朝4時20分、TPが揺すって起こしてくれました。あまりにも深く眠っていたものだから、ギリギリまで寝かせとこうと思ったなどと言ってくれて、どうも氣を遣わせてスミマセン、泣く泣く起きて、小走りで地下鉄の始発に乗り込みます。
1000円バスに乗って、いつもの、陸上競技場のデザインの成田第3ターミナルへ。そして風太くんの絵のついた安い飛行機に乗って香川の高松空港へ。
TPいわく、大分のTPパパのお見舞いに飛行機で弾丸日帰り旅行をしてから、何かが加速したよう。短い時間でどこかへ行くことに目覚めたそう。高松空港から、バスに乗ってこんぴらさんまで一直線です。まず、香川県の自然の豊かさに胸を打たれます。山がこんもり。緑たっぷり。
TPは、こんぴらさんの最寄り駅、琴平駅でバスを降りてから歩いて参道を通ってお参りしようと計画していたみたいだけれど、こんぴらさんの参道を通った瞬間に私が思わず「あっ、こんぴらさんの参道やん!」と思わず降車のブザーを押したものだから、こんぴらさん入り口で急ブレーキでバスを降ろされます。
それはさておき、まずはうどん屋さんに入ります。一杯350円。
出汁・・・そして、セルフで持ってくる機械の煎茶のおいしいこと・・・
まずは、リュックをコインロッカーに預けます。昨夜父と電話して切り際に、そうそう、明日から香川に行くと言うと、あそこは最後の階段で足がヘロヘロになったと言うので、行ったことあると?と言うと、行ったと言います。お母さんも行ったことあるって言いよったけど一緒に?と聞くと、いや、違うと答えます。ふーん。荷物を預けるロッカーのすぐそばに、鉄の彫刻家、クマさんの作品があるとTPが言うので、眺めます。
そこからは、たしかに足がヘロヘロになる石段を上がって、こんぴらさんにお参りをして、どうやら奥社があるようなので、入り口まで行ってみます。前を歩いているご夫婦が、降りてきた方に声をかけています。「上まで上がられたんですか?どうでした?」「きつかったですけど、癒やされました」その会話を聞きながら、私たちも歩いて上がってみることにします。
行きはよいよい。
奥社からの眺めは、自分が天狗になったかのよう。修験道。
どうもお騒がせしました、ありがとうございますと戻りながら鳥居をくぐって頭を下げます。
クワガタが虫に食われたものを見つけて、わっクワガタやん!宮崎に住んどったときは、駅前の灯りでクワガタもカブトムシも拾いたい放題やった、晩ごはんの後、母が「クワガタ拾えるって、クワガタ拾いに行こう!」と駅まで連れて行かれて、弟と夢中になって拾ったっけ。
往復1時間の道のりを、足がぺろぺろになって上がって降りて。
荷物を預けていたコインロッカーの脇にある、こんぴら歌舞伎の芝居小屋へ。足はぶにゃぶにゃです。案内の方が説明してくださいます。江戸時代は枡席に4人座っていたという座敷の小さいこと、江戸時代のひとって小さかったんですね。花道で見栄を切って写真を撮ってもらい、舞台裏の楽屋を自由に見学して、奈落の砂臭い感じを堪能してまた地上に出て階段を上がって、身分の高い方の席にも入ることができて、舞台全体を見渡します。
観光案内所で無料で借りられる竹の杖のお陰で、こんぴら参りができました。
参道の酒蔵を、さっと見学して。
琴平駅から電車に乗って、丸亀駅へ。もうお昼を過ぎているけれど、歩き疲れてお腹も空いていないし、お店も開いてない。香川県は水曜休みの店が多いとガイドブックに書いてあります。それにしても自然の豊かなこと!
TPが睡眠時間を削って立ててくれた予定を、私は「丸亀城はそれほど」みたいに言ってしまったけれど、実際に見てみると、とても魅力的なお城だと思います。早起きして、こんぴらさんの奥社まで参って、電車で移動してお城へ。足はもう棒のようです。あの高さまで登るのか、とふうふう言いながら、入り口の売店へ。TPがトイレに行っている間、受付の方が声をかけてくれ、無料ガイドのおじさんを紹介してくれますが、TPはガイドのひとと一緒に巡るのをあまり好きではないだろうなと思って遠慮します。「残念ね〜せっかくべっぴんさんをガイドできると思ったのにね」と受付の女性が言ってくれたのを、私はこころのメモ帳に書きつけます。べっぴんさん・・・
それはさておき、こんぴら詣での後の坂道は、足が自分のものではないほどの重さ、休み休み、何とか天守閣へ。現存する天守閣は日本でわずか12個だけだそう。
3階の天守閣まで階段を上がるのも、こんぴら詣でで弱った足、足と相談しながら何とか上がります。もう足を投げ出したら、立ち上がることができません。ただ風が吹き抜けるだけ。天守閣で。1600年代に作られたという、てっぺんで。しばらく風に吹かれて。
足フニャフニャで、天守閣から降りると山側の石垣が崩れているところを、男のひとたちが工事しています。
崩れた石垣の石が、ずらりと並べられています。再建するのはさぞ大変だろうな。すごいな。
駅まで戻る道にも天守閣付きの電話ボックスがあります。
高松空港からバスに乗ってこんぴらさんに行く道も、こんぴらさんから丸亀城に来る電車でも、見る家見る家、とても素敵だと思っていました。商店街でも、とっても素敵な家が。さ、今日の宿は小豆島。駅中のインフォメーションで、小豆島行きの船の時間を聞いて、それまでどう過ごそうか?TPが絶対行きたいという骨付鶏の店、一鶴へ。
17時の開店と同時に店に入ると、何から何までセンスの良い、すてきなお店だ!
鶏皮のポン酢和え。カリッカリでおいしい、おいしすぎる。
灰皿は買って帰りたいほどのおしゃれさ。
親鳥とひな鳥、固いのを柔らかめと両方を注文します。あーーー!どちらもおいしい、おいしすぎる。肉汁もおいしいけれど、歯ごたえ、しっかりした塩加減、おむすびを肉汁にひたして食べるのがこのお店のおすすめだそう。嫌になっちゃうほどのおいしさ。お会計をすると、お酒も前菜もおつまみも全部含めて4000円くらいでした。すごい店。
電車に乗って今度は高松駅まで。瀬戸内海から広島の方に向かって、香川県の左から右へ海沿いを移動しています。ずーっと海と山が見えています。おむすび山のような山がポコポコ見えて、テンションが上がります。高松駅から小豆島行きのフェリー、TPが走って切符を買ってきてくれて、ギリギリで乗り込みます。
大石先生もこの海を渡ったんだな。
ひとり1000円ほどの高速船でわずか30分、土庄(とのしょう)港に到着。ネットで予約していた宿は、目の前にありました。予約していた部屋はトイレとバスが共同の部屋だだったそう(私もTPも仕事終わりのヘロヘロのときに予約したので覚えていない) ですが、空室があるからと同じ値段でトイレバス付きの部屋に変えてくれました。
窓からは土庄港、だんだん暮れゆく。やがて、空いっぱいに星が広がって。北斗七星が手で掴めそうなほどの迫力で。室内禁煙で、煙草は非常階段の灰皿で吸うことができます。星を見上げながら、海の香りを吸って吐いて、吸って吐いて。何だか、嫌になっちゃうな。私、今のしごとは入れ替わりも激しいし、いつまで続けたらいいんだろう、よくわからなくなって、小豆島の景色は、じーちゃんばーちゃんの下関にそっくりで、下関に今すぐ帰りたくなって、いやになっちゃいます。じーちゃんに電話したい。ばーちゃんはあの世にいるからいつでも交信できるはずだけれど。海。