AM5時30分。目覚まし時計が鳴って「え?何でこんなに早く?」となって、体を引っぺがして起きます。高尾山。着替えを済ませて、水筒に東京水を汲んで、リュックを背負って新宿まで。AM6時8分の電車に何とか乗り込んで、高尾山口駅まで。
オードリーさんの本を読みながら。彼女の自由さが大好きです。風が吹くような本。早朝なのに、高尾山の登山口にはたくさんのひとがいます。そして電車も座席は8割方埋まっていました。
お腹がペコペコなので、少し歩いてコンビニへ。おむすびを買って、コンビニ前のベンチで食べて出発です。
まだまだ目は覚めていないけれど、電車でたった1時間でここまで来られるのは幸せかも知れません。何時に高尾山に上ったのか、もう下山している方たちともすれ違います。
駅前の案内板で見た、初心者でも大丈夫そうな6号路を歩こうと言っていたのに、いつの間にか道が険しくなっていて、どうやら「これは、ルートを間違えたな?」と首をかしげながら歩きます。白髪の手ぶらのおじいさんたちに追い越されながら。
私の靴、キーンのサンダルの右足の紐がプツッと切れて、右足がガバガバになります。「TP、私の左足は靴を履いとうけど、右足は靴底を引きずっとうだけやけん」と言ってゆっくり歩いてもらいます。背骨を90度に曲げたよぼよぼのお婆さんにも追い抜かれて。それでも、これまで行った旅行先の景色に似ているとか、あの時は、とかあの国でさ、とかお喋りは尽きません。左足は靴を履いているけれど、右足は靴底だけを引きずりながら歩きます。
初心者コースの6号路を歩いていたはずが1号路になっていて、分かれ道で2号路から3号路になっていて、雨も降ってきて濡れながら、折りたたみ傘を差したり畳んだり、木の根っこに蹴つづきそうになったり、ヨタっとしたり。もう何十分歩いているのかわからなくなってきます。あらゆるひとたちから抜かれるたびに道を譲って、ありがとうございますとか言ってもらって。「人生勇氣が必要だ。くじけりゃ誰かが先に行く。あとから来たのに追い越され、泣くのがいやならさあ歩け」歩きたいけれど右足はガバガバで靴底を引きずっているだけなんだから、歩くにも歩けません。
まるでホラー映画のように、突然子どもたちの叫び超えや笑い声が響いてきたと思ったら、そこが山頂でした。腕時計を見ると、登山開始から2時間30分を超えています。
見晴らし台に上がってみます。TPが「高尾山、何回来たっけ?」と言うので指を折って数えてみると、最初は普通にケーブルカーで上がって蕎麦を食べた、2回めは初日の出を観に来て眠くて死ぬかと思った(K君とHちゃんを誘ったけれど断られた=遠慮された?)、3回めはビアガーデンに来てリフトに乗って感動した、つまり4回め?などと話します。
身体も冷えてきたので、下りはリフトでゆーったりと降ります。リフト最高、高尾山のリフト大好き、このリフトに乗るためだけにまた来たい。
TPと最初に高尾山に来たときに食べた蕎麦屋さんで、お蕎麦を食べます。「確か、とろろ蕎麦を食べたと思う。900円くらいやったっちゃないかな」とのこと。TPは今回、天ぷら蕎麦の大盛り。
駅からほぼ直結の、高尾山温泉に入りました。たっぷり1時間以上。露天風呂から見える紅葉を堪能します。サウナで「トレイルランに参加されてましたよね?」と話しかけられて「えっ、私?いえ、参加してません」と答えると「すみません、間違えました」と言うので「でも、見てました、格好いいなーと思って」などと会話します。私は、トレイルランに参加しているひとと間違えられたことがうれしい。確かに山頂まで駆け抜けて上がって行くグループを見かけて、皆さんの顔がとても生き生きしていたので素敵だなーと思っていたのです。たっぷり足をほぐして、食堂で待ち合わせて生ビールを飲んで、また電車に乗って。
TPは高幡不動に寄って帰ろうと行っていたけれど、氣がつけば新宿駅でした。どうやら私があまりにも爆睡していたので起こすのを止めたそう。帰りの1時間はあっと言う間。小田急デパートメントストアの地下街で、お肉とえのきを買います。3歳児の頭ほどあろうかという大きさの蕪を見かけて、買おうかどうしようか迷ったけれどどう料理して良いのかわからないので諦めます。そして、キーンのサンダルも買い替えます。何年履いたかわからなくなったサンダルは、お店で処分してもらいます。ありがとう、色んな場所に一緒に旅行してくれたサンダル、また新しいサンダルを履いて、また新しい道を歩いて行きましょう、新しいキーン、どうぞよろしく、処分されるキーン、今までありがとうございました。
家に戻ってもまだ昼の3時くらい。2時間ほど昼寝します。
DVDを観ます。このパッケージはひどい。これは、人間ドラマであってこんなセンセーショナルなパッケージである必要は無い、それでもその人間ドラマは、とっても観たくないところを炙り出すのでとても嫌な氣持ちになるのに、描いてもらって良かったとも思います。きっとそれほど珍しくは無いこと、きっとよくある感情。
昼寝をして起きると、あれ?両方の太ももがぱんぱん。今年のステイホームですっかり両足がふにゃふにゃになってぺろんぺろんになっていたのでしょう。TPが「明日はどうする?罪の声、行く?」と言うので、「行く」と答えて、明日も早起きです。 朝イチの高尾山、最高だった。また行きたい。いつ行こう。キーンも新しくなったし。絶対にまた行きたい。