起きて窓を開けると、海。今回、少し仕事で氣になるところがあったのでパソコンを持ってきてみました。TPはそのパソコンであれこれ検索して「レンタカーを借りようか」と言います。小豆島の路線バスは、本数がとても少ないのです。そうだ、レンタカーにしよう。
チェックアウトを済ませて、宿の前の港には、大石先生!と呼んで抱きついて行きたくなるような銅像があります。
宿のひとにこの辺で朝うどんを食べられる店を尋ねると、港のフードコートしかないとのこと。TPはオリーブそうめんを頼んで、おいしいおいしいと喜んでいます。TPは今回、うどんの旅とか言っていたけれど早速そうめん。
徒歩5分のところで6時間だけ車を借ります。店の方が「狭い島ですし、皆さん行くとこ決まってますから、カーナビの履歴を見たらいいですよ」と教えてくれたとおり、最初の目的地の中山という場所にある千枚田も近くの役所で登録されています。
車で20分くらい、青々とした田植えが終わったばかりの千枚田が広がります。イノシシ対策の柵を開けたり閉めたりしながら、さらに上まで上がってみます。地元の方々が農作業をしているので遠慮していると、農家のおじさんが「上に行ってごらん、あのガードレールのところまで行ったら見晴らしがいいよ」と教えてくれるので、お礼を言ってあぜ道を上がってみます。昨日のこんぴら詣でで足はペロンペロンですが、農家のおじさんが丸見えなので頑張って登ります。
途中の荒神様にお参りして、さらに上へ。
先ほどのおじさんが「真夏でも冷やーっとして氣持ちがいい」と教えてくれた湧き水の場所を覗いて。冷やーっとします。ここの湧き水だけで千枚田の稲に水を与え続けているそう。驚きます。
やっとゴールのガードレールへ到着、細い田んぼに稲を植えるのはどれだけ大変な作業なんでしょう。中国からの観光客のひとたちもチラホラ、ポーズを決めて映えそうな写真をパチパチ撮っているのが見えます。
ペロンペロンの足でまたあぜ道を降りて、車を停めた駐車場まで歩いていると、田んぼの中に蛇を見つけます。子どもの頃、宮崎の田舎の街に住んでいたとき、洗濯機を開けたら蛇がいたと言って母は父の会社に電話して、父も戻ってきて蛇を捕まえていたっけ。のどかな時代。
また車を走らせて、二十四の瞳映画村へ。映画村の前の売店で味見した海苔の佃煮があまりにも美味しく、買って帰りたかったけれど機内持ち込みできなかったらと思って我慢します。お店の方も「香川空港はゆるゆるだからいいけど、到着した時がね〜」と言います。帰ったら通販で買おうかしら。さて映画村、ここは、壺井栄の記念館や二十四の瞳の映画上映などをやっているのだそう。もう2度ほど読んだのに、やっぱり二十四の瞳の文庫本と、壺井栄の石碑のミニチュアを買います。
映画村自体はそれほど広くないけれど、何と言っても景色が、空!海!爽やかな風!昨日のこんぴら詣での時からずっと感じていたけれど、香川県はどこに行っても心地良い風が吹いて、吹き抜けているように思います。
海沿いにある昔の小学校。
こんな場所で授業を受けたら、どんなことになるんだろう。ぽーっとしっぱなし。
教室の壁に飾ってある、地元の子どもの絵の中で、スイカを食べている絵が氣に入って写真に撮ります。
再び車に乗って、ガイドブックに乗っている食堂へ。
氣さくな感じで普通においしゅうございます。
香川県は、壁が黒い家が多いと思います。塩対策かしら。
また車に乗って30分、どうしても行きたかった醤油蔵見学へ。カーナビの履歴にも無いので地図を見ながら私がカーナビ子になります。「斜め右です」「直進です」無事に到着したヤマロク醤油では、酒屋の前掛けをした方々が氣さくに迎えてくださって、木桶の蔵を案内してくださいます。「すでに菌が桶や天上、壁に付着してますから、後は豆と塩と水を入れるだけ。楽なもんです」などと笑わせてくれます。この水を入れるというところが、味噌とかと違うところだそう。もろみの菌に守られているような心地よさ、ここで眠ったらさぞかしぐっすり眠れるだろうとか考えます。見学をさせてもらって、お醤油を味見させていただいて、あまりにも美味しいので大瓶を買って郵送しようとしたところ、今ちょうど在庫が無く、東京でしたら新橋のアンテナショップにあるので、良かったら寄ってみてくださいとのこと。何とまあ、商売っけの無さにもじーんとします。いつか新橋に行ったら、絶対にここのお醤油を買ってみたい。今、木桶で仕込む醤油は日本でも0.1%くらいだそう。早く、この菌たっぷりのお醤油を買ってみたい。ほんの2滴くらいでも舌を刺すようなしっかりした味の醤油を。
TPが行きたいというオリーブ園へ。もうレンタカーの時間も無いので駆け足で。
TPが行きたいというエンジェルロードへ。私は暑いし行きたくないし、レンタカーの返却時間もギリギリになっているのでむくれたまま着いて行きます。駆け足で車に戻って何とか時間内にレンタカーを返却。途中、「あっ、尾崎放哉の記念館って」「尾崎放哉記念館まで100メートルって」と看板を見て行きたいことをアピールしていたからか、車を返した後で、TPが行ってみる?と言うので歩いて行ってみます。
咳をしても一人。最後にたどり着いた場所だそう。「尾崎放哉の墓」と矢印が出ているので行ってみると、はるか崖の上。もう足がペロンペロンなので「ここからでいいね」と登らずにいたところ、墓守らしきおじさんが「おざきほうやのはか、すぐそこよ。ここまで来て上がらないってのは無いよ、本当にすぐそこ」と言うので仕方なく上がります。上がってみると、歩いてきて良かった、とてもかわいいお墓です。
尾崎放哉記念館では、受付の方が窓を開けてくれ、その瞬間に風が通り抜けます。「おざきほうや」ではなく「おざきほうさい」と呼んでいるので、ああそうだったっけな?とか思います。小さいけれど居心地の良い庵で、畳の上に座って少しゆっくりします。記念に吉村昭の文庫を一冊買います。
TPが、門ちゃんが好きそうな本屋があるよ、行ってみる?と言うので歩いて行ってみます。
ユザーンのインド料理の本を買いたかったけれど荷物が増えるのでぐっと我慢します。
ものすごくほしいピアス(赤い紐の)があったけれど、映画村で別のピアスを買っていたのでぐっと我慢します。
このあたりのキャッチフレーズ通り、本当に迷路の街だと思います。そして、じーちゃんの住む下関にとても良く似ていると感じます。
香川県では、どこにもカキミのコーヒーの看板があります。どんなコーヒーだか飲んでみたいけれど。土庄港までのバスの時間も迫っているのでぐっと我慢します。
土庄港に到着して、高松行きの高速船のチケットも買って、ビールを飲んでみます。地ビールってどうしていつもこうフルーティーなんだろう。地ビールの中でもこれは美味しいと、贔屓したい氣分。
さよなら、ひとみ荘。昨晩はお世話になりました、いい景色、清潔なシーツ、いい風でした。
たったの30分で高松へ。早めの晩ごはんとしてうどんの名店だとガイドブックに載っている店でうどん。うどん数、門:3、TP:2。
駅前で、一息ついて今日の宿まで歩き始めます。商店街を抜けながら徒歩10分、予約した宿は路地裏にありました(え、ここ?ラブホじゃん!)。
見かけは昭和でしたが、中に入ると狭いながらも清潔なビジネスホテル。
窓を開けると、また風が吹き込んできます。
とにかく昨日も今日も暑い。シャワーを浴びて、Tシャツとパンツを洗濯して干して、だんだん暮れて行く景色を眺めてゆっくりします。夜、たまには飲みに行ってみようと出かけます。
カンパーイ!高松のひとたちは酔ったら声が大きいし、会話の内容も熱い!何となく氣さくなひとがらが、私は香川のひとたちを好きだ、そう思います。TPは今日も骨付鶏を注文して、うまいうまいと感激しています。やっぱり来て良かった、香川。