そして日常は続く

手帳に、山頭火と放哉の句を書き付けていたものを見せたからでしょう、本当は朝イチに道後温泉にもう一度入ろうとしていたところをTPは山頭火の方に旅程を変更してくれました。

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早起きして、宿をチェックアウトして歩いて向かいます。松山、歩ける。歩いて全部回れそう!

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もしTPが死んだら、わたしも四国のお遍路とかするんだろうか。句を詠んだりするのかしら。もしわたしが死んだら、TPは笑って生きてくれるだろうか。そんなことを思ったりします。というより普段から、思わない日はありません。

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山頭火さんが、最後に知人の助けを得てしあわせに暮らした様子が伺えてしあわせ!

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道後温泉に行く予定だったけれど、いよてつに乗って、松山駅まで。

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いよてつの車両基地を通過して、朝日に映えるいよてつの、いよかん色にうっとりして、松山駅から、さあ空港行きのリムジンに乗ろうとしたところ、50分後!?近くにいた自閉症風の青年も一緒に心配してくれ、彼は自分の定期券まで見せてくれて、自分もバスを待っているけれど今日はバスが来ないなどとお喋りをします。彼のまっすぐな声に胸が震えます。何てかわいいんだろう!

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タクシーに乗ることに。ふと、乗務員さんの名前カードを見ると、見覚えが。「もしかして、3〜4日前に、私たち、伊丹十三記念館まで乗せてもらいませんでした?」と言うと「乗せた!伊丹十三記念館行くひとって珍しいもん」「ですよね?下のお名前が珍しくて、何てお読みするんですか」「このむです。女のひとでも同じ名前のひとがちょくちょくおって、恥ずかしいって思ったことも」「好と書いてこのむさんですか」そこから、松山はどうだったか、3〜4日もおって行くとこある?でも案外、名所は多いんですよなどとお喋りざんまい、初日は無愛想だと思った運転手さんは、実はお喋り好きな方でした。空港で降りる時も「良かったら、また」と言ってくれたので「はい、また来ます!」と別れます。道後温泉は絶対に、また来たい。そして湯籠をもう1つ、いえもう2つほど買いたい。

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職場へのお土産詰めたらリュックパンパンになって、

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少し時間があったので展望スペースへ。囲碁の台が名産なのかな?格安のLCCに乗った瞬間に爆睡、成田エクスプレスに乗ってまた爆睡するとあっと言う間に上野へ。

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TPが、福岡の父の見舞いに来てくれた帰りにひとりで行ったというカレー屋にどうしても私と一緒に行きたいと言うので、カレー屋「デリー」へ。

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少し並んで入った瞬間に、清潔度も、量も、カレーの材料もカトラリーの配置も、完璧だなと思いました。スパイスだけじゃない、全部がキラキラと輝くようなカレー。また来たい!絶対にまた来たい、いや、今後は成田エクスプレスで帰ったら必ずデリーでカレーを食べて帰りたい!お会計に立ち上がると「あのカゴ、素敵じゃない?」「本当、可愛い」「素敵、あのカゴ」と同年代の女性二人組が私の提げている湯籠を見てそう言ってくれたのが聞こえ、顔を向けると目が合って「そのカゴ、素敵ですね」と言ってくれるので「ですよね?嬉しいです。道後温泉で」「本当だ、道後温泉って札が付いてる」などとお喋り。TPも、ニヤッとしています。なぜなら、最高に氣に入ったものを買ったらどうしても「どうしよう、それ素敵ですね?どこで買ったんですか?って言われたら、ええ、道後温泉で」と妄想が広がり、TPがいつも「門のそのシナリオ、実現されんね」と言っていたのです。それが今、TPの目の前で真実に。ふたりで、ホクホクしながら地下鉄の駅まで。TPが突然「しまった!ラッシーもらいわすれた」と言うので、「戻ろう」と言います。いいよと言うTPに「TP、絶対後悔するけん。戻ろう」外で待っているお客さんやら、カゴ褒められたやらでバタバタしてTPはセットで付いていたラッシーが届く前に席を立ってしまったけれど、TPは海外でも、どんなものでも残さず食べるし(たとえそれが腐った臭いでも)、買ったものは破れるか壊れるかまで使い、今のTPのリュックも私がカナダで捨てようとしたもの。それほど自分が買ったものを大切にするひとが、ラッシーを飲み忘れたら、何年経っても「あの店で、ラッシー飲み忘れた」と悔やむと思ったのです。

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店に戻って、TPが顛末を話すと店員さんはプッと笑って、ラッシーだけ外で立ち飲み。そりゃ、笑うでしょう。TP「どうする?この店、T門ベスト10に入れる?」「入れる!最高」と答えます。旅行は終わったけれど、まだまだ日常は続きます。