昨日、スーパーで朝ごはんに愛媛のカップ麺を買っておきました。
6時30分に起きて食べて、出発です。今日は尾道に行くそう。
ホテルをチェックアウトして今治駅前でバスを待ちます。
バス代は車内で運転手さんに払います。ひとり2300円。
今治から尾道まで行くのには、途中でバスを乗り換える必要があります。因島大橋で降りる寸前、目の前で尾道行きのバスが去って行くのを見て驚きます。愛媛と尾道のバスは仲が悪いんだろうか?50分待ち。
サービスエリアでホットコーヒーを買って、ベンチでナンプレ。TPが、ここでもナンプレ!?と言っています。
バスが来たので乗って、しまなみ海道を通って尾道駅へ。明日、この橋のどこかをTPはレンタサイクルを借りて渡るとか言ってたっけ。ぞぞっ。
林芙美子の銅像があったので、じっと見つめます。20代、どれほどあなたの本に励まされたか。亡くなった父方の祖母は、林芙美子の生誕の地という場所(神社の中)に家を借りて住んでいたので思い入れもひとしおです。
今日の宿、尾道ロイヤルホテルに荷物を預けて、おのみち映画資料館で大林宣彦監督のロケッマップをもらて、尾道散策に出発!
まずは千光寺までロープウェイ。片道350円。
3分ほどでロープウェイを降り、岩場をくねくねと下ります。文学のこみち。
正岡子規「のどかさや 小山つづきに塔二つ」
志賀直哉「六時になると上の千光寺で刻の鐘をつく。ごーんとなると直ぐゴーンと反響が一つ、又一つ、又一つ、それが遠くから帰ってくる。<中略>(暗夜行路より)」
林芙美子「<中略>山は爽やかな若葉だ。緑色の海向うにドックの赤い船が帆柱を空に突きさしてる。私は涙があふれていた。(放浪記より)」
千光寺でお参りします。
てくてく歩いていると「くさり山」とあって、100円入れて鎖を上がる修行場が。TPが「行く?やめとく?」と言うので「行く」と答えて100円入れて上がり始めたものの、TPが足を輪っかに入れられずに四苦八苦してようやくひとつめの岩を上がり、他の観光客のひとたちも固唾を呑んで見守り、私が登り始めるとうっすら「おー」と歓声が上がり、続いて若者が3人、追いかけるように上がってくるものだから、中年夫婦は死ぬ思いで鎖に足をかけて上がって息も絶え絶えで、ゴールまで。
足フニャフニャで階段を降りて、ポンポン岩へ。(とんでろじいちゃんのロケ地)
鎖でつながれているハンマーで岩を叩くと、本当にポンポンと木魚のような軽やかな音が響きます。
ロープウェイで上がってきた道を降りるのもひと苦労、ホテルで教えてもらったおすすめのラーメン屋さんで尾道ラーメン、小さいお店ですが満席で、店の外にもあっと言う間に行列ができます。入ろうとすると「ちょっとお待ちください」と言われて店の外で待っていてたものの2〜3人出てきても呼ばれないものだから、そっと店を開けると席は4つも空いていて、私たちの後ろに並んでいたひとたちもぞろぞろと慌てて入ります。カウンターに座り、おじさんが丁寧に作って、おばさまが上品に丼を洗う姿も見ていて楽しい、ひと口食べてみるとダシの香りと醤油の香りが濃厚で「うまっ」とTPと思わず目を合わせてうなずき合います。
あー、美味しかった。最後にふりかけていた味の◯らしき白い粉も美味しさの秘訣?塩かな?とにかく沁み入るように美味しかった。ロケマップで探して、転校生の一夫の家へ。映画のまんまで感激します。
また大通りを歩いて、お次は転校生の転げ落ちる階段へ。
ものすごい角度。足ヨタヨタで何とか上ります。転げ落ちないように注意しながら。TPと入れ替わっちゃったら大変。
上から見ても絶景で。
お決まりの転げ落ちポーズも記念に写真に収めて。
それにしてもなんと人間らしい景色だろう。心が開放されます。
「こもんでワッフル食べて」(映画ふたりのセリフ)
普段、甘いものは全く食べない私でも、1個ぺろりと食べられちゃうバター風味のワッフル。
ふと、やっぱり私、尾道美術館とやらに行きたい、中に入らんでも前だけでも見たいとつぶやきます。TPが、えっ、また坂を上ると?うん。ちょっと間があって「よっしゃ、行くか」
足、ガクガク。ふうふう言いながら、また上がります。上りきった、「尾道の裏」は初めて見たので感動します。美術館は入場料を払わないとショップすら入れてくれないから、チェッと思います(コロナ対策だそう)。
「オハヨー」かと思ったら違った、チー坊でした。
ロケマップで、映画ふたりの猫の道らしきところを探して、階段を上がったり降りたり、
万里子の家ってこんな感じだったんじゃなかろうか?電柱を探して、上がったり降りたり。
まさかこんなところに?という細い道で、ようやくふたりの電柱に出会えて。実加のように、ポンッと電柱脇に飛び乗ろうとしたけれど足ガクガクでとても無理、よじ登るように上がって、門は実加になりきります。うっとり。
ようやく商店街まで降りてきて、林芙美子が暮らしたことのある家を見学し(築100年以上とのこと)、また林芙美子を読んでみたくなります。
あたしゃくたびれたよ。向島に面した海岸で、足を投げ出してひと休み。観光客の数も随分多いように思えます。若者たちは尾道ラーメンにあちこち行列しています。
TPが、映画あしたの神社を見つけて。かわいい!
ようやくチェックイン。ベッドに寝転がった瞬間、闇の世界に引き込まれるように寝落ち。
窓の外は絶景。
2時間ほど眠ったのでしょうか。外はすっかり真っ暗で。TPとコンビニにビールでも買いに行こうと外に出ると、向島行きのフェリー乗り場がすぐ目の前に!運賃100円で、永遠に往復しています。もちろん乗船して、向島へ。カメラを持って行かなかったけれど、真っ暗な向島でも生活の香りと、スーパーが。寄ってみてビールや緑茶2リットルのペットボトル、明日の朝ごはんを買い込みます。
また100円払って尾道に戻ってから、夕食ジプシー。お好み焼き屋さんに入ろうとしたら「ちょっとお待ちください」と言うので外で良い子で待っていても誰も呼びに来てくれません。そのへんを一回りすると、もう別のお客さんが入って満席になっていたものだから、あきらめて唯一開いているホテルのレストランでようやく晩ごはんです。
天ぷら揚げたてでおいしい。宿に戻って、お風呂にも入って。部屋の窓を開けて、じーっと港を眺めます。持参していたパソコンで検索していたTPが「あっ!東京物語の神社…あっ、この近く」「えっ!目の前のあれやない?」「あっ!そうや!」明日の朝イチでお参りすることに。東京物語のロケ地にも出会えるだなんて何たる幸運。
夢をいっぱい見ながら、渡し船のエンジン音に肩をトントンされるように、ぐっすりと眠りの世界に入ります。明日はいったいどんな計画なんだろうな。楽しみでもあり、おそろしくもあり。