道後温泉から松山城まで歩け歩け

早朝6時起き。道後温泉の、漱石も(坊っちゃんも)通った本館に入りたくて。6時から配布という整理券は、すでに7時半の分からしかもらえなかったので、近くの伊佐爾波神社(いさにわじんじゃ)へお参りします。しまなみ海道でフニャフニャになった足には辛い、長い長い石段を、ふうふう言いながら上がります。

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TPがどうしても入りたいという、道後温泉の椿の湯へ。ここがとても素敵で感激してゆっくり浸かります。f:id:monna8888:20211116072345j:plain

小さい中庭に出られるスペースで、温泉成分を身体に染み込ますように、自然乾燥してみます。これで、道後の成分が身体に入った!風呂上がり、TPが「中庭のドア、何かいなと思って開けたらさ、後ろから『寒かろうが!』って怒鳴られて、振り返ったらもんもんのがっつり入ったおじさんやった」と言うので大笑いします。

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何の実?おっぱい風の、ぷっくりとした実。

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歩いて、宿に戻って朝ごはん。道後温泉本館の時間も迫っているので、あわてて食べます。

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はーー、いいお湯でした。やはり本館はちょっと風格が違う。数年かけての改装中とのこと、すぐ近くの駐車場から、道後の街を見渡すことができます。宿に戻り、一服して戻るとTPはまたレコードをかけながら、肩を揺らし「レコード、いいね。俺も家でレコードかけようかな」とか言っちゃって。CDならいっぱいあるよ。

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リュックを背負ってチェックアウト。今日は松山に泊まるらしい。TPがどうしても行きたいと言う正岡子規記念館は、残念、休館日です。

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TPは松山旅行に備えて、坂の上の雲を読みはじめているらしく、正岡子規も登場するから行きたかったそう。正岡子規が好んで育てていたというヘチマも植えてあります。

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お隣りの道後公園を散歩して、

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弥生時代?の地層とやらを見て。

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ふと、いよてつに乗らずに、松山まで歩けるだけ歩いてみようと。湯籠を下げて、てくてくと。

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3キロ?4キロ?5キロ?やっぱり、歩くとその街が、身体に入って来ます。歩くのって素敵。(私は、車文化の九州で育ったので歩くということをしてこなかったけれど、数年前のノイシュバンシュタイン城で突然、歩くことに目覚め、歩くひとになった)歩くって本当に、素敵。

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松山の三越ライオンは、ハットを被っています!ホテルにチェックインして荷物を置いて(中身をエコバッグに入れて、空のリュックを街歩き用に背負う作戦を突然思いつく、悦に入る)、街歩きスタートです。

 

まずは、TPが行きたいと言う秋山兄弟生誕地へ。坂の上の雲の主人公らしい。係の男性は懇切丁寧に説明してくださいます。

 

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次にランチ。女性店主らしき方の接客力、今お客さまが全員席に着いたばかりですので、あと20分経ったら席が空くと思います、お席ご用意しておきますと言われて散策して戻ります。並んだランチを食べていると、若い店員さんが、衝立を倒して隣りのお客さんは肩で受け止めたのに「すみません!すみませんでした」で済ませています。お怪我無いですか?と尋ねようかとして、こらえます。

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今日は、松山城に上がるそう。「現存天守12城」なるものに、旅行初日の宇和島城とともに入っているから、TPは城を旅程に入れたんだな!それでも、商店街で水引のパッチン止めを買って(それがまた、私によく似合う!新しい世界!)、ご機嫌で、大好きなリフトにまで乗れると言うのでルンルンで上がります。

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お?でかっ!でかでかでかっ!今まで見た中で、一番敷地の広い城だ!

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そして、中は広い。広くて上がったり降りたり上がったり降りたり。中年夫婦は、隅々まで上がったり降りたりして堪能します。どういうわけか、ここ松山城で私は「写真撮ってもらえますか?」と言われることが多く、4〜5グループほどの写真を撮りました。おじいさんグループも多く「これが全員揃うの、最後の写真」などと仰っています。父が亡くなったばかりだから、染み入ります。松島城でTPが「あ、ランチのお店のひと!」と店主とすれ違ったと言います。城から再びリフトに乗って、降りてから歩く道、「あ、秋山兄弟の係のひと!」と私が言います。松山は、小さい街。でも、歴史深さも感じます。

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TPがどうしても行きたいと言っていた、坂の上の雲ミュージアムへ行く途中でちょっとしたいざこざ。松山城で見つけたパンフレットで、種田山頭火の終の棲家が復建されたところがあると知って「行きたい行きたい行きたい、絶対に行きたい」となったのです。「俺だって坂の上の雲ミュージアムに行きたい」「じゃ、二手に分かれて行こう!」「それは無いよ」「えっ!?何で!?」山頭火の家についてはTPが考えるとのこと、渋々坂の上の雲ミュージアムへ。安藤忠雄の建築、ぐるぐる回って上がるタイプで楽しい。でも楽しくない。でも結局楽しい。正岡子規の晩餐がミニチュアで再現されているのも楽しい。

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宿に入ります。少しずつ、夜風が寒くなってきました。今日も大浴場があるので、湯籠を提げて入浴。風呂から上がって、山頭火の句を調べて、手帳に書きつけたりします。

「父によう似た声が出てくる旅はかなしい」

「どうしようもない私が歩いている」

「ころりと寝ころべば空」

 

香川で亡くなった尾崎放哉の墓も訪れたそう。山頭火も、放哉もどうしようもない飲んだくれだったそうで、親近感。

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晩ごはん、TPがお目当てにしていた老舗中華料理屋さんはお休み、適当な居酒屋さんに入ります。

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それが、大当たり。接客も爽やか、生サバの炙りなんて、普段は炙り反対派(何でもかんでも炙るなよなどと思っている)なのに炙り最高で、だし巻き玉子も何もかも、美味しいったらない。ただ残念なのは、店の名前が「夢の家」ということ。そんなことよりも、どうやら松山、尾道旅行は今日が最後の夜らしい。TPが「帰ったらさ」とか言うので「帰ったらとか言わんで!夢が覚める」とキレちゃったりして。ああ。いつまでも旅をしていたい。と言うよりも父の看取りやら葬儀やらで休みが多かったのにさらに誕生日旅行までしちゃって、仕事がたまりにたまっているから逃避したい、そんな心境なのかも知れません。しかも明後日からは四十九日でまた福岡に帰省せねばだし。でも、今日だけはそんなこと忘れて、山頭火のように、放哉のように、ただただ酔いにまかせて、ふわふわと旅を楽しみたい。